令和元年度柏市総合教育会議会議録

1 開催日時

令和元年10月17日(木曜日)午後2時から2時50分まで

2 開催場所

柏市役所本庁舎3階 庁議室

3 出席者

(1) 市長及び教育委員会

市長 秋山浩保

教育長 河嶌貞

教育長職務代理者 牧田謙太郎

教育委員会委員 森秀夫

教育委員会委員 深田恒子

教育委員会委員 氏田青津子

(2) 事務局職員

副市長 鬼沢徹雄

企画部長 飯田晃一

こども部長 髙木絹代

生涯学習部長 小貫省三

学校教育部長 増子健司

学校教育部理事 高橋裕之

企画調整課長 稲荷田修一

学校教育課長 松澤元

教育総務課長 石田清

学校施設課長 浅野晃

指導課長 逆井俊彦

児童生徒課長 加藤定浩

こども福祉課副参事 野戸史樹

学校教育課統括リーダー 田村裕二

その他5人

4 傍聴者

3人

5 議題

(1) 令和2年度教育重点施策について

新設小学校について

(2) 教育委員会との連携事項について

児童相談所準備の進捗について

(3) その他

次回の開催について

6 配布資料

(1) 次第

(2) 席次表

(3)柏北部東地区区画整理事業地内における新設小学校の整備について

(4) 児童相談所の開設について

7 議事録本文

(市長)

まず、教育重点施策である新設小学校について、事務局より説明をお願いいたします。

(学校教育課統括リーダー)

学校教育課田村と申します。私の方から新設小学校の整備についてご説明させていただきます。よろしくお願いいたします。

資料の方、「柏北部東地区区画整理事業地内における新設小学校の整備について」というものをご確認いただきながら前のスライドも同じものとなっておりますのでご確認ください。

これまでにも市議会等でご説明させていただいている内容も含まれておりますが、新設小学校を整備することを決定した経緯について、まず概要の方をご説明させていただきます。

北部地域の区画整備事業の進捗につきまして人口が急激に増加しております。大青田、船戸、小青田、大室の人口の推移が左のグラフになります。平成26年度と令和元年度を比べますと5年間で4、988人の増加ということで他の地域と比べまして大幅に増加していることが確認されます。右の方のグラフになりますが、特にこの1年間の区画整理事業区内にその人口が集中しているということが確認されており、船戸の1丁目~3丁目、小青田の1丁目~5丁目、大室の1丁目~3丁目だけ見ますと1年間で30パーセント以上の増加ということが確認されております。

スライドの4番目になります。

こちらは現在の田中小学校、田中北小学校の通学区域をピンク色の線で示しているものになります。新設小学校の建設予定地につきましては、こちらの緑色の部分になります。住所でいいますと船戸1丁目7番地を予定しております。こちらは現在の通学区域ということで、今後、新設小学校の整備にあたりましてこの通学区域、現在は田中小学校と田中北小学校がこちらのラインで区分けされておりますが、通学区域をどのように設定していくのかということを地域の方々と話しを進めていくかたちになります。

詳細な図面になります。田中小学校と田中北小学校の学区境がこちらの赤いラインになります。こちらが新設小学校の建設予定地になりまして、たなか駅からですと直線距離で凡そ650mの距離にございます。面積約2.7haの中に約0.4haほどの保存樹林がございまして、そちらも含めて学校敷地と考えております。

スライドの6番目になります。こちらは田中小学校の今年の児童数、学級数の推移になります。昨年度762名だった児童数が今年度800人に増加しております。こちらは今後、濃い色の青いラインが高位で推移した場合、水色のラインの方が低位で推移した場合ということで幅を持たせた推計を行っております。こちらについては、まだ、現在お住まいになっていない方々がこの地域にはたくさんいらっしゃいますので、今後、転居してくる見込みや生まれてくる児童数を踏まえて推計を、あくまで推計として行っているものになります。現在、田中小学校には、保有教室としまして31教室あります。この31教室が早ければ来年度にはもう32教室ということで教室不足に陥るということが推計として出ています。

続いてスライド7番目になります。田中北小学校の児童数、学級数の推移になります。こちらでも現在210名の児童数ですが、今後増加する見込みとして赤いラインの高位推計と黄色いラインの低位推計を行っております。こちらが現在18教室と田中小学校と比べて小さな学校ですので、18教室の規模から考えますと早ければ2023年頃には教室不足に陥るということが結果として出ています。最大値でいいますと、田中小学校につきましては、最大で2028年に1、702名と高位推計で推移した場合にはこれほどの児童数となってしまうということが見込まれています。同様に田中北小学校につきましも最大で推移した場合には2026年には648名の児童数になるということが推計しております。このような田中小、田中北小の児童数、学級数の増加の推計を踏まえまして、現在、教育委員会として決定している事項がこちらの事項になります。

1点目、児童数の増加に伴う大幅な教室不足に対応するため、令和5年4月開校を目指し、学校用地に新しい小学校を整備してまいります。

2点目、新設小学校の通学区域につきましては、現在、地域の皆様と協議を行っている段階にあります。協議によりまして、できる限り合意形成を図りながら再編案を今後、示していきたいと思っており、今年度から令和2年度にかけ、通学区域審議会へ諮問等していき、最終的には教育委員会の方で決定していきたいと思っております。

3点目、新設小学校開校までに田中小学校、田中北小学校で生じる教室不足には、特別教室の転用や仮設校舎の建設で対応します。

4点目、田中小学校につきましては、当面続く児童数の増加を見据え、第一校舎に関しまして、令和4年度供用開始として規模を拡大して建て替えを併せて行ってまいります。

学校整備に係る主なスケジュールになります。

学校建設につきましては、現在、基本設計を行っているところになりまして、来年度にかけて実施設計を行ってまいります。令和3年、4年で建設工事を行い、令和5年度の開校を目指すということになります。併せて田中小学校の仮設校舎、第一校舎の建設建て替えを令和2年から3年にかけて行います。通学区域につきましては、現在、地域、学校PTAと協議を行っている最中になります。これら意見をとりまとめた後、広く周知するために住民説明会を行ってまいりたいと考えております。住民説明会の内容を踏まえまして、通学地域審議会の方で諮問、答申という風に流れを考えております。土地の購入、学校用具の購入に関しましては、今年度と来年度の2か年で購入を進めてまいります。こちらについては土地開発公社が先行取得していた土地を2か年かけて買い戻すということになっております。

続きまして、地域住民、学校PTAから現在いただいている意見の概要のご説明になります。

今現在、こちらの1から8までの町会、自治会さんと9番、10番の田中小PTA、田中北小のPTAの方々からご意見をいただいております。

5点ございまして、1点目としましては、田中北小学校を新設小へ移転というかたちをとってほしいというご意見が強くございます。こちらについては地域の方又はPTA、田中北小のPTAからは文章で要望書というかたちでいただいております。田中北小学校が新設小が建設されたことで小規模校化することが目に見えておりますので、そのままにするのではなくて田中北小の移転というかたちをとってほしいというご要望がございます。

2点目としましては、通学距離の対策になります。移転というかたちをとった場合に、現在の田中北小学校の児童の中には、新設小までの通学距離が長く伸びてしまうという子が実際にいるということからそれら児童に対する対策を講じてほしいというご要望になります。

3点目としましては、地域コミュニティの維持になります。この通学区域の設定にあたりまして、現在の町会の区域をできるかぎり分断することのないように配慮してほしいというご意見になります。4点目としましては、こちらも田中北小を移転した場合の話しになりますが、田中北小の跡地を有効に地域の資源として活用してほしいというご意見があります。

最後5点目、一番多くあった意見としてましては、通学路の安全対策を、こちらは新設小、田中小ともにですが、絶対そこはしっかり行ってほしいというご意見があります。

その他、学校に近接の地域の自治会からは日照、砂埃等の対策もしっかり行いながら整備に努めてほしいとのご意見もございました。

続いてのマップにつきましては、どのような地域からどのようなご意見が多かったかというのを通学区域毎にわかるように整理したものですので、後ほどご確認ください。

圏内の地域からのご意見、PTAからのご意見を踏まえまして課題と今後の進め方になります。

1点目につきましては、通学区域の設定になります。こちらにつきましては、「学校適正規模」、「保護者・地域住民の想い」、「通学上の安全」等を総合的に考慮して「田中北小から新設小へ移転」することも併せて検討を進めてまいりたいと思っております。

2点目、遠距離通学となることへの対応。田中北小から新設小への移転とした場合、現在、田中北小の一部児童の通学距離が延びることに対する検討をしてまいりたいと思っております。

3点目につきましては、中長期的な課題にはなりますが、田中北小学校の跡地活用につきまして市長部局とも連携して最善の方策を模索していきたいと思っております。

最後ですが、こちらは今後のスケジュールになります。市民からいただいた意見を踏まえまして今後、通学区域案を教育委員会の方で作成し、再度地域の方々にご説明に上がりたいと思っております。その後、住民説明会を年度内には開催させていただきたいと思っており、併せて通学区域審議会の方にも諮問・答申という流れを検討していきたいと思っております。こちらは最短で年度内には通学区域案を決定したい思いますが、あくまでも地域との合意形成が通学区域の設定にはなにより重要と考えているため、この時期・期限に捉われることなく丁寧・慎重に行ってまいりたいと思っております。

説明の方は以上になります。

(市長)

はい、ありがとうございました。

ただいまのご説明につきまして、ご意見等ございましたらお願いいたします。

牧田委員お願いいたします。

(牧田委員)

ご説明いただきましたスライドの6ページと7ページに関することでございます。これから10年の間の最初の5年で児童数が大幅に増え、その後減少に転じる。小学校に通うのは小学校1年生から6年生のお子さんで、マンションにご入居されるあるいは新しくお家を買われる方でもそのお子さんが卒業されたりすると当然、小学校には通わなくなるということで、一時的に増えて、その後減少に転じるということだと思います。2030年以降、新設小あるいは増設した田中小学校の校舎をどのように活用していくかということについて、何か対策あるいはお考えがあるかどうかお聞かせいただければと思っています。

(学校教育課統括リーダー)

こちらの方につきましては、あくまでも推計というところが1つございます。高位と低位というところで幅を持たせているかたちにはなるのですが、今後、転居してくる子、産まれる子というのが未知数だということではあるのですが、ただそれでは推計している意味がなくなってしまいますので、こちらとしても他の地域の開発の状況などを踏まえて推計は行っているところにはなります。ただ、ピークアウト後、こちらで言いますと2028年の1、702名を、低位ですと2026年の1、353名というのが推計上のピークにはなりますが、今後の低減の見込みにつきましては、こちら推計上、人口の入れ替えということを想定しておりません。なので、このようなかたちで田中北小につきましても田中小についても急激に人口が増加するかどうかについては慎重に見極めていく必要があると思っております。他の駅周辺の学校を考えますと、これほどの急激な低減というのが、現在、柏市内では起こっておりませんので、そのあたりも踏まえて、推計を毎年度確認していきたいと思っております。仮に児童数が大幅に減少に転じた場合につきましては、現在、市内の他の小学校で空き教室が発生した場合には、やはり児童の教育環境を第一に考えてということから空き教室ということではないですが、習熟度別の学習や多目的利用等、学校は教室を色々な活用の仕方ができますので、そのようなかたちで活用しているということがございます。また、こちらの新設小学校については、地域の中の拠点という位置づけも考えていく必要があると思っておりますので、そのあたりも含めてより良い学校運営というのを考えていきたいと思っております。

(市長)

いかがでしょうか。

(牧田委員)

恐らく、分譲のマンションが圧倒的多数であると思います。賃貸であれば、人口の入れ替わりがあって継続的に若い世代やお子さんが入ってくるということがあると思いますが、現地を拝見するとやはり分譲のマンションがすごくたくさん建っていますので、一時的に足りないから作るのではなく、それを今後どう活用するかとか、あるいは10年先、20年先のことも考えて校舎の設計などもしていくべきと思っております。以上です。

(学校教育課統括リーダー)

校舎の整備にあたりましてもRC造を通常整備するところではありますが、学校規模に応じて柔軟に対応できるように一部プレハブ造にするなど、そのあたりは柔軟に検討を進めてまいりたいと考えております。

(市長)

森委員お願いいたします。

(森委員)

質問もあれば要望もあるのですが、学校は生徒、児童を受け入れるだけではなく、避難所としての機能もあります。今回、台風が起きて想定外の被害が起きていますので、できれば土地を少し高くするとか水害があっても対応できるような避難の経路を重視した対策をしていただきたいと思っております。

(学校教育課統括リーダー)

同様のご意見を地域の方からも一部いただいているところがあります。そういった点を含めて新設小の整備については検討していきたいと思います。

(森委員)

こちらの地域はかなり人数が増えているエリアですが、市内全域をみると一部地域によっては減少の地域があると思います。千葉県の中でも行われている学校の統廃合を含めて今後どのような予定でいるのか計画等あれば教えていただければと思います。

(学校教育課長)

学校教育課の松澤です。

具体的な統廃合の計画があるかというと、ございません。現状を申し上げますと、柏市の方の学校の適正な規模として学級数として下は12から上は24ということで規定しています。所謂これを下回れば小規模校、上回れば大規模校としています。現実に適正規模を下回る学校というのが、市内には小中合わせて10数校ございます。こちらにつきましては、学校の施設面での増改築であったり大きくは学区の変更をして児童、生徒数を適正規模にしていくということを第一フレームとしてきました。委員のおっしゃるとおり、子どもの減少の数だけ見ますと、そう遠くない将来に統廃合が方向性の一つとして見えてくる学校が出てくるというのが現実的なところかとは思います。しかし、学校というのは地域にとってはかなりシンボリックな存在でもございますので、まずは統廃合ありきということではなく、児童数、生徒数がどのように変動していくのかということを地域の方としっかりと一緒に考えていく、というところからスタートしていく必要があると考えております。情報の共有の仕方というのを考えながら、決して先延ばしすることなく考えていければと思っております。以上です。

(市長)

いかがでしょうか。

(森委員)

学校というのは地域のシンボルという存在意義がありますので、地域住民の意見を十分に聞いて進めていただければと思います。よろしくお願いいたします。

(市長)

他にございますでしょうか。

河嶌教育長、いかがでしょうか。

(教育長)

新設小学校の設置ということで、様々な課題等発生していますが、今後の課題の解決に向けて丁寧に進めていきたいと思います。

市長部局の方とも連携をとりながらいきたいと思います。よろしくお願いいたします。

(市長)

それでは本件につきましては、引き続き田中地域にかかる今後の児童数の推移、地域住民・学校PTAからのご意見等踏まえ、担当部局において方向性等必要な措置を検討するものといたします。

新設小学校に関する協議は以上とさせていただきます。

次の議題に移ります。

教育委員会との連携事項である児童相談所準備の進捗について、事務局より説明をお願いいたします。

(こども福祉課副参事)

こども福祉課の野戸と申します。よろしくお願いいたします。

こども部からは児童相談所の開設について、ご説明させていただきます。

目次をご覧ください。

一点目は「児童相談所」の概要についてご説明させていただき、二点目といたしましては、児童相談所を本市が設置する背景と意義についてお話をさせていただき、三点目に市が目指す児童相談所について、どういったものを目指すのかについてお話しをさせていただきたいと思っております。具体的な検討はまだまだこれからでございますけれども、開設に向けた私どもの考えについてご説明をさせていただければと思っております。

一枚目のスライドでございます。

児童相談所の運営指針に記載のあるものでございますが、設置の目的として、「児童相談所は子どもに関する相談に応じ、子どもが有する問題やニーズなどを的確に捉え、最も効果的な援助を行い、子どもの福祉を図るとともにその権利を擁護する。」とございます。その目的を達成するための条件として、「高い専門性を有すること。」「地域住民に浸透した機関であること。」「連携が十分に図れる施設であること。」といったものが条件として上げられております。

目的を達成するために必要な機能として、4つ挙げられております。

1つは、市町村援助機能。これは、市町村間の連絡調整や市町村への情報提供というものがございます。

2つめは、相談機能。こちらは家庭の状況や子どもの行動、性格等を専門的な見解から調査・診断・判定し、それに基づいた援助方針を決定し、援助を行うものでございます。

3つめは、一時保護機能。やむを得ず親元から子どもを離さなければならないといった時に行う一時保護でございます。

4つめは、措置機能。こちらは一時保護した児童を在宅、地域に戻して保護者の指導をしながら観察する。また、児童福祉施設に入所する、里親の方に委託するといったところの機能になります。

スライドの2番になります。児童相談所での代表的な相談になりますが、こちらは虐待を含めた養護相談の他にも発達障害や知的障害を含めた障害相談、また、虞犯行為、触法行為に対する非行相談、この他、不登校や性格行動に該当する育成相談、また、里親希望や子どもに影響のある夫婦関係などのその他の相談がございます。

主な職員としては、主に社会福祉士等が務める児童福祉司、児童心理司を中心に、一時保護所では、児童指導員、保育士等が従事しています。また、政令指定都市や中核市では医師や弁護士が常勤職員として従事している自治体も少なくないところとなります。

スライドの3番になります。こちらのスライドは近年の法改正等と柏市の動向を簡単にまとめたものになります。一番上の平成23年、こちらは本市でも痛ましい虐待による死亡事例が発生しております。当時2歳10か月の男の子が餓死による死亡をしてしまった事例になります。平成25年には、議員提案によります「柏市児童虐待及びいじめ防止条例」が可決・施行されているところになります。資料に記載はございませんが、中核市の児童相談所設置については、平成16年度の児童福祉法改正につきまして、神奈川県の横須賀市、石川県の金沢市の2市が平成18年にそれぞれ児童相談所を設置しています。その後、中核市による設置は、進まない状況でございました。平成28年の児童福祉法の改正により、特別区が児童相談所を設置可能となり、その附則には中核市、特別区が児童相談所を設置できるよう国の必要な措置を講ずるということが明記されたところです。その後、中核市では今年4月に兵庫県の明石市が開設し、令和3年度には奈良県の奈良市が開設することを予定しています。特別区につきましては、荒川区、江戸川区、世田谷区が来年度開所を予定しており、23区中22区が順次設置する見込みと伺っているところです。本市の状況につきましては、平成28年度法改正を受け、こども部こども福祉課内に児童相談所設置調査担当を設けたところです。平成31年第一回定例会にて児童相談所の設置を表明したところです。設置に向けた検討につきましては、庁内の検討会議に加え、今年度から外部の有識者の方々をお招きした懇談会を開催しています。既に三回開催しており、本市が児童相談所を設置するにあたっての在り方、一時保護、社会的養護について、ご意見をいただいているところです。委員には弁護士として児童相談所の業務に関わりを持たれている牧田委員を始め、児童虐待に精通している大学教授、児童相談所の元所長等にご参加いただいているところです。市からは、学校教育部、保健所、こども部より部長と所長に参加していただいているところです。

続いて本市が児童相談所の設置に至った背景や意義についてお話しさせていただきます。

スライドの4番になります。

こちら左側のグラフは県の柏市児童相談所のうち、柏市分の虐待対応件数の推計値になります。右側は市の家庭児童相談担当の虐待対応件数になります。いずれも平成21年から約15年間で2倍超になっており、県では心理的虐待、これは児童の前での夫婦喧嘩など比較的緊急性が低いものも含まれますが、これが3倍以上になっています。これの要因としては、資料に記載はないですが、警察からの児童相談所への通報があるとされています。警察からの通報はこの15年間で約3倍となっており、柏児童相談所に入る約4~5割がこちらからの通報となっています。また、その通報内容の約7割が心理的虐待となっています。市の家庭児童相談担当の対応件数については、身体的虐待、ネグレクトがこの15年間で比較的増加してきているものとなっています。

スライドの5番になります。こちらは児童相談所の一時保護所にいる児童の一日あたりの平均の人数を表したものになります。柏児童相談所の定員が赤いラインの25人です。近年、常に定員ギリギリの状態が続いていることが伺える状況にあります。その背景には先ほどの対応件数の増加もありますが、一時保護した後に親元に帰ることのできない児童の行先となる施設や里親といったところの受け入れがギリギリの状態であることを認識しているところです。

スライドの6番になります。

このような状況の中で本市が児童相談所を設置する意義についてです。三角形の上の赤い部分に向かうほどリスクの高いケースとしています。端的に言いますと、三角形の頂点と底辺の付近はリスクが高い又は低いがはっきりと分かれており、そこに対応する県と市の役割も明確なものとなっています。しかし、図の中央の点線の部分については、役割が判断しにくいといったところがあります。判断がしにくい状況としては、虐待対応への件数の増加に加え、ケースが複雑な背景を抱えるなど常に状態が変わってしまうこと、また、市の支援を拒まれ児童の状態を十分に確認できない状況などが挙げられます。先ほどの平成23年の死亡事例の保護者がこれにあたる事例になります。その際、市としましては児童の状態を十分に確認できないとして児童相談所による介入が必要と判断するところです。しかし、県の児童相談所は対象世帯に関する情報を市ほどには持っていない面もあります。児童相談所にその家庭の虐待リスクを認識してもらうため、市が県に対し、1つ1つ協議を行っていく必要があるなど、そのやり取りに時間を要してしまう場合があります。そのような課題について、市が児童相談所を設置することで児童を守るための判断や決定といったことを迅速に行え、また、その後の保護や施設措置も含めて、児童の支援に一貫性を持った取組ができるというところに大きな意義があるものと考えています。

スライドの7番目です。

続いて市が設置する児童相談所が目指すところについてになります。

この図のように市では児童が生まれる前から様々な事業において、家庭との関わりを持つことができています。妊娠や出生直後の全数面談や全戸訪問、また、保育園や幼稚園、そして学校等ではほとんどの児童の様子を観察することができます。このように日々地域で児童を見守る環境、資源があることは大変大きなメリットになると考えています。

スライドの8番になります。

実際に、市の家庭児童相談担当に寄せられる相談の相談経路になります。約6割が関係機関からの相談の赤て囲っている部分になります。内容を見ますと表の一番上、保健所の母子保健、2番目の保育所といったところが多いところです。これは家庭児童相談への相談のある児童の約6割が未就学児に関する相談となっており、そういったことが一因として考えられるところです。通報の4割~5割が警察からの通報であった県の児童相談所と比べ、市では子どもたちと接する現場からの相談が多く、また、グラフでは民生委員や近隣住民、19パーセントのところですが、そういったところからの相談も多いことから地域住民に浸透していること、また、関係機関との連携が図られていることといった先ほどの児童相談所の要件については、より満たすことができているのではないかと考えているところです。

スライドの9番になります。

市が児童相談所を設置、運営していくためには市が持つ児童を見守る環境等や多くの情報を最大限活かす組織、体制を構築することが重要なポイントと考えています。児童相談所を作るだけで連携が図られるということではないので、開設後、責任をもって一貫した相談援助活動を行っていくという上ではより密な情報連携や連携体制を整えていく必要があるものと考えています。対象児童の約6割が未就学児、また、約4割が小中学生です。現状においても既に教育委員会や学校とは情報共有を図らせていただいているところですが、より密な連携を図っていくことが大変重要ではないかと認識しているところです。虐待を受けた児童の背景には、発達障害や不登校などの複雑な課題を抱えているケースもあります。虐待という視点だけではなく、そのような児童が抱える総合的な課題というところにも対応していくことを含めて今後検討していきたいと考えています。

スライドの10番になります。

繰り返しになりますが、市では、児童が生まれる前から各家庭に関わりを持ち情報を持つことが可能になります。その環境があることこそが県の児童相談所と大きく異なる点であると考えています。市の児童相談所においては、県の児童相談所のように虐待が発生して通報があっての対応ではなく、未然に早期の予防的な介入によって早期のうちに対応し、虐待を予防していけるものと考えています。

スライドの11番になります。

こちらは本年度から行っている有識者懇談会でいただいた意見の一部を掲載させていただいています。市の児童相談所設置の意義については、これまでもお話ししてきましたが、市が支援から権限行使まで迅速に実行性の高い取組ができることやまた、顔が見える市の職員同士で協議を行えるため、協議の回数を増やしやすくなるなど密な連携を取れるのではないかといったご意見を議員からもいただいているところです。一方、課題としては、これまで市が経験していない一時保護や社会的養護についてご指摘をいただいているところです。例えば、一保護については、保護者が施設への入所などに反対する場合には、家庭裁判所で審判を仰ぐことになりますが、長ければ半年という長い間一時保護所での生活を余儀なくされるところです。その間の学習面も含めて、一時保護所の機能を検討するが必要があるのではないかというご意見がありました。また、一時保護した後、家庭に戻ることのできない児童については、施設や里親での養育という選択肢が挙がるわけではありますが、柏市には今、児童養護施設がないため、社会的養護の受け入れ先というのも対策していかなければならないということ。また、18歳となりますと施設を退所せざるを得ないところですので、そういった児童の自立までの支援についても支援が必要ではないかとご意見をいただいたところです。今後、懇談会での貴重なご意見を踏まえて目指すべき児童相談所の検討を進めてまいりたいと考えています。

最後に参考資料として、福岡市の児童相談所の体制図をお示しさせていただいております。

指定都市や中核市につきましては、やはり関係部署との連携を重視した体制を構築しています。福岡市の場合には、いじめや不登校等の教育相談を担当する教育相談課という課が設けられています。また、お話をお聞きしたところでは、中学校区に配置しているスクールソーシャルワーカーが教育委員会に籍を持ちながらセンター内にデスクを構え、定期的にそちらに集まり、児童相談所の職員と密な情報交換をしているとお聞きしました。また、福岡市のセンター長は児童精神科医のお医者さんであり、一時保護などを取り組む緊急支援課の課長さんは弁護士です。こういった医学的、法律的なところで、安心して権限の行使ができるといったところで職員が安心して従事できるといったメリットもあると伺ったところです。本市におきましては、児童相談所の設置につきましては、今やっているものの現時点において設置の時期や場所については検討中です。また、児童相談所の条件の一つである高い専門性の確保といったところでは、人材の育成・確保といったところが大変大きな課題であるということを認識しています。今後も引き続きこのような先進事例を参考にしながら検討してまいりたいと思っています。私からは以上です。

(市長)

はい。ありがとうございました。

ただいまの説明につきまして、ご意見等ございましたら、お願いいたします。

(深田委員)

10番の児童虐待の予防についてですが、虐待の兆候があった場合には早期の介入とありますが、具体的にはどのような対策を考えてらっしゃいますか。というのは、今現在、なかなか早期の介入というのが難しく、私は主任児童員として普段活動しているのですが、例えば、親からナイフで脅されてびくびくしながら生活している子どもがいたとしても事件性や怪我をしていないということで保護されない場合がすごい多いんです。微妙なケースがたくさんあるので、今回こういった予防的な介入、早期の介入というのはとても画期的なことだと思うので、具体的には何か対策があるのかと思いました。

(こども福祉課副参事)

私どもが他市の児童相談所だとかを視察させていただいた上では、児童相談所があることによって例えば、お話があったように母子保健だとかでリスクを感じているが、なかなか家庭に入り込むことができないといった時に、児童相談所がある市では、母子保健だったら母子保健の職員と一緒に児童相談所が同行訪問をすることによって比較的そういった家庭にも入りやすいといったお話しもお聞きしているところです。実際の先ほどお話しした死亡事例の際にも、市が訪問してもなかなか会うことができなかった状況ですが、児童相談所の職員の面会はできておりました。そういった死亡検証の結果においても介入的なアプローチという言葉でしたが、そういった必要ということのご指摘もあったと思います。そういった他市の事例も参考にしながら取り組んでいきたいと思います。

(深田委員)

今、外国の方のお子さんが不登校になることがとても多いということを聞きましてそういうところにも目を向けていただきたいというのと、虐待をしてしまった親のケアというのがまだま全然進んでいませんので、他の部署になるかと思いますが、そちらの方との連携もしてほしいと思います。

(こども福祉課副参事)

不登校のお子さんについては、おそらく、今教育委員会さん等で取り組まれていると思います。児童相談所の先ほどの相談内容の中にも育成相談として不登校の相談というのがあります。今、教育委員会さんが取り組まれている不登校の取組、課題ですとかそういったものが児童相談所をつくることによってどういったことができるかということを教育委員会さんと連携しながら協議しながら検討していきたいと思っています。

(市長)

他にございますでしょうか。

(牧田委員)

件数はどんどん増えていまして、早期に親元からお子さんを離さなければいけないというケースも、今まで暗数としてあったのがどんどん浮かび上がっているという状況にあると思います。そうしますと柏市の方で児童相談所をつくるとしても、行先をきちんと確保しておかないと、最終的には今の柏児童相談所のように慢性的に定員オーバーというかたちで一保護所の生活環境自体が虐待にあたるんじゃないか、という指摘を受けかねません。千葉県内ではないですが、よその地方自治体では、かなり厳しい第三者意見もありまして、一時保護所の定員オーバーが慢性的な状態になっています。一時保護所の定員を解消するには一つ、親元に帰すということも大事なのですが、どうしてもだめな場合には児童養護施設や里親に委託するしかありません。児童相談所の設置ばかりクローズアップされていますが、この辺の養護施設や里親の整備について市として何か計画やお考えがあるか伺えればと思います。

(こども福祉課副参事)

懇談会の方でも一時保護した後の社会的養護の部分の児童養護施設や里親について、特に柏市には児童養護施設やファミリーホームがありませんので、ご指摘いただいていたかと思います。現時点で計画が具体的にあるわけではありませんが、柏市にはいろんな障害者の施設もあるので、どのように施設を建てていくのが柏市にとって効率的かつ効果的なのか、全体的に考えながら今後の計画を作っていきたいと考えています。

(市長)

いかがでしょうか。

(牧田委員)

別のことですが、今まで市で全くやってこなかった業務を市で担っていく。具体的にはケースワーカーなど今、県でやっていたことを市でやっていくにあたって人材をきちんと確保しないと、例えば何年の4月1日から児童相談所をオープンしました、といってもそこですぐ対応できるとは必ずしも限らない。そういった人材の確保、現場で働く職員を今後どうやって確保していくかということを何かお考えがあればお聞かせください。

(こども福祉課副参事)

現時点では、職員や新規採用の職員の専門職を児童相談所に派遣していますが、そういった中で専門性を高めていきたいと考えています。また、できた際には県の方から児童福祉司などの専門職の方を派遣していただき、運営をと考えています。委員ご指摘のとおり、急に開所年度からガラッと職員がついてできるものではありませんので、早期のうちから柏児童相談所に職員を派遣するなどして十分な体制、引継ぎをし、ある程度一定の職員が県の児童相談所から引き継ぎながらスムーズで円滑な運営ができるようにと考えております。

(市長)

よろしいでしょうか。

他にございますでしょうか。

(深田委員)

県の児童相談所では定員は25名となっていますけど、今回、定員の方は、一時預かりの定員というのは何人くらいを想定しているのですか。

(こども福祉課副参事)

今、具体的に定員を何人にするかは決まっていないませんが、参考までに、横須賀市が人口としては柏市とほぼ同じですが、横須賀市も25人の定員の一時保護所を建てていました。今後、どのようなかたちが望ましいかは検討になりますが、先ほど、牧田委員からお話しにあったような一時保護所の定員がいっぱいになってしまうというようなことのないよう十分に精査して定員の設定をしていきたいと考えています。

(市長)

他にございますでしょうか。

(森委員)

先ほどの10枚目のスライドの中に今後目指す姿として書いてありましたが、その前のそもそも虐待を発生させない仕組みを構築できないかとありますが、虐待を起こしてしまっているご家庭では、結局、起こしたくて起こしているわけではなく、結婚して子どもを授かり、離婚して、1人親になり、その結果、働きながら子育てをする中で、子育ての疲れが出て、虐待に至ってしまっているということになっていると思います。それを発生させない仕組みづくりとここに書いてあるので、何かあればお伺いしたいと思っています。

(こども福祉課副参事)

今、現時点でどういった施策をすることによって有効にできるといった計画があるわけではありませんが、市の特徴として生まれる前から特定検診など関わりを持てます。そういった課題を持っている家庭とはどこかの部署で繋がりを持てていると思いますので、そういった今まで家庭に入れなかったところが児童相談所ができることによって、もう少し一歩踏み込んだ支援ができるのではないかといったところを目指していきたいという記載をしています。その辺は今ある既存の事業やそういったものが児童相談所とどう連携できるのかということを今後、協議を進めながら検討していきたいと考えています。

(こども部長)

追加でよろしいでしょうか。

資料でいいますと7番になります。

市の方では妊娠した時から学齢期まで今現在本市も様々なサービス事業や支援をいろんな場所で行っています。これが、児童相談所を作ることでこちらのサポート体制も一緒に強化、充実をしながらその上で児童相談所で必要なケースが繋がっていくということなので、児童相談所を一つ作ればすべてが解決するというわけではなく、こういった関係部署、関係機関と協議を始めていますので、それぞれの各部署においても虐待防止対策という視点を持ちながらいろんな施策、サービスをお願いしたいです。そして、必要な時に連携できる体制を作っていくということを柏市では目指していきたいと思っています。

(森委員)

ありがとうございます。今のお話しを伺いまして、子育てに疲れているお父さん、お母さんは結構そういった機関があることを知らない場合があると思います。今はフェイスブックやツイッターなどのいろいろな宣伝媒体がありますので、いろいろな手法を使ってご家庭に届くように周知していただければと思います。よろしくお願いいたします。

(市長)

他にございますでしょうか。

(森委員)

一点よろしいですか。長期にわたる保護の場合、学校と同じように教育が必要になってくると思いますが、そういった場合の教育の手当てはどなたが行う体制を取っていくのでしょうか。

(こども福祉課副参事)

千葉県の場合には、県職の教員が児童相談所に派遣をされています。柏市が児童相談所を設置した場合でも教育委員会さんとご相談した上になりますが、県や県の教育委員会さんと協議して、同じような対応をできないかと考えていきたいと思っています。

(森委員)

主な職員の中に教員も入ってくるということでしょうか。

(こども福祉課副参事)

そうです。

(市長)

よろしいでしょうか。

他にございますでしょうか。

河嶌教育長いかがでしょうか。

(教育長)

児童相談所の開設ということなんですけど、教育委員会としてはやはり子どもたちの実態をきちんと踏まえた上で担当部局とも十分な連携を取っていきたいと考えています。特に実働を伴う連携を大切にしていきたいと思っています。またいろいろご相談等しますので、よろしくお願いいたします。以上です。

(市長)

それでは本件につきましては、引き続き委員の皆様のご意見等踏まえ、担当部局において本市における児童相談所の在り方の検討、必要な措置を検討するものといたします。

それでは児童相談所に関する協議は以上とさせていただきます。

最後の議題でございます。

その他ということで、次回の開催については事務局からお願いいたします。

(企画調整課長)

企画調整課の稲荷田でございます。

事務局からは次回開催について皆様に確認ができればと思います。

次回開催については、緊急性のある場合を除きまして、次年度令和二年度に開催することとしたいと考えていますけども、皆さまのご意向を伺えればと思います。よろしくお願いいたします。

(市長)

今、事務局からご説明ありましたとおり、今年度は時期を決めた開催を行わず、翌年度に開催するといったことでよろしいでしょうか。

(委員一同)

はい。

(市長)

それでは、当教育会議は次年度に再び開催をしたいと思います。

それでは、柏市総合教育会議を終了いたします。

本日は大変ありがとうございました。

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