平成30年度第3回柏市自殺予防対策連絡会議会議録

1 開催日時

平成31年2月7日(木曜日)午後1時55分から3時20分まで

2 開催場所

ウェルネス柏4階 研修室

3 出席者

  1. 委員(16人、うち代理出席1人)
    宮島委員議長、山崎委員副議長、竹内委員、長瀬委員、織田氏(小池委員代理)、伏野委員、橘委員、白田委員、加藤委員、中村委員、髙橋委員、秋山委員、山口委員、高木委員、染谷委員、内田委員
  2. 事務局(7人)
    (社会福祉課) 田口課長、松﨑主幹、鈴木副主幹、飛田主査
    (保健予防課) 戸来課長、野口専門監、梅宮主査

4 議事

  1. 柏市自殺対策計画(案)について
  2. 柏市自殺予防対策連絡会議設置要領の改正について

5 議事(要旨)

1.柏市自殺対策計画(案)について

事務局からの説明後、次のとおり意見交換が行われた。

  • 計画の最終案について、網羅的にはまとまっているが、何かアクセントをつけたほうがいいのではないかと感じた。柏市の自殺未遂者率が全国より高いということだが、この数値を平成29年度の自殺者数68人から換算すると、未遂者が17人程度いるということになる。その対策として、自殺未遂者に対するフォローアップケアやアウトリーチ事業を少し強調したほうが、自殺者数の削減目標の目玉はここだということがわかるのではないかという印象を持った。私どもの事業では、アウトリーチ事業が厚生労働省で認められていないため、自殺案件が発生したときは保健所やあいネットと連携してフォローをお願いしている。こういったところの強化を、人員確保や予算措置の面でもお願いしたいと思う。(山口委員)
  • 保健予防課の心の健康づくりの取組みのなかで、個別ケースの対応としてアウトリーチを含めた支援は日々行っている。ケース対応をするなかで、例えば大量服薬で自殺未遂をしたという情報が病院から入るので、そこはケースの属性として押さえた上で入念に対応しているつもりである。一方で、全てのケースで自殺企図がありますかと聞くのは難しいので、個々のケース対応のなかで行っていくという認識である。それを計画のなかでアピールすることについてはご意見として承る。(事務局)
  • 社会福祉協議会では民生委員、地区社協などの福祉資源を相当数持っている。この計画のなかで、改めて地域のコミュニケーションの大切さを感じた。民生委員に対し、計画の周知と実行段階での考え方を周知してほしい。計画ができたから新しいことをやるのではなくて、これまでやってきたことの積み重ねが大切。民生委員や地区社協の連絡会を通して話をしていきたいと思っている。また地域づくり推進事業として、地域づくりコーディネーターを配置するという事業もとても大切だと思う。町会やふるさと協議会などの力を活用することが非常に効果的であると思う。(秋山委員)
  • 働いている方の相談、特にメンタルの問題を抱えている方の相談で共通していることとして、まず相談を受ける立場の方の教育や研修、資質がしっかりしていなければならないことと同時に、横の連携をしっかりと行っていく必要があると思う。自殺は命にかかわる問題なので、信頼関係の構築が大事。その部分におけるフォローアップをしっかり行ってもらえればと思う。(髙橋委員)
  • 全般的によくまとまっていると判断する。また、パブリックコメントはどこの市も殆どないと聞いている。12ページに記載されている地域のコミュニティはとても大事である。地域活動の低いところをいい方向に持っていくために、具体的にどのように実行していくかが重要。9月の自殺予防週間に働く人の電話相談を開設し、市役所と一緒に柏駅前でキャンペーンを実施しているが、相談者はどうしても20歳以上の年齢の方が多く、20歳以下の相談はほとんどない状況。若い世代はあまり電話を使わないということで、私どものほうで、関西エリアでSNSを使った相談業務を3月から約2カ月間で実施予定である。実験的な取り組みではあるが、その結果を次の段階で生かすことができればと思う。(中村委員)
  • 計画案は具体的であり、自分達が見てもわかる内容である。いのちの電話は匿名性が高く、年齢も先方から言うことはあってもこちらからは基本的には聞かない。相談員も少なくなっているが、それでも24時間頑張っている。電話をかけてくる人は大部分が病気を持っており、病院に通っている方。最近では特に生活保護を受けている方からの電話が多い。相談は一期一会なので、相談員が解決したりアドバイスしたりすることはできないが、今ここで、相手の気持ちに関わろうとしてやっている。地域でアドバイスできるような体制ができればよいと思う。(いのちの電話 渡邊氏)
  • 2月24日にパレット柏で自死遺族支援公開講演会が開催されるが、おかげさまでほぼ満席の状態。当日は講演終了後に対面相談も行う予定である。いのちの電話で一番困っていることは相談員が足りないこと。24時間で相談を受けることは大変なことで、なかなか人が集まらない。皆様のご協力をお願いしたい。(加藤委員)
  • 計画案は、特にライフステージに応じた支援として、年代別に分かれているところが見やすいと思う。24ページにSNSによる相談窓口の検討とあるが、若年層の自殺が多いことにも関連して、不登校児の自殺についての問題意識を強く持っている。中学校まではスクールソーシャルワーカーがつくが、卒業して高校に進学した後に不登校になってしまうと、その後がなかなかつながらない。誰が見守り支援するのか、心配しているところである。SNSによる相談窓口の検討のなかで、不登校児にも届くような利用しやすいものを検討してほしいと思う。(曽波氏)
  • 柏市民健康づくり推進員は、主に子育て事業として、母と子どもが孤立したり育児ストレス抱えたりしないよう、母と子のつどいや子育てサロンを通じて地域の情報を少しでも多く届けたいという思いで頑張っている。同じような年頃の子を持つ親どうしは話がはずむので、母親どうしが交流できるサロンや集いのようなものが活発になればいいと思う。(橘委員)
  • 16ページに掲載されている、自殺に至る経路図がわかりやすい。自殺の原因は1つではなく、色々なものが複雑にからみ合っているということがよくわかる。だからこそ簡単に解決できない問題であることを改めて感じた。前回の会議において、健康経営に関するお話をさせていただいたが、今回は働き方改革についてお話をしたいと思う。今年4月から有給休暇の取得が義務付けられたことに伴い、説明会を開催しているが、事業者の関心が非常に高い。セミナーを開催するとすぐ満席になるという状況。職場の人間関係も自殺の大きな要素であることを考えると、こうした取組みも必要なのかなと思う。(伏野委員)
  • 理事長の代理として出席している。計画案を見て、初めて柏市の現状を知ることができた。病院内に相談員は8人いるが、病院の敷居が高いと言われているので、相談員レベルで、最初の電話を取るところや窓口からその敷居を下げていこうと頑張っているが、なかなか難しい。やっとの思いで電話をくれてもその場では受診につなげられない。力不足を感じており、院内の体制づくりを何とかしたいと考えているところである。折角の機会なので、柏市の現状を現場に通して、助けを求めてくる人に相談員から関われるようにしたい。(織田氏)
  • いくつか気になっていることがある。計画案自体については特に意見はないが、本日配付された冊子「あなたが困ったとき…相談窓口」について。7、8ページの医療機関を知りたいというところや、健康に関する相談をしたいというところに柏地域医療連携センターの案内がない。このセンターは医療全般においての相談を受ける窓口になっているのに、同じ庁内で作っているのにセンターの案内が入っていないのはなぜか。横のつながりをもっと作ったほうがよい。もう1つ、4ページに男性のための相談窓口が知りたい、女性のための相談窓口が知りたいとあるが、LGBTの人はどこに相談するのか、そうしたことに配慮しなければいけないと思う。この冊子は平成30年度版なので、来年度に向けて改善する必要があると思う。また、今日は清水委員がいらしていないので、千葉大学のメンタルサポート医療人育成事業について話をしたい。これは国の事業として新年度から立ち上がる。精神科医や臨床心理士でない限り、メンタルサポート医療人というのは現状ではあまり多くない。その足りない人材を何とかしていこうという取組みで、全国のなかでも千葉大学で始まるということを報告した次第である。次に、前回の会議でもお話したが、社会的孤立が自殺につながる可能性が高く、孤立した人が自殺しているのが大半である。そこには貧困があり、それをどこで見るのかと考えたときに、やはり食ではないかと思う。食事をちゃんと摂れているのか、朝食は食べているのか、誰と食べているのかなど、食のことはとても大事だが、計画には殆ど書かれておらず、調査のなかでも記述がない。今後はぜひ加味してほしい。また、伏野委員から働き方改革についての説明があったが、労働安全衛生法の改正に伴い、4月から産業医の役割が重くなる。もう少し企業に対して積極的にアプローチしていかなければならないと思う。従業員が50人以上の事業者は産業医をつけなくてはならないが、50人未満の事業者に対してのアプローチも積極的にやらなくてはならない。柏市の特徴である20代から30代の男性の自殺、つまり働く人、働きたい人の世代が多いということである。何らかの対策を求めたい。(長瀬委員)
  • 貧困や社会的孤立の部分については、ケース支援を持っている保健所の対応のなかで、いわゆる食に対するアセスメント、情報収集は行っているところである。例えば自分が最近経験した事例では、自殺リスクも高いと思われる難民の方のケースで、あいネットとも相談しながらフードバンクにつなげたという事例があった。貧困の部分については、16ページの自殺に至る経路のなかで、貧困や失業に関わる矢印の経路をいかに断ち切るか、この経路遮断ができれば自殺者も自ずと減っていくと思うので、何ができるかを各自の部署でそれぞれが考えていかなくてはならない。特に保健所では個別ケース支援のなかで、栄養状態については改めて強く意識していかなくてはならないと感じた。また、企業アプローチについては35ページに記載の地域職域連携推進協議会が関わっている。先日行われた会議の場でも、産業医の設置義務がない企業へのアプローチが議論になった。産業医も数年ごとに単位を取得して資格更新をしなければならない中で、産業医の先生方は研鑽されていくが、そうした産業医の先生をいかに活用して、産業医の設置義務がない事業所にアプローチしていくかが課題である。今後の会議でも議題に上がってくるのではないか。(事務局)
  • 先ほど意見のあった相談の話に関連して、相談業務の場では、少し前からLGBTについてはどこに相談すればいいのかという問い合わせが増えている。現在、千葉県のほうでLGBTの支援体制を検討中であり、間もなく対応策が明らかになると思う。もう1つ、病気の方からの相談が多いという話があったが、厚生労働省において治療と職業両立支援のための対策が進められている。千葉労働局長の話では、千葉県が最も両立支援が進んでおり、その活動を厚生労働省が全国に広げようとしているとのことである。数年前はがんになって会社を辞め、仕事を失ってから病院に相談に来ていたが、今はPRが功を奏し、全体の3割位が仕事を辞める前に病院に相談に来ているとのことであった。(中村委員)
  • 主に事後対策に関わっている。自死遺族支援わかちあいの会を月に1回やっている。他にグリーフケアを8カ所程度に広げている。生と死を考える会は全国に45カ所ほどあるが、これほど活発にカウンセリングをやっているのは我々の会くらいだと思う。ただ、体制の問題として全体的に高齢化しており、次の世代をどう育てていくかが課題である。グリーフカウンセリングをやるスタッフを養成していかなければならない。麗澤大学のオープンカレッジで養成講座を開催し、実際にカウンセリングやわかちあいの会に出席された方に資格と与えるという形でやっている。また、上智大学にグリーフカウンセリングの大学院があり、そこの学生に実習の場を提供している。そのような形で組織としても活動できるように継続していく。他にも麗澤大学では講演会や勉強会、死について自由に語るデスカフェなどを行っている。これから超高齢化社会となる中、死を見つめてどのように生きていくかを考える活動を充実していきたい。(竹内委員)
  • 自殺に至る経緯は本当に様々ということで、私からは自殺に至った場所について話をしたい。というのは、経済産業部で管理している道の駅しょうなんという施設があるが、この施設の駐車場で、練炭を使った自殺案件が昨年末に起きてしまった。駐車場は24時間入れる状態で、夜の見回りもなかなかできない状況であった。今後は、本日配布された冊子を置いたり、見回りを強化して車の中にいる人に声をかけたりすることで、自殺を起こさない環境づくりを行っていきたい。(染谷委員)
  • 44ページからのライフステージに応じた支援のなかで、主に学齢期への支援に関わっている。若年層の自殺が多いということで、現在、柏市に県のスーパーバイザーに来てもらっているが、このところ高校生の自殺が増えていると聞いており、深刻な事態であると捉えている。自殺対策は問題の早期発見や早期対応が必要になってくるので、学校教育でやれることは非常に大きいと考えている。特に45ページの主要事業、SOSの出し方に関する教育の推進のところで、困ったときに助けてと言える、助けを求められることが子どもたちの力として必要であると同時に、子どもが発したSOSのサインを大人側が敏感に察知できる体制が重要と考えている。計画に記載された主要事業を軸に、やれることは最大限に、打てる手立てをやっていくという思いで取り組んでいきたい。野田市で起きた虐待の件にしても、連携ががうまく機能することで救える命があると思うので、この計画ができたことで具体的な連携が強化していくのはありがたいことである。各種の事業を通して横の連携を深めていきたい。(内田委員)
  • 野田市で小学生が亡くなるというとても残念な出来事があった。柏市の要保護児童については全件の安全確認ができているが、ケースは常に生きているので、今は大丈夫でも明日の保証はない。きちんと対応していかなければいけない。妊娠や出産、育児のなかでリスクの高い方がいる。特に母親の産後、精神的に疲労して体調を崩したり、育児に悩んだりして精神的に追い込まれ、リスクが高まってしまうケースがある。保健所と連携しながら早めの受診につなげているところである。今後も、子育て支援のなかでリスクが高い人がいることを認識しながら、関係機関と連携して救える命を救っていきたい。(高木委員)
  • 保健所で実施している精神保健福祉事業を中心に、今回の計画のなかで、相談事業や啓発事業に係る人員の確保、携わる職員の資質向上に努めていきたいと思う。(山崎委員)
  • 議事の最後に、議長より、委員からの様々な意見をもとに、計画内容の軽微な修正については事務局に一任するとともに、この計画案を最終案とすることに同意を求めたところ、意義なく了承された。

2.柏市自殺予防対策連絡会議設置要領の改正について

議長より提案趣旨の説明を行い、委員に意見を求めたところ、特に質疑や意見はなく、提案のとおり了承された。

6 その他

  • 保健予防課より、2月21日に行われる柏市精神保健福祉担当者連絡会の案内があった。
  • 加藤委員より、いのちの電話の相談員募集について、募集要項やチラシができたら配付させてもらいたい旨の説明があった。

7 傍聴

傍聴者 1名

8 次回開催予定

2020年1月頃

9 会議資料