平成22年度第6回行政改革推進委員会会議録

1 開催日時

平成22年12月16日(木曜日)午後1時30分~午後4時30分 

2 開催場所

柏市役所 本庁舎3階 庁議室

3 出席者

(1) 委員 

髙野会長、金森委員、都賀委員、中野委員、山﨑(直)委員、山﨑(亮)委員

(2) 柏市

(執行部)石黒副市長、猿渡企画部長、川上財政部長

(行政改革推進課)山田行政改革推進課長、小倉主幹、平井副主幹、後藤主査、林主査、渡辺主事補

(財政課)成嶋財政課長、荒巻副参事、中村主幹

(人事課)鬼澤人事課長、保木副主幹

(給与厚生室)田村室長

4 議題

『歳出の抑制に向けた取組みについて 3』

(1) 財政推計について

(2) 財政指標の目標値設定について

  • 経常収支比率
  • 将来負担比率
  • (仮称)財政基盤強化度

(3) 組織と人材育成について

  • 柏市の人材育成(研修、人事評価制度)
  • 組織運営

5 議事

「財政推計について」、「財政指標の目標値設定について」を財政課が資料に基づき説明を行い、併せて質疑、応答を行った。また、第5回に引き続き「組織と人材育成について」の議論を行った。

質疑・意見

(1)財政推計について (2)財政指標の目標値設定について

  • 臨時財政対策債とは、どのようなものか。

⇒国から交付される地方交付税の予定額と実際の交付額の差を埋めるためのものである。交付額は計算式より算出するが、実際には国も財源がなく、予定通り交付されないため、地方が借金をして補っているのが現状である。本来は交付税で得られるもの。

  • 地方交付税の制度そのものは今後、変わっていかざるを得ないと思うが、財源移譲の見通し等、柏市としてはどのように考えているのか。

⇒いろいろ意見があるが、筋としては、元々イレギュラーなものなので見込むのはどうかという考え方がある。また、実際に財政運営をする財政担当は、現状のまま、安易に国から委譲されるのは現実的ではなく、今後、制度が変わることを前提とした財政運営をしていくべきだと考えている。

  • 臨時財政対策債を発行すると返済等はどのような形になるのか。交付税と相殺されるのか。

⇒返済は20年償還となり、利息も掛かる。ただ、交付税は歳入と歳出のバランスで決まるため、理屈上は、歳出の償還額が大きくなれば、歳入の交付税も増えることとなる。しかし、実際に交付されるかどうかというのは、その時の財政の条件によってしまうため、やはり慎重に運用していかなければならない。

  • 経常収支比率については、今回、目標値設定ということで、90%、若しくは95%という数値でよいのか。

⇒財政推計の資料にて、基本的に市が独自に削減できる人件費・物件費・補助費10%削減の場合(A案)と、物件費10%、人件費・補助費15%削減の場合(B案)の資料を作成した。A案は、決算ベースで平成27年度95.5%、B案で93.3%となるが、B案では、定数を抑制しながら、さらに人件費15%削減となるため、難しいところがある。15%削減しても90%には届かないため、これ以上の削減数値を設定するかどうか、意見をいただきたい。目標としては95%は必ずやらなければならないが、現実的にその上を取り組むには、どこまで目標に掲げて取り組むべきであるかを考えている。

  • 設定するのは簡単だが、実現可能かどうかを考えないと、後に、ただ設定しただけというように見られてしまうだろう。
  • 人件費・物件費は市が独自で削減可能なのは分かるが、扶助費(単独)と補助費は本当に削減可能なのか。

⇒まず、扶助費については、国の制度ではなく柏市独自で施策を考えて行ってきたものがあるため、まったく削減できないという訳ではない。他の市町村と比べてプラスの部分もあり、そのようなところを削減するのは可能である。補助費については、各種団体に出している補助金が主になり、削減することは可能だが、当然、市が支援している団体は今後の運営を見直さなければならなくなってくるだろう。

  • 社会保障費について、市の単独事業だからと言って切って良いとは、簡単に言うことができない。その中で10%をどう削減していくのかが問題である。

⇒やはり優先順位を明確にして、限られた財源で、どの分野を優先するのかを理解してもらうしかないと考える。そのために、何が優先なのかを明確にするため、総合計画審議会で全体を示す議論をしている。

  • 行政改革は、国も同じことが言えるが、取れるところから取って穴埋めするのではなく、何年後にどのような市にしたいのかビジョンを持って取り組まなければならない。
  • 単純に、一律10%削減という行政改革はしないでほしい。
  • 資料のとおり、10%削減と考えたとして、実現するためのシステム、組織、具体的な手順は現時点で、どのように考えているのか。

⇒現時点では、人件費の抑制の点から指定管理者等の委託化を進めていく。また、市有財産の管理の考え方としてファシリティマネジメントを導入するなど経費節減を図っていく方針である。体制としては、計画の目標値を設定し、財政課が予算、決算で目標数値について管理を行い、行政改革推進課で各課の進捗をモニタリングし、財政課と連携しながら進行管理をしていく。あとは、市長を本部長とした、行政改革実施本部の中で、随時、達成に向けて体制を整える。

  • 支出の数字だけで見ると、人件費・物件費が大半を占めている。扶助費・補助費等の切れないところもなんとか切っていくというのも大事だが、まず、この人件費・物件費の削減を明確にしていかないと説得力がない。
  • 今回、人件費を10%削減と目標を出しているが、職員の給料を下げてモチベーションを下げるという悪循環になる恐れがある。いきなり削減すると、職員のモチベーションが下がってしまうだろう。もっと時間をかけて、ゆるやかにスライドしていくべきではないかと思う。
  • 人件費・物件費は数値が大きいため、効果は期待できるだろう。しかし、市役所は、サービス業的なところがあるため、人がいないと仕事にならなくなってしまう。優先順位をつけて、低いものを切るという考えも良いが、ちょっと極端ではあると思う。優先順位が高いから、予算をたくさん使えると考えられても困る。全体的に下げるという発想を持たないといけない。
  • 市全体の人件費が10%下げても、職員一人一人の給料がそのまま下がらないような仕組みを考えなければいけない。
  • 財政調整基金が予定どおりだと、毎年25億円ずつ組み込んでいくということだが、実現の可能性はどうか。

⇒平成22年4月時点では38億円という残高のため、単純に切り崩す訳ではない。まず、予算を組むときに25億円を組み込み、その年の決算やいろいろな財源を見て、最終的に崩さないで済むなら崩さない、足りないなら崩すという運営をしていく。

(3) 組織と人材育成について

  • 人件費10%削減は、基本給カット等をせずに達成できる数字か。

⇒基本的に、基本給のカットや退職手当の支給率を変えるということは考えていない。今回、考えているのは行政職(二)の退職者不補充、民間委託を実施してさらに10%と考えている。

  • 業務が専門化・高度化しているため、スペシャリストを戦略的に養成していかないといけない。また、全体をまとめていくゼネラリストが必要な部分もある。今の時代、スペシャリスト、ゼネラリストを分けて養成していくべきである。加えて、給与体系も重ねて考えていかなければならない。

⇒スペシャリストを配置するための複線型人事制度を平成17年度より導入している。給与制度については、特に差はつけていない。行政の専門事務ということで取り組んでいるのは、戸籍関係事務、税の滞納整理、企業会計に関する事務、生活保護関係のケースワーカー等といった分野で、現在13部署に18名が専任職として配置されている。しかし、制度はつくったが、まだ18名程度であり、機能していない部分があるため、来年度にはもっと多くの職員に受けてもらえるよう検討をしている。給与面については、特に変える予定はないが、専任職に一定年数就けば、管理職である主幹、副参事に自動昇格という形での保証はしている。

  • 民間委託をして良い業務と、市として残しておく業務をしっかり分けなければならない。今まで、職員に蓄積された経験や技術がある訳で、それが外部に委託することにより、組織的なスキルが失われてしまう。もうひとつは、責任が曖昧になってしまう。委託先で何か事故・事件が起こったときに、市が責任を負っていけるのか。このことを踏まえて検討していくべきである。

⇒委託によって職員が知識や技術を習得できず、委託先に丸投げになってしまう状況は充分懸念している。対策を立てなければ大きな問題になっていってしまうだろう。今後も、意図的に研修や派遣をして技術習得に取り組む。

  • これから、職員の年齢構成の変化があると思うが、逆に言うと高給の職員が普通の仕事をしているということになる。平坦化した組織で効率的に仕事をしていくことを目指すとなると、今の職層が9級まである必要があるのかどうか、見直しをしていく必要もあるだろう。
  • 給与削減や査定昇給の在り方について、職員でディスカッションを行う等、組織としての業務を行っていく上で、給料に対しての意識、公正な業務等、大事なポイントについて、全職員を巻き込んでいくと良い。
  • 人事異動の際、専門分野を身に付けた職員がまったく違う分野の配属となることがあると聞いたが、配属させる基準等はあるのか。

⇒特に規則や、法律があるわけではない。方針としては、若年層、入庁してから10年目程度の職員までは、いろいろ経験させるということで3~4年で異動させている。中堅層からは、配属先で能力を開発してもらい、最後は、本人の専門的な能力が生かせる部署に配属させている。しかし、いろいろ諸事情があり、方針どおりにはいかないのが現状である。

  • 行政の場合難しいと思うが、業務をもっとマニュアル化するべきである。異動したあと、仕事を上司に教わるだけでは、間に合わないだろう。
  • 人件費総額は10%削減するが、一人一人の給料は下がらないようにするには、やはり職員個人の効率を上げていくしかない。本当の行政改革というのは、マネジメント効率をどのようにあげていくのかということである。
  • 途中採用はしていないのか。広報等で土木や建築の技術職、専門職の募集はあまり見ないが、即戦力として採用を考えても良いと思う。やはり育成には時間と費用が掛かってしまう。

⇒昨年度まで、社会人経験枠で採用をしていた。今年度からは、法律が変わったため、社会人経験枠ではなく社会人経験があってもなくても35歳までの年齢制限のみで条件を設定し採用している。

6 傍聴者

(1) 傍聴者

10人

(2) 傍聴の状況

傍聴要領に反する行為は,見受けられなかった。