柏市総合計画審議会 第2回産業・都市基盤分野分科会会議録

1 開催日時

平成22年10月8日(金曜日)午前9時00分~正午

2 開催場所

柏市役所第2庁舎3階 305会議室

3 出席者

(1) 委員

落合委員(座長)、寺嶋委員、花島委員、岡本委員、増谷委員、宮崎委員、綱野委員、山田委員及び吉田委員(9人)

(2) 市・事務局

石黒副市長、猿渡企画部長、吉川企画調整課長、小城商工振興課長、森山北部整備課長、藪崎建築住宅課長、飯島(水)総務課長、商工振興課;石田副参事、農政課;村越統括リーダー、下水道整備課;市原副参事、企画調整課;中山副参事、稲荷田主幹、関本主査及び黒澤主任他10名

4 議題等

基本施策別における優先項目について

5 議事(要旨)

事務局から資料に基づき、議題「基本施策別における優先項目について」説明を行った後、質疑、意見交換を行った。主な内容は次のとおり。

【質疑及び意見交換】

住宅・住環境の向上

・ 住宅の耐震化対策はこれまでも進められてきているが、特に高齢者に安心を与えるという意味で効果は大きい。継続して推進していくべき。

・ 目標耐震化率を現在の64%から29年度までに90%まで引き上げるとあるが、住宅や特定建築物などさまざまな分類があるはず。どの耐震化率を90%にするのか。それぞれ個別の目標設定とすべきではないか。

 把握できる分類について、現状値を踏まえて、個別に目標値を設定することとしたい。

・ 目標の水準は具体的にわかりやすく明示するようにしてほしい。

・ 主な施策であげられているものは、すべて重要で、すべてが1番だとも考えられる。優先項目は、それを前提として、なおかつその中での1番をあげるものだということで良いのか。

 そのとおり。主な施策はすべて重要で、もちろんすべて推進するわけだが、「その中で特にこれを」という観点で意見をもらいたい。

・ 生命の安全という観点から、耐震化の優先度は高いはず。学校や住宅など、市全体としてそうした考え方があるはずである。部署ごとの縦割りでなく、耐震化という横串の視点で考えていくべきではないか。

 各部門計画の作成においては、全庁的に各部署の職員が入って調整が行われている。今回は、複数掲げてある主な施策の中から、これが大事だという意見をいただきたい。

最終的に全庁的な視点からとりまとめるが、現在の議論の進め方としては、それぞれの基本施策ごとに行わざるをえない。出た意見は他の分野の議論にも反映させていきたい。

・ 耐震化のために具体的にはどういったことを行っているのか。

⇒ 耐震診断の補助と実際の改修の補助を行っているが、なかなか進捗していないのが現状。お金がかかること、大丈夫であろうという意識が強いことが主な要因である。

耐震化の重要性の認識を高めるために、PRを進め、啓蒙していくことが大事だと考えている。

・ 耐震基準に達していない木造家屋はどの程度あるのか。

 木造の建築物が32,800軒、うち戸建住宅が32,200軒である。

・ 確かにPRは重要。これは、財政に負担をかけないソフト面の問題である。

・ 住宅・住環境の基本施策は、バリアフリー、独居老人対策など、さまざまな分野と関わってくるはずだが、関連課に福祉部門などが入っていない。こうした課とも話し合って「住宅」という視点からハード・ソフト両方の面から施策をまとめてほしい。

 高齢化といった課題を考えると、そうした視点は必要である。福祉関係部署も含めて検討していくこととしたい。

・ 「優先項目」は耐震化ということでよいが、そうした視点も入れて表現を再考してほしい。

・ また、目標については平成27年までにこうするというように具体的に示してほしい。

上水道の整備拡充

・ 主な施策と優先項目の関係が明確でない。どの施策が優先項目に該当するのか。

⇒ 「安心できる水道」「安全供給できる水道」など、ここに掲げた5点は地域水道ビジョンにおける基本目標。施策としては適切でないかもしれない。

個別の施策はこの5つの基本目標の下に数多くあるため、ここでは切り口として基本目標を表示した。

・ 水道管の耐震更新化について、年間で30kmの対応が必要であるのに、20kmしかできないとの説明があった。これをどう解消していくつもりなのか。

⇒ 老朽化が進む中で、必要な対応量に更新が追いついていないのが現状である。

水道事業の更新のためにアセットマネジメントの手法を用いて、事業計画、採算見通しを検討しながら対応していく予定。

短期的には追いつかないが、中長期的には追いつかせるように計画を作成していく。

・ いつまでに解消できる予定か。

⇒ 現状ではいつ解消できるという見通しは立っていない。財政面での縛りもある。

水道事業は基本的に独立採算制である。節水型機器の普及などにより供給量が減少し、それに伴い売上も減少している。収益環境が厳しい中で、多額の支出を伴う更新事業を進めていくには、資金が必要である。現在は、水道料金は据え置きの方針を打ち出しているが、将来的には値上げも考えていく必要があるかもしれない。

今後は、どこを重点的に整備するか、どうすれば効率的に進められるかなどを十分に考えて事業を進めていきたい。

・ 優先項目の名称だが、「安定供給」という文言ならすべてが網羅されているような気がする。施設の整備と耐震更新化のみだと絞られすぎかもしれない。

 さまざまな問題があるが、最終的にいきつくところは施設の整備だと考え、これを優先項目とした。財政の問題はそのための手段である。

・ 水道普及率が93.26%とあるが、残りの6.74%はそのままということで、議論の対象にしなくて良いのか。

 この中には、豊四季団地など独立した水道管の設置がされている地区や、井戸を利用し水道管の敷設は不要としている地区も含まれている。必ずしも100%が目標とは考えていない。

・ データを取るのは大変だということは承知の上で申し上げるが、やはり本当に必要な地区のうち、100%の普及がなされているのかを調べてほしい。

・ 主な施策の「親しめる水道」とはどういうことか。水を使った親水事業などをイメージしているのか。

 利用者にとって親しめるという意味。具体的には、コンビニやクレジットカードでも水道料金を支払えるようにする事業などのこと。

・ 「親しめる水道」という名称は抽象的で、人によって受け止め方が異なる。「サービスの充実」のようにわかりやすく表現すべきである。

・ 優先項目の中身はよいと考えるが、施策と合致しない。施策としてあげられている5つは、わかりやすく修正し、それにあわせて優先項目も表現してほしい。

下水道の普及促進

・ 下水道の整備は下流の対策から進めていく必要がある。また、整備時期についてのPR活動が重要だと考える。

 手賀沼など、放流する下流における整備から順次行っていきたい。

特に雨水について、どこの地域をいつまでに整備するということのPRはできるだけ早めに行う必要があることは認識している。しかし1m整備するのに100万円かかる事業であり、PRできる時期は、予算が確実に確保できてからということになってしまう。

近年の住宅開発は、開発行為の指導により雨水浸透等を行っている。公共では、雨水の事業認可の取得できない地区を対象に学校貯留を検討している。

・ 浸水被害は物的被害だけでなく、精神的なダメージも大きい。雨水対策は重要。建設の許認可を出しているのは行政であり、しっかりとした対応を推進してほしい。

・ 合流式下水道について、「緊急改善対策」と「分流化事業」と2つの施策の記載があるが、どう違うのか。

 合流式下水道とは汚水と雨水を一緒に処理している下水道のことで、柏駅周辺地区のみで行われている。「緊急改善対策」とは平成25年までに降雨時の未処理放流を改善する事業のことで、「分流化事業」とは汚水と雨水の下水道を分ける事業のこと。

・ ゲリラ豪雨への対応は、下水道整備課が単独で行うのか、他と連携して行うのか。

 下水道整備課が中心になって行うが、排水対策課、道路維持管理課などとも連携しながら進めている。

・ 「浸水の解消」が市民のニーズであるはずだが、主担当課は「下水道管の整備」が目的になっている。だから関連課と連携して施策を考える姿勢がないと考えられる。

・ 治水や河川関連の課も関連してくる。こうした部署とも連携して施策を考えてほしい。

・ ただ単に整備をするということではなく、市民のニーズという視点で、関連課との協議を行って、施策の立案と優先項目の設定を行ってほしい。

つくばエクスプレス沿線地区のまちづくりの推進

・ 何故「地域の資源を活用したまちづくり」を優先項目としたのかについて説明を。

 地域資源が豊富であることから、それを活用した取組みを進めていくということで優先項目とした。

・ 施策のくくり方が不適切であり、修正が必要。

・ 北部地区は柏市の先導的な役割を担う地区。市の中での位置づけをもっと明確するという考え方で施策を表現してほしい。

・ 「地域の資源を活用したまちづくり」という優先項目では、どの地域でもあてはまってしまう。また内容がはっきりせず、他のすべての施策にも該当するとも考えられる。

・ TX沿線は、柏の葉キャンパス駅周辺の都市的部分と、柏たなか駅周辺の農業のイメージ、両方があるためにアバウトな表現になってしまっているのかもしれない。場合によっては、2つを分けることを考えてもよいのではないか。

・ 目指すべき水準で42年度にCO2を35%削減するとあるが、計画の最終年度は27年であり、その時点での目標が必要。体験農園を2園から6園へというのもはっきりしない目標である。

・ 施策及び優先項目について、再検討をしてほしい。

柏駅周辺地区の整備の推進

・ 目標として歩行者通行量が設定してあるが、これはどういう測り方をしているのか。

 毎年柏駅周辺の8箇所の定点で「歩行者通行量調査」を行っており、その結果である。改札口の前で測るのではなく、少し離れた場所で測ることにより、鉄道の乗り換え客は排除している。

・ 優先項目の表現はこれで良いと考える。「集客力の強化」が全てである。

・ 二番街で予定されている建築物に、市の関連施設が入居する可能性はあるのか。

 再開発課が担当で詳細はわからないが、公の施設が入居する可能性はあると考える。

・ 中心市街地について、今後は地域の高齢者から若者までが集う小さなまちとして整備していくという考え方も必要なのではないか。

 活気あるまちであるとともに、安全なまち、ゆとりのあるまちなど、多様な面が求められると思うが、現時点では40万人都市としての活力を前面に考えていきたい。

・ 5年前中期計画を策定する際に、「これからは若者が集まるまちという考え方だけではだめ」と意見したが、その時点ではあまり賛同を得られなかった。

・ 5年たった今、全国的にコンパクトシティ化の動きがみられる。ただし、柏駅周辺では、商工業者が集客力を高めるために精力的に活動を行っており、現時点では、表現はこれでよいと考える。ただし、あと5年後は状況が変わってくるだろう。

・ 柏インフォメーションセンターの役割も重要だと考えるが、資料には記載がない。ソフト面の施策や事業として、センターへの支援を入れてほしい。

・ 関連課も含めて施策を検討してほしい。優先項目の内容はよい。

 

市内事業者の事業環境の整備・新事業の創出支援

・ 説明の内容は理解できたが、資料は既存の縦割りの考え方で構成されている。主担当課のみの施策で、他との連携がない一人よがりの内容となっている。

・ 中心市街地の施策については、この「市内事業者の事業環境の整備」と前に出てきた「柏駅周辺地区の整備の推進」の2つの基本施策で出てきている。同じ課で担当しているわけであり、統合して考えても良いのではないか。横串で考えるという方針があるわけで、全体をすっきりと見せようという努力の跡が見られない。

・ 「雇用」が重要であることは間違いないが、秋山先生が推奨しているジェロントロジーの考え方も盛り込んでいくべき。

 商工振興課のみでは対応できない面もある。連携を考えていきたい。

ジェロントロジーに関連しては、柏市内ではさまざまな実証実験が行われている。こうした流れも部門計画の中に落とし込んでいって、柏市の強みを活かした形で振興を図っていきたい。

・ 「市内事業者の事業環境の整備」の目指すべき水準で、「柏インフォメーションセンター」や「るっくふぉ・かしわ」への年間アクセス数を20%増加するとあるが、それによりどういう効果を見込んでいるのか。

 効果は、市内の事業所やそこで扱っている商品を知ってもらえること。商売のためには、まずは認知させることが重要という考え方からきている。

・ 「新事業の創出支援」の目指すべき水準にあるインキュベーション施設とは、どのようなものか。

 インキュベーションとは卵からふ化するという意味。創業間もない事業者が入居し、成長するための施設である。

・ インキュベーション施設の専門コーディネーターは、1名しかいないのか。

⇒ 東葛テクノプラザにも市から派遣された職員が1名いるほか、県の専門家も対応している。

・ 1つの課のみで対応するのではなく、それぞれの基本施策の趣旨を考えて、他との連携を図って施策を検討してほしい。

・ 数字については、なぜそうする、今後こうしていきたいからこうするといった根拠付けをはっきりしてほしい。

・ 優先項目は、それぞれ概ねよいが、出された意見を考慮して、表現を再考してほしい。

都市観光の振興

・ 都市観光の視点だけでなく、自然環境、農政、NPOが行っているフットパスなど、いろいろな関連課と関わりがあるはずである。地域特性に関わる情報を庁内で出していって、観光と結び付けていくべきである。

・ また広報の視点が足りない。外への発信が重要である。

・ 情報の発信とともに、観光を体感する、来訪者と一緒に活動する観光という考え方も大事である。体験農園などの取組みも事業に加えてほしい。

・ 自らがやっている事業を、観光と結び付けたいと考えている課もあるはず。そうした他の課の考えを取り入れながら、施策を考えてほしい。

・ 情報発信は市内向けなのか、市外向けなのか。

 情報発信は、まずは市民向けが重要だが、当然市外へも発信もしていく。両方が対象。

・ シートの「現状」に「多様な観光資源が存在」とあり、「課題」に「際立った観光資源がない」とある。矛盾していないか。

⇒ 観光資源については、捉え方の違い。京都のような観光資源はないが、従来観光資源と認識されていなかったものを、見方を変えて認識していこうというもの。

都市農業の振興

・ 説明の内容は明快で、説得力があった。

・ 農業は発展の可能性がある産業であり、期待ができる。施策で掲げた内容を、できることから目に見える形で実現していってほしい。

・ 目指すべき水準で「経営体」と「認定事業者」が出てくるが、前者は家族や組織で後者は個人と考えられるが、そういう理解で良いか。

 経営体と認定農業者の件はそのとおりで、単位は異なる。市としては、自ら計画を立ててそれを推進していく「認定農業者」の支援に特に力を入れていきたい。

・ 施策に「市民・農業交流の推進」とあるが、その効果をどう考えているか。

 交流は、市民に農業を理解してもらうことを目的として行うもの。生産者と直接話をすることにより、市民に農業を身近に感じてもらうことができる。

・ 最近の大企業の農業参入の動きについて、どう考えているか。

⇒ 農業参入については、先日イオンが市内の五條谷地区の農地2haを賃借して葉ものの生産を始めるとの発表があった。既存農家の支援に加え、こうした動きも促進して、市内の農業の振興を図っていきたい。

6 傍聴

傍聴者 3人

傍聴要領に反する行為は見受けられなかった。

7 次回(分科会)開催日時

平成22年10月28日(金曜日)午前9時から