平成29年度第1回柏市消費者行政推進協議会会議録
1 開催日時
平成29年5月31日(水曜日)午後2時~4時10分
2 開催場所
柏市中央体育館管理棟2階会議室
3 出席者
委員12名
谷生委員(会長)、齋川委員(副会長)、浅野委員、伊藤委員、葛綿委員、金子委員、狩野委員、髙橋委員、西岡委員、沼澤委員、牧内委員、湯浅委員
事務局6名
平塚市民生活部長、諏訪部消費生活センター所長、松﨑同統括リーダー、杉森同担当リーダー、小板橋同消費者教育相談員、森田同消費生活相談員
4 議題
- 平成28年度消費生活センター業務の実績報告
- 柏市消費者教育推進計画策定(案)についての説明
ア 策定スケジュール(案)
イ 柏市消費者教育推進計画(案)及び柏市版消費者教育体系イメージマップ(案) - 柏市消費者教育推進計画策定(案)についての協議
5 議事(要旨)
(1) 平成28年度消費生活センター業務の実績報告
平成28年度消費生活センター業務の概要、及び平成29年度の柏市消費者行政の主な施策について、事務局から説明した。
(2) 柏市消費者教育推進計画策定についての説明
計画の策定スケジュール(案)、柏市消費者教育推進計画(案)及び柏市版消費者教育体系イメージマップ(案)について事務局から説明した。
(3) 柏市消費者教育推進計画策定(案)についての協議
(会長)柏市消費者教育推進計画策定にあたり、計画(案)、策定スケジュール(案)、イメージマップ(案)について、改善すべき点や不足するところ、各委員が属する分野において協力できるところ、又は検討していく上で意見を聞いたほうがよいと思われる部署などについて意見を伺いたい。
(委員)以前は、消費者行政推進協議会委員の中に、学校の先生の代表が1~2人入っていた。学校教育においては既に消費者教育を行っているということだが、今回の計画を作る場には、やはり現場にいる先生に入ってもらっていたほうが、現状に即した意見を総合的にもらえると思う。次期委員の委嘱の際は配慮してもらいたい。
次に、計画の目標として、「騙されない 騙さない よく考える市民」という案があったが、これは消費者被害が多いという現状を反したものとも受け取ることができる。それよりも、最近は「消費者市民社会」という言葉も出ているので、それを目指すような表現を考えてはどうか。
市民の願いは、特に意識しなくても安全・安心に暮らしていけるということ、それはどういうことかというと、良い環境の中で、おいしく食べることができて、衣服を普通に着ることができて、医療も整っていて、最期まで暮らすことができるということだと思う。そのため、消費者教育として買い物に関心を持ってもらうことはそのとおりだけれども、もっと幅広く捉えて、命の大切さ、食品の安全性や食品ロスの問題なども含めてもよいと思う。このようなことは国や県の計画にはないかもしれないが、市の計画には含めて考えてもらいたい。
(委員)イメージマップの中で「消費生活と環境、資源及びエネルギーとのかかわりを知り、消費生活に生かそうとする」というものがあるが、現在は地球温暖化が大きな問題となっているので、小学生期から高齢期に至るまでの幅広い世代を対象として、このようなことをしたら地球温暖化につながるというようなものも入れるとよいと思う。
(副会長)消費生活コーディネーターの活用という点だが、コーディネーターから、高齢者の中に気になる方もいるけれども、地域包括支援センターの業務やその流れや、連携のとり方がよくわからないという意見もあったということで、先日、消費生活センターからの依頼により、市内3箇所の地域包括支援センターの社会福祉士にも来てもらいグループワークを行った。
また、これからは高齢者の集いの場が必要になってくる。今、柏市でも柏市社会福祉協議会の審査を通ると、普段地域で活動しているサロンに対し、月に一回講座を開催するなどの一定の要件を満たすと補助金が出る。そこで、地域包括支援センターでは、今後、市内全地域で介護予防に関する講座を展開していくことになるので、その中でコーディネーターにも15~20分程度の啓発をするようお願いしたいと考えている。
(会長)高齢者の認知症に関して、例えば、認知症の症状が出てきながらも自分では認めたくないという方もいると思うが、このような場合に各段階で注意すべきことなどはあるか。
(副会長)自分の経験では、軽度の認知症の方であっても、そのことに自身で気づいてもらえれば、数ヶ月の時間はかかるが、専門の窓口を受診してもらうことはできる。受診までの間に届いた商品や請求書などは、地域包括支援センターでも確認することはできると思うので、それらを持って消費生活センターに一緒に相談に行くことができる。
まずはその高齢者との人間関係を築くことが最も重要で、解決はその次だと思う。
(委員)ある高齢者が認知症であると知った時、周囲の人には対応の仕方がある。我孫子市では、高齢者への接し方を、消費生活センターは入っていないかもしれないが、消費者団体などが絡んで学校で教えている。柏市ではどの部署が担当するのか教えてもらいたい。
(事務局)認知症対策については福祉活動推進課の所管になると思う。認知症については社会的な問題にもなっているので、そのようなプログラムを考えている学校は、柏にもあると思うが実態は把握していない。ただ、国も消費者教育と認知症との関連を言っているので、おそらく実施している学校はあるのではないか。
(委員)昨年度、消費者教育に関するアンケートの配布を取るのに協力したが、その中で「消費生活の情報はたくさんあるか」という設問に対し、「ない」という回答がたくさんあった。また、柏の消費者三団体で消費生活に関する講習会を実施したが、なかなか人が集まらなかった。
こちらがいくら発信しても、受け取る側が興味がなければ効果が無い。そのため、興味を引くようなものを考えて、色々な情報を発信していくことが必要だと思う。
(委員)先ほどの認知症の件だが、社会福祉協議会で認知症に関する集まりがあった。そこで、二松学舎高校の学生が認知症の高齢者への接し方を解説した紙芝居をしたが、これを学校でできるとよいのではないか。
(委員)目標は分かりやすく、単純に表現した方がよいと思う。
最近は、昔あった近所付き合いなどのわずらわしさがなくなりつつある。それぞれが無関心で、普段はそのほうが気楽かもしれないが、近所の人のことを知らないと、例えば震災や事件など何かあった時に対応できない。個人情報保護を、法の趣旨を理解せずに恣意的に利用されてしまうと、我々の暮らしがおかしくなっていくと漠然と感じる。そのような中、昔は自然と身についていたものが、今は消費者教育として周りが考えてあげないとならない。
しかし、近所の子を注意したりすると、親からクレームを言われたりするため、叱ることができなくなる。まずは親を教育をするところから始めることが必要で対応に苦慮する。学校の先生についても同様で、モンスターペアレンツへの対応で心の病になってしまう方もいる。
(会長)このイメージマップにおいては、幼児期については、親を意識した消費者教育となっていると思うが、小・中学生の時期において、それを支える保護者や地域の方を意識した消費者教育というものがあってもよいと思う。
また、これから検討していくと思うが、それぞれのステージで、最も伝わりやすい媒体を使う工夫が必要だと思う。
例えば、幼児期・小学生については、学校や幼稚園もあると思うが、やはり両親からの情報が非常に大きいと思うので、PTAや保護者会、あるいは入学式などの機会にチラシ配布や短時間でも消費生活にかかる話をする時間があるとのもよいかもしれない。
高校生から若者については、家族や学校よりも、情報を自分で収集したり友人から得ることが多いので、媒体はインターネットが多いと思う。
高齢者については、最近はスマートフォンを使う方もいるようだが、やはり紙媒体が多い。また、地域の人づてのことということも多いかもしれない。そうすると、見守りネットや町内会、または定期的に通っているであろう病院などに情報を集めておくと高齢者にはアクセスしやすいと思う。
このように、イメージマップを具体化していくためには、それぞれのステージにおける媒体を考えることも必要だと思う。
また、千葉県弁護士会の松戸支部では、講師派遣をしている。学校をはじめ、どのような団体でもよいので消費者教育に活用してもらいたい。あわせて、消費者相談に関しても安価に相談することができるので、もし悩みがあれば敷居が高いとは思わずに、是非、弁護士会に相談してもらいたい。
成年後見についても、我孫子市には高齢者の関係で弁護士を派遣するなどしているが、申し立ての相談などについても連携していきたいと考えているので、弁護士会に相談してもらいたい。
イメージマップに関して、学校に関しては比較的まとまっているが、幼児期や青年期、高齢者に関しては、皆様から色々と意見を出してもらいたい。いかがか。
(委員)改めて思ったことだが、市の対策として消費生活センターをもっと目に留まるところに移設してはどうか。現在のセンターの場所は、用事がないとなかなか行かない場所にある。消費生活センターという名称を聞いたことはあるけれども何をする所か分からないという声もあるので、いつも買い物をするような場所に消費生活センターがあるとよいと感じた。
また、消費者教育は生活の基本になるものだと思うので、学校やPTA、町会を使うこともよいとは思うが、家庭の中で親から子へ、子から孫へというように世代間で口伝していくような教育が理想と考える。
資料を見ると、マナーを守る、約束を守るというのは生活していく上で基本中の基本だと思うし、あらゆるものは有限なので大切にしなければならないということを皆の意識に植えつけていけるとよいと感じた。
また、先ほど認知症の話があったが、自分の担当地域において、認知症であることに周囲の人が気づいていない高齢者がいたが、コンビニエンスストアで何度も同じ物を買っていくことにその店の店員が気づき、地域包括支援センターにつなぐことで被害を防いだケースがあった。その一方で、認知症であるとわかっていながら、コンビニエンスストアの店員が騙し取ったということもあり、地域力が大切だと感じた。
現在、民生委員活動として5月中旬から6月末まで、高齢者に声かけ訪問をしている。柏警察と連携して、市内500人強の民生委員が、高齢者宅を一軒一軒回って、手渡しでチラシを配布しているところだが、「注意してください」という言葉を添えて、手渡しをすれば効果も違うと思う。
(会長)次に、消費者団体の立場から、いかがでしょうか
(委員)先ほど話があったように、生まれてから死ぬまでが消費者教育だと思う。特に幼児期の教育は、保育園や幼稚園に行く前に、両親がしっかりと教えなければならないと思う。
まずは両親から、それからだんだんと大きくなるに従って学校、地域が連携して教育していくのが消費者教育の基本だと思う。
(委員)自分が担当する地域でも、高齢者を集めるサロンをいくつか行っているが、高齢者の消費者被害を防止することを目的に、「かたくりの会」に寸劇をお願いしたことがある。細かく解説していくのも一つのやり方だが、面白おかしく伝えることができるとよいと思うので、このようなものを活用するのもよいと思う。
(委員)論点が色々あってずれてしまうかもしれないが、計画の目標として、最近はソフトイメージのものを置くことが多いので、大きな目標としては「思いやりのある、助け合える市民を目指します」というようなものでもよいのではないか。
次に、消費者教育に関する警察の取り組みを説明すると、幼稚園、小学校、中学校に対して非行防止教室や薬物乱用防止教室を実施しており、今年は全校から依頼があり、現在、手分けして行っている。そこで、先日、我孫子で事件があったため、不審者対応にも触れ、併せて万引きやインターネット関連のこともやっている。
ただ、現状を話すと、万引きについては、最近は65歳以上の高齢者の事件が非常に増えており、少年よりも多くなっている。子どもの場合だと、捕まったらごめんなさいと謝り、保護者を呼んで引き渡すということになるが、高齢者の場合は頑固な方も多く、名前も言わない、住所も言わない、盗ってもいないということで、そうなると逃走の恐れや証拠隠滅の恐れがあるということで逮捕することになってしまう。70代、80代という自分の親の世代を牢屋に入れる心苦しいケースも最近は多い。
そこで消費者教育とは言えないかもしれないが、最近は店舗側にお困りですかというような声をかけてもらい、万引きをしにくい環境を作るよう働きかけている。
また、認知症に関しては警察でも問題となっているが、毎日のように行方不明者があり対応に苦慮している。警察を頼ってもらうのは結構なのだが、相談に対応する職員は数人しかいないため、対応が手薄になってしまう。事件に関わることは当然警察に相談することになるが、相談については、柏市にはたくさんの相談機関があるので、事件に関わるものではない相談については、他の相談機関もあるということを周知してもらいたい。
現状を見ると、昨年の犯罪の認知件数は約3,800件で、県下ワースト1位である。県下の大きな都市で警察署が1つしかないのは柏だけという事情はあるが、昨年は振り込め詐欺が年間66件、被害額1億円だったことに対し、今年は4月末時点で36件、被害額8,500万円となっている。
警察は、犯罪者を捕まえること、パトロールをして犯罪を1件でも減らすことが最大の目標であるが、現在はこのように業務が多岐に渡っているので、もう少し治安の維持に注力できるよう協力いただきたい。
(会長)本日は、日頃、消費生活相談を受けている相談員も同席しているので、消費生活センターに相談するまでにはどのような障害があるか、気づくところがあれば教えてもらいたい。
(事務局(相談員))まず、消費生活センターを知らないという方も多く、認知度が低いと思う。相談の電話を1本入れるまでのハードルが高く、もしかしたら泣き寝入りをしている方が埋もれているのではと感じている。
また、高齢者の中にはプライドが高く、騙されたとは思いたくない方も多くいるが、そのような方ほど、悪質な手口により高額の被害に遭うケースも多い。気軽に電話で相談するよう周知してもらいたい。
次に、来所相談される方の中には、消費生活センターの場所がわからずに迷子になる方もいて、迎えに出ることも何度かあった。
イメージマップに関しては、未成年者が契約当事者となっている件について、親から相談を受けることが非常に多い。最近の事例では、インターネット通販の定期購入に関するトラブルが増加しており、高齢者の方であれば健康食品、若い方であればサプリメントやダイエット食品、化粧品などの相談が多い。このような物はよくよく確認した上で購入してもらいたいが、中には消費者に落ち度があるとはいえないものもあるので、消費者教育において、若者が陥りやすいトラブルとしてはこのようなものがあるということをその親に対して啓発してもらいたい。
(委員)イメージマップ案の裏面を見た時に、小学校、中学校、高等学校の時期における内容は充実している反面、幼児期や成人期については薄いと感じる。確かに自分を振り返ってみても、成人期になってから学ぶ機会はあまりなかったように感じる。
また、現在、自分の子は保育園に通っているが、既にスマートフォンを操作できてしまうので、情報化社会が進む中、子供向けの消費者教育用のアニメDVDなどがあってもよいと思う。
それから、子を保護者が守っていくということはあるが、親も高齢になると判断能力が落ちていくので、今度は子が親を支えるということが盛り込めるとよい。
(委員)イメージマップに関してだが、自分の子は保育園通いであったが、保育園では道徳における約束を守るなどの指導をしてもらっていたので、水色の欄(商品等の安全)は幼児期に伸ばしてもらってもよいと思う。
また、先程から意見が出ているように、幼児期・小学生期などはまず家庭ありきだと思う。ただ、現在は常識が常識でないようなところもあり、また、それぞれの家庭環境も異なるので、家庭で何をするのかが明示してあるとよいと思う。
(委員)事業者側からの意見ということで、会社も消費者志向経営ということになっているが、何をどうするのか模索しているところといえる。
他の会社でも同様だと思うが、会社として取り組んでいるのは、お客様からいただく声、苦情もあれば感謝の声もあるが、それを吸い上げ、取り入れて経営に役立て、お客様にフィードバックしていくということを、この10年やっている。
しかしながら、それを活かせているかというとまだまだこれからであり、日々業務をする中で、お客様の声から気づかされることはたくさんあるものの、多くの対応に追われて、なかなか着手できていないところである。
消費市民社会という非常に大きなテーマに関する教育ということだが、現在のネット社会は、自分が育った時期とは全く異なる状況である。そのような中、教育というと上から教えるというものになるが、アンケートやメールなど色々な方法を使って、子どもや学生から声を聞くという視点や仕組みも考えてもらいたい。
(会長)経験談として、育児支援の中で、例えば子どもができた時や、2歳のイヤイヤ期などは、母親は市に相談したり集会に参加したりするなど、情報収集に関心がある時期だと思うので、ここで子どものモラルや、物を大切にするということを啓発してはどうか。
(委員)以前、消費生活センターは学校への関わりがすごく多く、自分達の会も学校で洗濯セミナーを行っていた。現在はどうなのかわからないが、消費生活センターには、学校や一般市民との関わりを拡大していってもらいたい。
(委員)計画の目標にあった「騙されない 騙さない」という表現には、やはり反対である。計画は、より良くしていく為にはどうしていくのかということで作るものだと思う。
(会長)以上で本日の議題は終了する。事務局には、本日の各委員からの意見を踏まえるとともに、関連各課から意見を聴き、改めて案を提出してもらいたい。
(4) その他
(事務局)
現委員の任期は平成29年7月31日までのため、本日が最後の出席となる委員もいると思う。これまでの御協力に感謝申し上げる。
第2回協議会は10月開催を予定。
6 傍聴
傍聴者なし