平成25年度第3回行政改革推進委員会会議録

1 開催日時

平成25年12月25日(水曜日)午前9時30分~11時40分

2 開催場所

柏市役所 本庁舎5階 第3委員会室

3 出席者

(1) 委員

勝野会長、徳山副会長、溝口委員、伏野委員、水嶋委員、岡田委員、竹之内委員、下野委員

(2) 柏市

(執行部)石黒副市長、岩崎企画部長、石塚財政部長、飯田企画調整課長、伊藤主幹、中山財政課長、中村主幹
(事務局)池田企画部次長兼行政改革推進課長、小倉主幹、平井副主幹、後藤副主幹、山田副主幹、野口主査、石田主事

4 議題等

(1) 議題

ア 柏市の職員数の現状について

イ 公共施設の老朽化対策について

ウ 公共施設の更新財源の確保について

5 議事

市より「柏市の職員数の現状」、「公共施設の老朽化対策及び更新財源の確保」、「税収増加に向けた取組み」について説明し、質疑を行った。主な内容は以下のとおり。

ア 柏市の職員数の現状について

  • 他の中核市との比較で、消防が他市より多い理由は何か。分署が多い等の分析は行っているか。
    ⇒消防の職員数については、国で定めている消防力の整備指針に基準が示されており、消防局からは、基準の達成には至っていないと言われている。
    ⇒中核市の中で、人口あたりの職員数で比較したところであるが、面積や都市の成り立ちなど、状況が異なっているので比較は難しい。都市構造が柏市と近い都心から約30キロメートルのベッドタウンと比較すると、突出して多くはないと思われる。消防力の整備指針では、都市構造も加味されており、柏市は約70%の達成率である。
  • 消防団員は、含まれるのか。
    ⇒含まれない。
  • エリアが広いのか。
    ⇒数年前の統計では、面積あたりの分署の数が突出して多いという傾向は見られなかった。消防職員は、削減しておらず、増員傾向にある。
    ⇒消防力の整備指針では、680人が基準値であるが、柏市は476人であり、それには達していない。
    ⇒柏は、昔から消防関係には手厚かった。一度手厚くすると、減員は難しくなる。整備指針自体が理想的な基準を掲げているので、達成している都市はほとんどないのではないかと思われる。
  • 職員数を減らすという目的でなくても、保育園の運営は民間で十分できるのではないか。新設保育園は民営化されているので、その傾向で良いと思うが、現在直営の保育園を公設民営に移していかない限りは、職員数を減らせない。
    保護者からの抵抗はあると思うが、公立と私立の保育所を比較した場合、それほど差はなく、逆に私立の方がサービスが良いという話も聞いている。「民間でできることは、民間に」という観点からも、将来的には民営化に移行していくべきではないか。
  • 民間でも経費を削減する場合、人件費を削減することが効果的ではあるが、一方でサービスの低下を招くおそれがあり、市の場合は、行政サービスの質を落とすことに繋がりかねない。今後の考え方で、行政と民間と市民の役割分担を明確にしていくとしているが、慎重に行わないと行政サービスの低下を招きかねない。個々の事業の見直しや、目標値等の具体の考えはあるのか。
    ⇒合併当時は、旧沼南町の職員数分を平成27年度末までに削減するという目標があった。一方で、新たな行政課題への対応や県からの移譲事務といった増加の要因もあり、実質280人の減員に留まっている。今後、民間に移せる事業は何かに着目し、職員と民間、臨時職員との棲み分けを的確に進めていく。
  • 合併当時の削減目標は、何人であったか。
    ⇒平成25年度の実数は2597人であるが、目標値は2573人であった。平成26年度の目標値は2541人であった。
    ⇒合併直前の沼南町の職員数は約411人であった。
  • 職員の質が良ければ、少ない人数で大きな成果が得られるが、職員の質が悪ければ、多くの人数をかけなければならない。質の向上のための教育や研修についての考え方はあるか。
    ⇒人事担当が窓口となり努めてはいるが、研修等による能力向上の成果を明確に示すことは難しく、あまり過大な期待は寄せられない。指定管理者や委託等、官から民に業務が移行した際に、サービスの低下を招くことのないよう、契約内容や、業務をチェックしていきたい。
    ⇒行政の守備範囲が広範囲となっているので、すべての業務を職員で対応していくことは難しい。専門性を持って仕事の質を高めていくことに取り組まないと、職員のパフォーマンスは高まらないと思うので、ジョブローテーションを意識して育成していきたい。
  • 職員数の減員には、行二の減員の影響が大きいと思われるが、行政の役割の増加ということからも、行一の業務量は増えてきていると思う。また、OA化等による効率化にも限界があると思われる。今後、行一はどのように減らしていこうと考えているのか。
    ⇒行二には、給食調理、清掃業務、道路補修等のいわゆる現業労働者が該当する。当該分野は、比較的民間でカバーできることが多く、民間対応による減員を進めてきた。行一については、必要なところに必要な職員を配置し、単純で大量の処理をする業務は臨時職員で対応する等の重点配分を行っていきたい。また、指定管理やアウトソーシングも活用していきたい。
  • 行一の効率化ができない限り減員は難しく、また福祉に手厚くする等の市の基本方針によっても大きく変わってくる。ある程度育ったら、民間に移す等の発想の転換が無い限り、行政の荷物は大きくなる一方であり、これはすべての行政が考えていかなければならない問題である。
    ⇒施設の管理については、指定管理者等の活用により民間に移行してきている。今後、事務の処理についても民間移行を考えていかなければならない。一つの例として、国民健康保険の受付事務については、民間の活用を図っている。どこまで、民間でできるかを今後検証していきたい。
    ⇒データ処理等のOA化は進めているが、市全体の事務のフローを意識したIT化は、遅れているため、課題としていきたい。
  • 減員によるコスト減、増員によるベネフィットが明確ではないように思われる。
    ⇒減員した人数に平均人件費を乗じたものが、行政コストの削減と言える。平均人件費は、770万円である。なお、行政への新たな需要については、増員分で新たな市民サービスを展開している。具体例とし保健所、放射線対策、社会保障費の増加への対応等が挙げられる。
    ⇒平成22年度から平成24年度まででは、人件費総額では、削減となっている。
    ⇒人件費の削減には、職員一人当たりの給料の見直しと、職員数の減員という二つの要因があるため、整理していきたい。
  • 労働生産性を何らかの形で計れる指標があると良いと思われる。
  • 民間の場合は、減員によるコスト減と、それに伴う売上減とを比較して、企業が成り立つわけであり、減員を行えばよいというわけではない。1500人ほど減員したこともあったが、その影響で利益が縮小し、逆に増員を行ったこともある。
    市の場合は、民間の売上に当たるものが税収であり、税収が上がるということは、民間が潤っているということである。民間でできることは、民間に移行し、民間が潤うことが、税収の増加に繋がるため、コストの縮減を単純に考えるのではなく、民間を潤わせるという観点から考えれば、評価できる取り組みである。民間への移行の際は、柏市内に本店を置く会社に、委託することが望ましい。
  • 教育の項目が減員となっているが、どのような要因か。
    ⇒給食調理業務の委託化が大きな要因である。
  • 人件費を下げる取組みと並行して、IT化等の資本投資を増やしていると思うが、職員一人当たりの労働生産性や、資本装備率を分析すると効果が明確になると思われる。

イ 公共施設の老朽化対策及び更新財源の確保について

  • 計算上の更新時期が記載されているが、昨今、大地震が予想されている。今すぐにでも地震対策を始めなければいけないのではないか。
    ⇒学校の耐震化については、平成27年度までに完了する予定である。耐震工事は、施設を延命する目的で行っているものではないため、耐用年数は変わらない。施設の延命については、外壁の改修や防水工事等を施しながら、長寿命化を図っていきたい。
  • 生徒数の少ない古い学校を保全していく費用を考えると、民間に売却する等で処分を行い、多くの生徒が安全に暮らしていける校舎を建設する方がよいのではないか。
    ⇒統廃合については、今後の課題としていきたい。
  • 耐用年数が50年と記載されているが、50年と考えてよいか。
    ⇒鉄筋コンクリート造の建築物の事例である。実際には、施設ごとに異なっている。
  • 長寿命化とは、耐用年数をさらに超えて運用するということでよいか。
    ⇒鉄筋コンクリートを例に挙げると、適切に管理、延命を図れば、50年を超えて、60年、70年利用できると考えられる。
  • 75%借金すると、膨大な利子を支払わなければならない。次世代のために借金するか、次世代のために貯金するか、という考え方で言えば、どちらが健全な使い方かは、一目瞭然である。国立競技場の例で言えば、50年経過し、ゴミとなっている。本庁舎を建設した際も、50年先の建替えは考えずに財政運営してきたはずであり、そのような視点で、都市をどのように運営するか、根本から考えなければならない問題である。
  • 日本では、行政が学校を建設するが、ヨーロッパでは市民のボランティアの寄附で造る。柏市でも、そのような資金の集め方があってもよいのではないか。
    ⇒市の会計は、将来を想定した制度にはなっていなかったので、見直しを行い、それを踏まえた財政運営を考えていきたい。
  • 次世代のための施設を残すという考え方で、税金の使い方を変えていかなければならない。
    ⇒50年のスパンで考えることは非常に難しい。学校の例で言えば、子どもが増えると、需要が高まり増築やプレハブを建設することとなる。また、20年経過すると、生徒数が減り、学校が余ってしまう。公共施設については、学校として建設した施設を、将来は違うことで使えるような、時代の変化に弾力的に対応できることが望ましい。長期的に見て本当に必要かを考えながら、弾力性のある施設のあり方を検討しなければならない。
  • 今後人口が減少していくことを考えると、施設の総量抑制や再配置に重点的に取り組まなければならない。
  • 施設は50年の耐用年数があるが、設備や配管は50年ももたないことが多い。また、病院を例に挙げると、医療技術が日進月歩で向上しているため、施設が追いついていかない。耐震性等は確保しなければならないが、50年を想定するよりは、もっと短いスパンで考えれば、建設費も安価に抑えられ、時代に即した施設にすることができるのではないか。
  • 教育設備についても、オーディオやLANケーブル等全然対応できていない。今後、都市人口が減少していくことで、学校の廃校がすごい勢いで進むと思われる。戦後50年を迎え、様々な施設の更新時期を迎えているということは、今は次の50年を決める節目でもあることから、時間をかけ考えて決めてほしい。
  • 保育園、小学校、中学校、高校の生徒が、同じような施設、同じような場所で過ごせるとよい。学校や園が区切られていると閉鎖的で、それ以外の用途に使用できなくなってしまう。広いスペースで、色々活用できるような施設があればよい。
  • 木造の校舎の場合、生徒が避難する時間等を計算するため、試験的に火災を熾したり、倒壊させたりして、木造の構造等の研究を進めているようである。
    ⇒学校は集会所と同じように、大勢の人が入ることから、主要部材である柱と梁については、燃焼しにくく崩れにくくし、避難時間を確保するようにしている。木造は、人肌やぬくもりに結びつくことから、近年学校でも木造の体育館を建設している例がある。建物の更新に合わせ、このような良い取組みを参考にしていきたい。
  • 今後の人口動態では、人口は減少し、高齢化が進んでいくとされている。公共施設の老朽化の対策には、利用者の老齢化への対策にかかる整備費用は含まれているか。
    ⇒現在柏市では、土木を主体に、インフラ整備から進めていこうと考えている。バリアフリーについては、駅前など人が集中する場所の段差を無くしたり、案内表示を設置する等の対応を行っている。今後は、公共施設におけるユニバーサルデザインも検討しているが、財源等、具体的な計画には至っていない。
  • 日本のバリアフリー化は、充分すぎるほどできており、それほど神経質になる必要はない。ヨーロッパでは現在でも石畳の場所が多い。バリアフリーが行き過ぎると、人と人とのつながりが薄れていく。「助けて」と人に言える環境が、コミュニティーを生む。
  • ロンドンでは、バリアフリーについて、公共施設より民間の方が行き届いており、小さな洋品店でさえ、車椅子用のスペースがある。歳出を抑制する手段として、官から民にバリアフリー化を指示する方法もあるのではないか。
  • 東京都港区は、少子化の影響で学校が統廃合になり、学校を改築し、高齢者の施設として使えるようにした。このような例もあることからも、専門家の意見を聞き、50年経過した後も、使い続けられるような公共施設を目指すべき。
  • 公共施設の建設等における公債について、公共施設ごとの利子率を割り引いて算定していると思うが、利子率は算入されていないのか。
    ⇒算入されていない。

ウ これまでの議題についての総括意見等

  • 本庁舎の駐車場が有料化されたが、文化会館は無料である。大きな施設については、有料化してもよいのではないか。また、学校や保育園は、職員が敷地内に車を止めていると思うが、駐車料金を払っていないと思われる。交通費も支給されており、公共用地を使っているのだから、利用料金を徴収しても良いのではないか。先生は、子どもが怪我をした時等、車を使わなければならない場合も想定されるが、ほとんどの先生が車通勤をしていると思われる。
    ⇒本庁舎の駐車場については、受益者負担の見直しの一環として有料化を実施した。安定的に運営していけるようであれば、将来的に他の施設についても考えていくことになると思う。また、今回の有料化については、本庁舎が駅に近いことから、本庁舎以外に用事のある方が、駐車場代わりに利用していることもあり、市役所のサービスを受ける方との不公平感を無くす意味もあった。
    ⇒学校については、現在情報が無いため答えられないが、保育園に関しては、公共用地を職員に使わせてはいない。民間の駐車場を借りる等で対応している。
  • 地下の売店は組合が運営しているが、食堂は民間が運営していることからも、売店も委託してもよいのではないか。
  • 増収対策について、行政からの仕事や指定管理者については、市内に本店を有する会社に優先的に発注するように配慮することを、答申に盛り込んでほしい。市内業者に発注した場合にコストが高くなるケースも考えられるが、最終的にお金が税収として戻ってくるため、市内で資金が循環する仕組を作ることが重要である。

エ 税収の増加に向けた取組みについて

  • 執行部の説明のとおり、進めてもらいたい。

6 傍聴者

傍聴者1人