柏市総合計画審議会 第2回健康・医療・福祉分野分科会会議録

1 開催日時

平成22年9月29日(水曜日)午前9時~正午

2 開催場所

柏市役所第2庁舎5階 第5・第6委員会室

3 出席者

(1) 委員

秋山委員(座長)、金江委員、熊谷委員、沢田委員、妹尾委員、綱野委員、山田委員及び吉田委員(8人)

(2) 市・事務局

猿渡企画部長、木村保健福祉部長、渋谷保健福祉総務課長、上野高齢者支援課長、宮本障害福祉課長、池田福祉活動推進課長、下(保健所)総務企画課長、柴田児童育成課長、(保健所)地域健康づくり課;高木専門監、児童育成課;吉岡副参事、企画調整課;中山副参事、稲荷田主幹、関本主査及び黒澤主任他10名

4 議題等

基本施策別における優先項目について

5 議事(要旨)

事務局から資料に基づき、議題「基本施策別における優先項目について」説明を行った後、質疑、意見交換を行った。主な内容は次のとおり。

【質疑及び意見交換】

健康づくりの推進

・ 優先項目に記載されている「4大疾病」と、従来からある「生活習慣病」はどう違うのか。また人間ドックの受診状況について教えてほしい。

 以前は大人になるとかかりやすい病気ということで「成人病」と呼ばれていたものが、大人になることではなく、その人の生活習慣が原因の病気ということで「生活習慣病」と変わってきている。

国民健康保険加入者の人間ドックの受診者は、平成21年度で2、096人となっている。40歳以上で特定検診の受診券を送付している人は78、259人であり、そのうちの2、000人が受診しているということになる。

・ 「がん」「脳卒中」「心筋梗塞」「糖尿病」という4大疾病のくくり方に問題がある。

・ 脳卒中や心筋梗塞は動脈硬化がもたらす病気で、糖尿病は高血圧などとともにその原因の1つである。糖尿病や高血圧を予防すれば、必然的に脳卒中や心筋梗塞は起こらない。これらを同等に扱うことはできない。

・ がん以外は総じて生活習慣病ということができるので、「がんと生活習慣病の予防」ということで良いのではないか。

・ 表現の仕方の問題。市民がわかりやすいように表現できれば良いと考える。

・ 表現はこれで良いと思う。ただ、優先項目を議論することは必要だが、それに加えてそれぞれの課題についても明確にしていく必要がある。

・ 生活習慣病対策で成功している自治体やその取組みについて、市として認識しているか。例えば三郷市では体操を各コミュニティでやって、それによって成果をあげている。こうしたことに対する市の考え方を聞きたい。

 全国の先進的な事例は把握して、参考にしている。

また、栄養指導を受けたい糖尿病患者が大病院で相談を受けることができる「地域栄養相談システム」や、地域での定期的なウォ-キング活動の推進など、独自の取組みも行っている。

・ がんと生活習慣病予防ということだと、健康教育などを行う1次予防と具体的なプログラムを講じる2次予防の両方にまたがる内容だといえる。

・ 予防のための活動としては、健康づくり体操の実施など、社会福祉協議会、地域包括支援センターといった民間も活発に行っている。

・ 優先項目としての提示は、市民にわかりやすい表現という視点が重要。

・ 他の病気の人もいる。優先項目を4大疾病に限定すると、平等感という面でどうかという懸念もある。

・ 優先項目のレベルの統一感についても考える必要がある。

・ 「予防」は最終的に肥満に起因している。対策としては食生活の改善と運動習慣をつけることの2点に尽きるといって良い。

・ 生活習慣病についての特定検診は、40歳代、50歳代の受診率は1ケタと極めて低い。原因は平日の昼間に行っており、働いている人が検診にいけないこと。きちんと受診するように導いていく必要がある。

・ 若い女性の食生活が貧しい状況にあるということも忘れてはいけない。若者の食の自立という視点も必要。

・ すべての施策を実施することを前提に、現実的には優先項目を絞っていく必要がある。具体的に市民にわかりやすい目玉として、「がんと生活習慣病の予防」を掲げるということで良いのではないか。

健康危機管理機能と体制の充実

・ 中核市になる前となった後で、具体的にどこが変わったのか。

 保健所は危機管理の機能を有する。柏市は中核市となって独自の保健所が設置されたが、それによって柏市独自で直接的に、また迅速に危機管理への対応を行うことができるようになった点が大きな違い。現在は厚生労働省から直接情報がもたらされ、それに対して市独自で対策が講じられるが、従来は県を介して情報が伝達されていたため伝達が遅く、対応も県の方針にもとづいたことしかできなかった。

・ シートでは情報提供体制の整備に重きを置いているように読めるが。

 健康危機発生前の予防、発生後の対応が求められるが、その中で市民への情報の提供が非常に重要だと考えている。

医療体制の整備

・ 市民1万人あたり医師数は17.2人との説明があったが、歯科医は含まれているのか。また現状で照会1回での救急搬送の比率が92~93%とあったが、本当にそれだけの対応ができているのか。

 医師は歯科医を除く数。救急搬送については、現場での集計を吸い上げたもの。医師会の協力もあり、他の市よりも充実した体制をとることができている。

・ 人口1人あたりの医師数は、柏市は東葛5市の中では一番多い。県内では平均的水準。全国平均は1万人当たり20人で、これと比較すると少ない。

・ ただし、国立がんセンターは全国から患者を受け入れている、がんに特化している病院であり、一般診療や救急対応も行っていない。市の医師数やベッド数にはがんセンターの分も含まれており、本来ならこれを除いて考えるべきだといえる。

・ 医師会所属の医師の平均年齢は60歳を超えている。

・ 小児科医は69人という話があったが、小児科専門の開業医は10数人である。

・ 救急体制に関しては、県内でもトップクラスの状態だといえる。ただ救急は、周辺市との関係もあり、柏市単独で完結させられる問題ではない。

・ 救急は、小児科の対応が十分ではないことが問題。慈恵医大で医師数を増やして2次から受けてもらっており、大人に関しては大きなトラブルはないと認識している。

・ 目標として、市立病院の小児科医を5名確保するとあったが、昼間の小児科の対応は大きな問題はないはず。問題は夜間で、5名に増えても根本的な解決にはならない。

・ 小児医療に加えて高齢者向けの医療も重要。今後75歳以上人口が増えるが、こうした高齢者はいくつもの疾患を持っている人が多い。高齢者への聞き取りでも「医療が最も不安」という声が多かった。

 重点事業として「かかりつけ医・在宅医療体制の促進」を掲げている。豊四季地区でのモデル事業が具体的な例。

市内には在宅療養支援診療所が15箇所あるが、松戸市には27箇所ある。充実をはかっていきたい。

・ 在宅療養支援診療所と従来からある診療所の往診とはどう違うのか。

 施設として一定の基準を持っているかどうかの違いだけ。基本的には同じものである。

・ 「連携」の考え方も重要である。

 重点事業で「関係機関相互の連携の促進」を掲げている。1次・2次・3次医療の連携、またそれ以外でも医療機関と訪問看護師、ヘルパーなどとの連携も模索していきたい。

・ 柏市ではこれまで各機関の連携の動きはあまり活発ではなかったが、最近になって在宅医療を中心として、医療機関、医師会、行政が連携した会議など、積極的に取組んでいる。

・ これは全国どこでも抱えている問題である。モデルとなるような取組みを期待したい。

・ それぞれの目指すべき水準の根拠について聞きたい。

⇒ かかりつけ医を持っている市民の割合は、現在の70%強から80%を目指したい。

照会1回で救急搬送した割合は、消防からの報告をまとめた結果。

市立病院の小児科医5名は、現状の2名では対応が難しいと判断しているため。

なお、市立病院の小児科医の数については、この4月から2名確保して外来診療を開始したが、やはり入院や救急への期待が大きい。このため市立病院としても小児入院、小児救急を行うためにこそ常勤小児科医を5名体制の実現が必要と考えている。

・ 小児科医の確保については、最終年に何人にするということだけでなく、1年目で何人、2年目で何人、最終年に何人というように考えて対応してほしい。

市民とつくる地域福祉の推進・高齢者を支える体制の充実・高齢者の自立支援の促進

・ 「地域ケア会議」のネットワークとはどのようなイメージか聞きたい。

 地域包括支援センターが中心となって、行政、町会、医療機関、ボランティアなどが参加して、地域における情報の収集・蓄積、提供、活用を図っていく「地域包括ネットワーク会議」など。

平成21年度は4圏域で37回実施しており、1圏域あたり9回程度実施したことになる。

・ それぞれの目指すべき水準の根拠を聞きたい。また、サロン活動はどういったことを目的として行っているのか。

 現在7つの地域包括センターを委託済であるが、今後の高齢者の増加を想定して、10の圏域として、それぞれにセンターを設置する予定である(合計10箇所。現状+3箇所)。

会議開催回数の65回は、1圏域で6~7回の開催を想定したもの。

センターに寄せられる相談件数4万件は、21年度の22、724から3割増させた3万件に、センターの機能を強化することにより、1万件を加えた値を目標とした。

介護支援サポーター制度は10月からスタートさせる制度。県内では印西市に次いで2番目。市民からサポーターを募集し、180人を認定した。近々に200人までしたいと考えている。高齢者人口の1%が目標とされており、その基準だと1,300人だが、当面の目標は1、000人とした。

サロン活動の120箇所は、現在100町会88箇所で行われていることから、それにプラスした目標としたもの。活動の回数を目標とするものではない。

サロン活動は、地域コミュニティの活性化、引きこもりの高齢者対策、介護予防などが目的と考えている。

・ 説明の中で「これからの高齢者はかつての高齢者とは違う」とあったが、どういうことか。

 55~64歳の高齢者直前の層へのアンケート結果から、「夫婦で旅行や趣味を楽しみながら、生涯学習やボランティア活動にも積極的に参加し、また家族による介護ではなく独立した介護を望む」という高齢者像を想定している。

・ 個人情報保護条例があるために、福祉の対象とすべき高齢者が、現場で対象にのらないで落ちこぼれているケースもある。対応策をどう考えているか。

 1つの解決策として、本人の同意を得ることがある。そのためには支援を必要とする高齢者と関係を密にしていく必要があると考えている。

・ ヘルパー2級を持っていて、ボランティア活動も10年以上行っている。今般介護支援サポーター制度に応募したが、説明会の後の30分の研修に参加しなかったところ、サポーターとして認定されなかった。知識や経験がある人には研修を免除するなど、柔軟な対応をしていただきたい。

・ 地域ケア会議についてだが、教育部門における「学校地域支援本部事業」という事業の中で、類似した会議がある。内容やメンバーはかなり重複している。横断的にという方針があるので、うまく調整を図っていければと考える。

・ 2つの基本施策は、ともに高齢者を支えるものだが、優先項目の対象範囲は一方は狭く、もう一方はかなり広い。レベルに差があるといえる。内容についてはこれで良いと思うが、どのように整合を取るか、場合によっては2つの基本施策を統合することも含めて、事務局で検討をしてもらいたい。

・ 今回のシートは、主担当課のみで作成されたものが提示されているという印象がする。関連課とどの程度議論し、調整されているのかが疑問。調整してあれば、内容がもっと整理されているはず。

・ 関連課を含めて基本施策ごとによく議論して、集約するところは集約するという方針を明確にすべき。

障害者を支える体制の充実・障害者の自立支援の促進

・ 4つの指定相談支援事業所があるという話だが、これらは公開されているのか。

 相談支援事務所については公開している。なお、新たに設置する「障害者就労支援センター」は、教育福祉会館内に設ける予定である。

・ 利用計画書が作成されている割合を現在の0.3%から20%までにすると目標を掲げているが、本当に可能か。

 目標については、厳しいが達成させていくつもりでいる。

母子保健の推進・子育て環境の充実・健やかな成長と自立支援

・ 関連課に教育委員会が入っていないが、全ての施策を教育委員会なしで対応できるのか。

 放課後子ども教室は生涯学習課の事業である。

・ 「相談経路別要保護乳幼児数の21.5%が母子保健事業で対応」とあるが、実際の数字はどの程度なのか。現状の課題として把握しておきたい。

 調べて回答する。

(補足)
予定時刻となったため「3節 子育て支援」についての意見は、別途書面でいただくこととした。

6 傍聴

傍聴者 4名

傍聴要領に反する行為は見受けられなかった。

7 次回( 全体会議 )開催日時

平成22年11月12日(金曜日)午前9時から