平成23年度第4回柏市健康福祉審議会高齢者健康福祉専門分科会 会議録

1 開催日時

平成23年11月24日(木曜日)午後3時~5時

2 開催場所

柏市役所 本庁舎5階 第3委員会室  

3 出席者

水野治太郎(会長)、神林保夫(副会長)、今村貴彦、栗田正、小松幸子、田中秀男、田沼充子、長瀬慈村 、中谷茂章

事務局等

  • 保健福祉部長(下隆明)
  • 福祉政策室長(野村晋)
  • 高齢者支援課長(上野哲夫)、同課副参事(秋谷敏雄、酒巻薫)
  • 同課統括リーダー(花野井茂)
  • 介護保険管理室長(鈴木茂美)、同室統括リーダー(広瀬一彦、田口大)
  • 障害福祉課長
  • 障害福祉就労支援センター長、(宮本大)
  • 福祉活動推進課長(平島雅治)、同課専門監(根本暁子)
  • 生活支援課長(秋谷正)
  • 地域健康づくり課長(田村敬志)
  • 社会福祉協議会事務局長(村田恒 )
  • その他関係職員
     

4 議事(概要) 

第5期柏市高齢者いきいきプラン21の素案について

資料に基づき、事務局から説明

  • 委員 

15ページの内容について、「基礎調査の各調査で、市民の「認知症」になることへの将来の不安が高い結果となっていました。」とある。そして第2部各論の第2章4節の“認知症にやさしいまちづくりの推進”で、「早期診断・早期発見への支援」が主な取組みとして挙げられている。高齢になり、認知症への不安を持つ方は多い。認知症になった後のケアも重要だが、認知症になる前の予防の一環として、かかりつけ医を持っていない人も多いと思われるので、認知症か単なる物忘れかの診断を速やかに行える医療機関を市から紹介してもらえるシステムは出来ないだろうか。

  • 事務局 

柏市の認知症施策について、素案の63ページをご覧いただきたい。この図は柏市の認知症施策体系を表している。施策の3本柱の一つとして、正しい知識の普及・啓発と予防を挙げている。現時点では、この表に記載されている内容を施策として展開している。柏市オフィシャルウェブサイトに、医師会からのご意見をいただき作成したクイズ形式の認知症検定を掲載したり、認知症の総合パンフレットを作成し、関係機関窓口で市民への配布を行っている。

今後、認知症の方が高齢化とともに増えていくことが予想される中で、前回の分科会等でもご質問いただいた権利擁護の充実等についてもプランの中に盛り込んでいる。

  • 事務局 

認知症のケアについて医療と介護の関係の中で認知症の方へどのようなサポートが出来るかが課題であり、61ページ以降で対応について施策として、お示ししているところである。次期プランでも重要事項として取り上げていくところである。

  • 委員 

認知症については、今まででも重要な点であったが、今回のように重点施策として、大きく取り上げられるのは初めてではないか。

  • 事務局 

認知症がクローズアップされてきている。周囲の理解不足により、適切なケアを受けられず悪化してしまうこともあったと考えられる。グループホーム等の安定した人間関係の中で適切なケアを受けることにより、周辺症状を軽減できると考えられる。

市としては、市民へ認知症の普及啓発も含めて、5期計画で大きく取り上げる予定である。

  • 委員 

高齢になってくると、認知症への恐れは大きくなり、認知症予防への関心が非常に高まる。そのため、認知症対策に重点を置いていることは良いと思うが、気軽に認知症予防に取り組めるとよい。元気な高齢者が認知症への不安を緩和できるような日常的な取組みが必要だと思う。

  • 委員 

慈恵医大は以前柏市と協力して老人性認知症疾患センターを行っていた。現在は契約が切れているが、その頃の流れで認知症の患者が多い。62ページで「認知症疾患医療センター」への市内設置とあるのは、新たに医療機関を設置するということか。

  • 事務局 

千葉県が既に存在する医療機関を「認知症疾患医療センター」として位置づけるものであり、新たに設置するわけではない。市内の医療機関が指定を受けられるよう県に働きかけていくということである。

  • 委員 

周囲から見て認知症と思われるのに、受診したがらない方もいる。自らや家族が認知症であることを認めたくないということから、受診を先延ばしにしていることが多い。普及啓発も重要だが、気楽に受診ができるシステムが必要である。いくらケアできる体制を整えても、気楽に受診することができるような仕組みがないと、人が寄り付かないのではないか。

  • 委員 

認知症の鑑別について、車の免許の更新と連動した仕組みなどがあるとよいのではないか。

  • 委員 

高齢者にとって、運転免許証の更新は返上のきっかけになることが多いので、それとは別に、自らが自信を持って取組めるような仕組みであって欲しい。

  • 委員 

認知症のご本人も不安だと思うが、その方を支える家族の不安の解消も重要な視点になると思われる。認知症サポーターの講座を地域に対して推進して欲しい。例えば、学校での教育に組み込んだり、商店街や銀行の窓口の担当者等に講座を実施したりすることで早期発見や認知症の方への支援を行えるのではないか。地域で守りあっていくことが、認知症にやさしいまちづくりだと思う。認知症サポーターの講座を数回受講したが、その度に新しい発見があった。身近な方が認知症になった時の対応がよくわかったという感想も参加者からいただいた。現在あるものを推進し、サポーターもあまり多くはないと思われることや、1度受講して終わりではなく、何度でも受講してもらえるよう、講座を各方面で推進して欲しい。認知症の項目にもう少し肉付けしてもらいたい。

  • 委員 

今回の素案に関して論点は他にもあると思われるので、事務局から説明して欲しい。

  • 事務局 

サービス見込み量について次回以降示し保険料を提示していくため、その前段としてご議論いただきたい点がある。まず、施設と地域密着型サービスの整備のバランスについてである。現在、介護老人福祉施設の待機者は約1,300人である。その中で次期計画では、どのくらいのベッド数を用意するべきか。また、対症療法的に広域型の特別養護老人ホームの整備を続けていくべきなのか、また、地域に密着し、施設と在宅を行き来できるよう、訪問介護、短期入所、通所介護の機能を持ち、25名を定員とする小規模なサービス「小規模多機能型居宅介護」、「グループホーム」、定員が29名以下で市民のみが入所できる「地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護」等の整備のバランスをどのように進めていくかが課題である。

2つ目に、介護老人福祉施設の居室について多床室、従来型個室、ユニット型個室のいずれの整備を進めるかが課題である。国の方針では、高齢者の個人の尊厳や在宅に近い環境の整備という観点からユニット型個室を推進している。柏市としても、基本的にはその方針に沿って整備を進めているが、現在はユニット型個室は5割に満たない状況である。そのため、国の掲げている、第5期末までに7割という目標値には至らない。その目標を達成した上で、今後ユニット型個室と多床室のいずれを選択するかの議論になると思われ、ユニット型個室の普及が先決と考えられる。

3つ目に、介護保険の改正に伴い新設された3つのサービスの導入についてである。一つ目のサービスは、定期巡回随時対応型訪問介護看護サービス。在宅で施設並みの安心感を得られるよう、定期的な安否確認と身体介護を行う。また、何かあったときは、ボタンを押すことにより、コールセンターと連絡が取れ、必要に応じてヘルパーの訪問を受けられる。

2つ目のサービスは、複合型サービスである。小規模多機能型居宅介護サービスに加え、訪問看護の機能を併せ持った一つの事業所としてサービスを提供する事業所である。このサービスの導入について、現在看護師等の人材が不足しているため、人材の確保が難しいと思われる。そのため、各論の第3章、第1節で主な取組みとして取り上げているとおり、訪問看護の活性化に力を入れていく予定である。その取組みの中で人員の確保等の問題について、環境改善に努めることにより、次期計画期間中に導入も可能と考えている。

最後に介護予防・日常生活支援総合事業について、心身の状態が軽度な方で要支援に認定されたり自立と判定されたりする方へ切れ目ない柔軟な対応を行うことを目的として新設された。しかし、介護保険を補完するサービスとして実施している市の単独事業との兼ね合いや、現在国から基本的事項のみが示されている状態であるので、慎重に検討を進めていきたい。市のスタンスについては、資料のとおりである。

  • 委員 

問題点を提示されたが、今回特に議論が必要な点はどれか。

  • 事務局 

広域型と地域密着型サービスのバランスについて、ご審議いただきたい。

  • 委員 

小規模多機能型のサービスは、実際に使ってみると制限が厳しい。

訪問介護の部分について、実際にはデイサービスの送迎の際にサービスの提供をするくらいに止まっている。短期入所については、インフルエンザが流行った折には預かれないと断られたという話も聞いた。運営自体も、介護報酬があまり高くないのでサービスの充実が進まないのではないか。ケアマネジャーも、もっと在宅を重視して動ければよいのだが、施設に入ってしまったほうが安心と考えてしまうことはある。家族も、短期入所や入院等で本人が家を空けると、自分たちの生活を作ってしまうことがあるため、施設・病院を問わず、入りっぱなしになるのではなく、自宅といったり来たりしながら生活できる制度があると良い。小規模多機能型ではその役割が果たせないのではないか。

  • 事務局 

ご指摘いただいた点について、小規模多機能型は包括報酬制であり、ケアマネジメントも小規模多機能のサービスの一環として行うため、在宅のケアマネジャーとのつながりが薄いこともあると思われる。ただし、自宅と行き来が可能である点については評価できると思う。その長所を伸ばすことや、運営面については、資料にもあるとおり、複合的な施設としてサービスを提供することを考えている。

  • 委員 

今までの話の中で心配なのはマンパワーである。マンパワーが充分であれば、納得できるが、計画通りにシステムが動くためには、かなりのマンパワーが必要になると思われるが、現状では難しいのではないか。

自宅で看取られたいという高齢者が全体の半数近くを占めている中で、自宅との連携をとりつつ、サービスが提供される必要がある。しかし、認知症が重度化すると、自宅で暮らすことには限界があると思われ、家族としては施設に入所した方が安心であろう。居室については、自分が見聞きした経験からすると、ユニット型がよいと思う。しかし、ユニット型でケアを行うのにもマンパワーが必要である。介護職の資格を持っていても離職する方はいる。今後いかに人材を確保できるかが重要と考える。

  • 事務局 

人材確保の点について言えば、訪問看護が人員の確保が厳しい状況にある。今まで市として、訪問看護の充実策等を打ってこなかったが、訪問看護ステーションの方々と議論をしながら、人材確保策として何が出来るのかを検討しているところである。その中で、小規模多機能と訪問看護ステーションの複合型サービスについて、今後の施策の状況を踏まえ、可能であれば今期中に導入をしていきたい。他のサービスの介護従事者についても、何が課題なのかを明らかにし、例えば給与が原因であるのなら、処遇改善交付金について国の動向を注視しつつ、各事業所で適切な給与が支給されているかについても確認するなど、きめ細かい施策を行っていく必要を感じている。

  • 委員 

要介護認定が必要にもかかわらず、プライド等の問題で受けていない方もいると思われる。柏市でもこうした方々への対策が必要ではないか。

  • 委員 

何床整備が必要かという議論について、提示された資料のほかに時間軸が必要と思われる。例えば、認知症が軽度であり、周辺症状が目立たない状況であれば、グループホームに入所することもよいと思うが、症状が進み重度になれば、特別養護老人ホームへの入所が必要になる。毎年何人の新規の認知症の方が増えるのかという議論以外にも、その方々の病気が進行し、施設に入所することが必要になる方がどのくらいいるのかという計算をしないと何床作るかという計算は難しい。その辺についても考慮して欲しい。

  • 事務局 

特別養護老人ホームについて、国の方針は要介護度の高い方を優先的にという考え方を示されているところである。今後、要介護度の高い方が増加するのに合わせて施設を整備するのは、限界があると考えている。セーフティネットとしての必要数を確保しなければならないが、先ほど委員からも指摘があったとおり、自宅で暮らすことを望むことが多いにもかかわらず、自宅で暮らせない方もいることを踏まえ、どこまで自宅で介護を受けながら暮らしていけるのかを探っていかないといけない。その手段として地域密着型サービスの整備を進めていく必要がある。現在は、施設に強く依存している状況である。また、時間軸については、計画開始後に公募をかけることを考えると、施設の開設は計画初年度からとはならず、後年になることについてご理解いただきたい。

  • 委員 

特別養護老人ホームの待機者は男女別では、女性が圧倒的に多いと思われるが。

  • 事務局 

男女別人数については手元に資料が無い。要介護度別の人数については要介護1・2の方が約3割を占めている。

  • 委員 

他にユニット型と多床室について意見はないか。

  • 委員 

現在の高齢者は、プライバシーについて気にする方も多いため、多床室よりはユニット型のほうが良いのではないか。

  • 事務局 

各居室について、多床室は一つの部屋をカーテン等で仕切り、2~4人で使用している。そのため、音や匂い等の問題があり、プライバシーを保つことが難しい。しかし、同室の方が異変に気づき、職員へ連絡することもある等、良くも悪くも管理がしやすいという面はある。従来型個室は回廊に個室が連なっているイメージである。ユニット型個室は房という意味であるが、約10人ほどでリビング・食堂を兼ねた共用スペースを持ち、各自個室もあるという設えである。国では、個人の尊厳という観点からユニットごとのケアを提唱し、それぞれの特色を出し、従前の生活を可能な限り維持できるよう、終の棲家として整備を進めている。

  • 委員 

ユニット型個室については、グループホームのような仕組みと考えてよいか。

  • 事務局 

お見込みのとおりである。グループホームはユニットの形式で運営されている。

  • 委員 

当面はユニット型を推進し、ある程度整備されたところで、選択を行っていくという考えということでよいか。

  • 委員 

多床室は費用が安いため、家族の負担を考え、本意ではないけれども入所している方もいる。また、個室ではさびしいという方もいると思われるので、選択肢を残して欲しい。

  • 事務局 

多床室の費用については、国でも議論されているところである。多床室は部屋代が介護保険から出ているため、他の居室よりも安い。しかし、他の居室と比較して不公平ではないかという議論が出ている。自己負担や、介護報酬でみてはどうかという議論もされている。今後、保険で部屋代を賄われなくなった場合には多床室における利用料金のメリットが、なくなってしまうことも考えられる。

  • 委員 

現状では、個室の経費を払える高齢者は多くない。個室だと、最低限14~15万の費用がかかる。生活保護を受けている方や収入が国民年金のみの方では入ることが出来ない。その点について考慮して欲しい。

  • 委員 

部屋代のメリットがなくなった場合の費用の負担については、多床室とユニット型個室で差がなくなるのか。それとも、ある程度多床室のほうが負担が少ないのか。

  • 事務局 

現時点では、国から費用を示されているわけではないので、正確なところはわからない。しかし、今後多床室について整備を控えたとしても、今まで整備されてきた多床室が無くなるわけではないので、今後も多床室はある程度存在することになると思う。

追加資料について事務局より資料を基に説明

  • 委員 

17億円の基金の取り崩しについて、どのくらいまで取崩せるのか。例えば全額取崩すということは可能なのか。

  • 事務局

 財政調整基金の取り崩しの考え方については、第3期に国から方針を示されているところであり、基本的には各自治体の判断とされている。

  • 委員 

17億円の基金の投入が保険料にどのくらい影響を与えるのかを知りたい。

  • 事務局

 参考として、1ヶ月の介護保険給付が今年度は12億円弱である。また、第4期に約7億5千万円投入した際は約265円介護保険料を引き下げる効果があった。それを鑑みると、大きい金額とはいえない。

  • 委員 

全て投入すると次期以降の保険料の抑制手段がなくなってしまうのか。

  • 事務局

 他には、平成24年度に限り、特例で県に積み立てた基金の取り崩しが認められている。現金ベースでの抑制策はそのくらいである。

  • 委員 

今回すべての基金を取崩した結果、次期以降保険料が跳ね上がることもあるのか。

  • 事務局 

保険料についてはサービス量に基づき積算の結果である。次回以降詳細をお示しする。

  • 委員 

数字だけではわかりづらいので、もう少し問題提起して欲しい。10年後を見越した内容にして欲しいと考えている。柏市にとっては10~20年後が高齢化のピークと思われる。そのあたりを焦点として考慮しないと、急激に保険料が上がることも考えられる。詳細は次回の議論としたい。

(2) その他 

基準条例ワーキングの進捗状況報告

  • 事務局

各関係機関から委員をご推薦いただき、訪問介護事業者より2名、介護支援専門員協議会より1名、介護老人保健施設より1名、介護老人福祉施設より1名、他合計10名の委員から組織することが出来た。今後の進捗状況等について、また本分科会においてご報告する。

 5 連絡事項

(1)日程

平成23年12月22日 木曜日 午後1時30分

(2)場所

いきいきプラザ2階 研修室

6 傍聴

(1)傍聴者

2人

(2)傍聴の状況

傍聴要領に反する行為は、見受けられなかった。