令和元年度第3回柏市国民健康保険運営協議会会議録

1 開催日時

令和2年1月30日(木曜日)午後2時から午後3時20分まで

2 開催場所

柏市役所本庁舎5階 第5・6委員会室
(柏市柏五丁目10番1号 )

3 出席者

委員

坂巻委員、田原委員、長谷川委員、志賀委員、高石委員、細井委員、小林委員、百瀬委員

事務局

中山市民生活部長、野口保険年金課長、本郷副参事、小倉副参事、小野澤統括リーダー、大野主査(企画管理担当リーダー)、松井主任(企画管理担当)、山口主事(同)、澤村主事補(同)、横山主事補(同)

4 議題

  1. 令和元年度柏市国民健康保険事業特別会計決算見込みについて
  2. 令和2年度柏市国民健康保険事業特別会計当初予算について

5 議事(要旨)

事務局から資料に沿って説明を行った。これに対する主な質疑内容は次のとおり(カッコ内は発言者)。

  • (長谷川委員)

    今回の保険料率の引上げについて、該当する被保険者や市民にはいつごろ、どのような形で周知する予定か。

    (野口課長)

    決定した保険料率については、柏市国民健康保険条例の規定に基づき、市庁舎掲示場で告示する。時期は令和2年4月1日を予定している。また、令和2年6月中旬の保険料の納入通知書の発送前の周知として、令和2年4月1日に市のホームページで新しい保険料率の内容をお知らせするほか、パンフレット「こんにちは国保です!」や令和2年5月15日号の広報かしわ別冊に掲載し、市民の方に広く周知する。「こんにちは国保です!」に関しては、保険料の減免申請や高額療養費の案内といった国保全般に関する重要な内容をほぼ掲載していることから、令和2年7月の被保険者証の一斉更新の際に同封して全世帯に送付している。 
  • (小林委員)

    改定後の保険料は、千葉県内ではどの程度の水準になるか。

    (大野主査)

    柏市の令和2年度料率案と、他市町村の令和元年度の料率を用いて比較した参考値となるが、資料21ページの単身世帯・所得85万円・介護分なしの場合の83,600円という額は、県内54市町村の中で42番目の高さとなる。また、資料22ページの2人世帯・所得227万円・介護分なしの場合では34番目となる。なお、実際は各市町村の令和2年度の保険料率の改定状況によって変動することになる。
  • (志賀委員)

    令和2年度単年で見ると、増額はリーズナブルなものかもしれないが、あるべき保険料額を目指しながら全増していく予定なのか。

    (大野主査)

    基準となる県の激変緩和後の水準が今後自然増によってどう推移していくかにもよるが、令和5年度までは県の激変緩和を受けているため、自然増がなかったとしても県の激変緩和後の数値は上がっていくことになる。そのため、基本的に保険料は上げていく必要があると考えている。保険料を毎年上げていくのか、または2年に1度上げていくのかというところでは、基金を活用しながら保険料の上昇の幅を抑えているため、毎年基金を一定程度活用しつつ、保険料を上げていきたいと考えている。

    (志賀委員)

    8ページのグラフ右下の保険料の伸びを見ると、毎年同じ程度の額の増加が見込まれる。5年間同じように増加したら特に低所得者にとってはかなり厳しいものになるのではないか。

    (大野主査)

    低所得者に対しては法定軽減措置がある。料率を改定していくと均等割・平等割の部分も上がることになるが、その一定程度については法定の軽減を受けられる。

    (志賀委員)

    例えば年収が350万円、所得が225万円の方の場合、今回5,500円上がる。5年で2万5千円とすると所得の1パーセントを超える増額になる。これは耐えられるものなのか。

    (野口課長)

    令和4年から団塊の世代が75歳に到達することが見込まれる。その後4年間で約2万人が後期高齢者医療制度に移ることになる。これにより給付と保険料負担の水準がどう推移するかを見ながら上昇幅を検討することになる。

    (志賀委員)

    8ページのグラフは団塊の世代の75歳到達を既に見込んでいる。このグラフでは保険料の増加がほぼ直線的に伸びる形になっている。激変緩和がなかった場合の、あるべき保険料額を満たすような保険料額は、やはりこれくらい増えてしまうという危惧があるがどうか。

    (野口課長)

    このグラフは平成29年度に想定したもの。経年によって形は変わってくる。適宜見直しを図りながら保険料率を算定していきたい。
  • (百瀬会長)

    現時点では5年後どうなるというシミュレーションはしていないか。

    (野口課長)

    していない。

    (百瀬会長)

    保険料率を今据え置いてしまうとどこかの時点で大きく上げなければならない。それを避けるために基金を取り崩しながら徐々に上げていくことは了解できる。一方で志賀委員の話のように、5年後の保険料がどのくらいになりそうなのか、また、5年後の保険料率が他の市町村と比べて穏当なものかということについてはどうか。

    (野口課長)

    今後、被用者保険の適用拡大による被保険者数の減少も見込まれる。これらの影響も見ていく必要がある。平成29年度に想定したグラフについては、今後の法改正等の内容を踏まえて修正が必要になる。

    (百瀬会長)

    被用者保険の適用拡大に関しては士業の適用拡大が議論されているが、高所得の士業の方が国保から健保に移ると国保財政としてはむしろ苦しくなる。中小企業の短時間労働者の適用拡大は国保財政にとってプラスになるが、そのあたりはどうか。

    (野口課長)

    士業の方については、現在10業種の適用拡大が想定されている。士業の適用拡大は確かに国保財政にとって大きなマイナスになる。一方で短時間労働者の適用拡大では、保険料収入の減少よりも保険給付や後期高齢者支援金等の歳出の減少が上回ることになる。直近の国の試算では、短時間労働者の適用拡大に係る歳入歳出への影響は差引きで0となることが想定されている。

    (百瀬会長)

    千葉県や柏市での影響はどうなるか出ているか。

    (野口課長)

    県や市については試算値が出ていない。国全体で0となる。
  • (志賀委員)

    このままスライドしながらやっていくと低所得者を圧迫することになる。高所得者層をより増額する形でカバーしないと制度自体に無理が生じる。例えば、今回賦課限度額が96万円から99万円に変更になる。高所得者層を上げていく方が社会的な影響は少なそうだが、そういったことは考慮しているか。

    (野口課長)

    賦課限度額については、国の政令で上限が決まる。最近は連続で引上げとなっている。国保の賦課限度額の考え方について、国は健康保険法の標準報酬月額の最高等級の総数割合に近づけようとしているため、来年度も上がる可能性はある。柏市では、政令の限度額に準じる方針としている。なお、賦課限度額については、政令の限度額を超えて市が独自に設定することはできない。

    (百瀬会長)

    限度額については確かにそうだが、以前から申し上げているように柏市は近隣市と比べて所得割の部分が少ない。志賀委員の話にもつながるが、所得割が少ないということは高所得者の負担が近隣市よりやや軽減されることになる。その見直しについての議論はしないのか。

    (野口課長)

    いずれ議論しなくてはならないと考えている。所得割の賦課割合を上げると所得割が少ない数値で限度額に到達するという面もある。応益・応能割合の分岐点をどこに設けるか、被保険者の方々の所得の状況を見ながら決めていく必要があると考えている。
  • (百瀬会長)

    医療費が今後も伸びていく。後期高齢者医療制度への移行で被保険者数が減少していく部分もあるが、おそらく保険料は今後も緩やかに上がっていく可能性が高い。それを少しでも抑えるために市としてどういうことができるのか。

    (本郷副参事)

    保険料の負担水準を抑えるためには、収入を増やすことと支出を減らすことが必要となる。

    収入を増やす対策の1つとして、収納率の向上が考えられる。平成30年度決算では、現年分の収納率が89.9パーセントであり、1割程度の保険料が徴収できていない状況である。この水準は千葉県内でも低い方であり、収納率は今後も上げていかないといけない。具体的な対策として、本料優先、延滞金よりも先に本料を徴収する方法に変更する。またその一方で、納付義務者の財産調査により資力をきちんと把握し、財産があれば差押えなどの滞納処分を行い、資力がない方については、滞納処分の執行停止を適用することで滞納整理の強化をしていく必要があると考えている。

    また、収入増の対策のもう1点として、保険者努力支援制度の確保が考えられる。令和2年度は1.7億円程度を確保できる見通しとなっている。この保険者努力支援制度は、収納率の向上や特定健診・特定保健指導の実施状況など、保険者の努力を点数化し補助金として交付されるもの。収納率については全国の上位5割以内、平成29年度で91.38パーセントになるが、この率を達成していると45点、金額にして1400万円くらいの交付金を受けられることになる。収納率に関しては今のところ1点も確保できていないため、この点でも収納率の向上に努めていかなければならない。

    支出を抑える対策としては、特定健診・特定保健指導などの取組の強化や、ジェネリック医薬品の使用促進を行っていきたいと考えている。

    (百瀬会長)

    保険者努力支援制度の対象になるのは現年の収納率だけか。全体の収納率についてはどうか。

    (本郷副参事)

    収納率は、現年分・滞納繰越分の達成状況がそれぞれ評価指標に設定されている。ただし、滞納繰越分よりも現年分の方が収納率を上げやすい。本来の納期限を過ぎて古くなればなるほど徴収するための時間と費用が掛かる。なるべく早い段階の方が徴収しやすいということもあり、現年分を中心に収納率の向上を図っていきたい。

    (百瀬会長)

    滞納分の徴収状況も柏市は全国的に見てあまり良くない水準か。

    (本郷副参事)

    滞納分の収納率も低い状況になっている。やはり古ければ古いほど収納率は下がってしまう。滞納繰越分で同じ調定額があったとしても、その中のより新しいものの方が収納率が上がる傾向にある。柏市の場合は、比較的年数が古い滞納分が多くあるため、どうしても収納率は上がりにくい状況にある。

    (百瀬会長)

    他の市町村と比べて少し弱いということに関して、原因の分析はしているか。

    (本郷副参事)

    他の市町村と比べてということではないが、今までの滞納整理の進め方として、納付義務者の資力を把握して、徴収すべきか、又は資力がないため落としてしまうか、そういった判断をせずに資格証明書から短期証に切り替えるために本来1年間で払いきれないような分納であっても受けてしまう対応をとっていたために滞納分が積み上がってしまった。今後は一人一人の生活状況を確認した上で、払える能力に応じてきちんと負担していただくことが必要と考えている。  

     (百瀬会長)

    特定健診・特定保健指導について、医療費削減につながるというエビデンスはあるか。

    (小倉副参事)

    特定健診の受診者と未受診者の医療費については約2万円弱の差額が出ている。これは柏市の分析においても同様の傾向にある。また、特定保健指導を実施している人としていない人では7千円ほどの差がある。これらが積み上がると差額が大きいものとなる。

    (志賀委員)

    確かにそのデータはあるが、一人一人の個人で見ると5年ないし10年が経ってから医療費に差が出てくる。今後5年くらいの話を論じる中で、そこの部分を計算に入れるのは現実的ではないのではないか。

    (小倉副参事)

    対策を続けなければその差がどんどん出ていってしまうため、継続的に進めていく必要がある。また、保険者努力支援制度においては、実施状況によっては加点だけでなく減点もされる仕組みとなったため、重点的に取り組んでいきたいと考えている。

    (志賀委員)

    特定健診の受診率は上げなければいけない。しかし、それが財政に影響するからという観点で見てしまうと財政が損なわれる。滞納者の割合として、所得の高い層が滞納するのか、低い層が滞納するのか、傾向はあるか。

    (本郷副参事)

    所得の高い方は収納率は高い状況にある。年収が200万円前後の方が一番収納率が低い傾向にある。

    (志賀委員)

    そういった階層の保険料を増額しても収納率をさらに下げるだけではないか。

    (百瀬会長)

    保険料率が上がるときに、法定軽減の対象者は保険料の軽減によって保険料負担はそれほど上昇しないかもしれないが、法定軽減の対象にぎりぎりならない所得の被保険者の保険料負担は大きく上昇する。この所得階層の被保険者の滞納率が最も高いのであれば、今回の保険料率引上げは、収納に関して言えばマイナスの影響が出るのではないか。

    (本郷副参事)

    200万円前後の方については、そのとおりである。一方で、所得が把握できていない層もある。本来所得の申告をしていただければ法定軽減の該当となる方が軽減を受けられていないのではないかという層がある。この点も含め、所得状況をきちんと把握し、適正な保険料を賦課していく必要があると考えている。

    (百瀬会長)

    本来は軽減対象となる方でも所得を把握できていないため軽減にならず、それが滞納につながっているという実態がある。それゆえ、そうした方の所得を把握して軽減対象とすれば、金額は大きくないかもしれないが、保険料を収納できるということで良いか。

    (本郷副参事)

    法定軽減の該当であれば、その軽減分は交付金等の財源を見込むことができる。また、所得状況を把握できていないことで、滞納整理をする上で月々の分納額が適正かどうか分析できていないところがある。納付義務者の生活状況・所得状況を把握した上で、所得がある方からはきちんと徴収し、ない方には軽減などの適用も行うことで適切な賦課をしていきたい。

    (百瀬会長)

    所得を把握するための方法は、具体的に何か新しい試みがあるか。

    (本郷副参事)

    現在でも、所得が把握できていない方には申告を勧奨する文書を送付している。これは住民税の課税課の方でも同様に行っている。それでもまだ無反応な方がいるため、計画ができているわけではないが、申告の勧奨を繰り返し行うことや、全く反応がない方には住居を訪問して聞き取りを行うといった対策が必要になると考えている。
  • (百瀬会長)

    ジェネリック医薬品について、他の市町村と比べて使用割合の水準はどうか。

    (大野主査)

    令和元年10月の柏市国保の使用割合は76.8パーセントとなっている。同時期の千葉県内の市町村国保全体では77.4パーセントであり、柏市の水準は県全体の水準を少し下回っている。なお、国は目標値を80パーセントとしており、保険者努力支援制度においても評価指標の1つとなっている。

    (百瀬会長)

    柏市では具体的にどういった対策を取ろうとしているのか。

    (大野主査)

    ジェネリック医薬品に切り替えることで被保険者にとっても経済的なメリットがある方に差額通知を行っている。また、被保険者証やお薬手帳に貼るジェネリック医薬品希望シールというものを作成して送付している。

    (百瀬会長)

    今やっていること以外では何か予定はないか。

    (大野主査)

    新しい取組については今のところ予定していない。

    (百瀬会長)

    特定健診や特定保健指導の実施による医療費の削減は短期的には難しいし、ジェネリック医薬品の使用促進も簡単にはできない。支出の削減がなかなか難しいとなると、やはり収納率を上げていくことが最も求められることと思われる。 

6 傍聴

3名

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