柏市総合計画審議会(第2回)会議録

1 開催日時

平成22年8月31日(火曜日)午前10時~午後0時10分

2 開催場所

柏市役所第2庁舎5階 第5、第6委員会室

3 出席者

(1) 委員

秋山委員、今津委員、岡本委員、落合委員、勝野委員、金江委員、熊谷委員、古在委員(会長)、佐藤委員、沢田委員、鈴木委員、妹尾委員、綱野委員、寺嶋委員(副会長)、戸塚委員、根本委員、花島委員、広瀬委員、増谷委員、宮崎委員、山澤委員、山田委員、山宮委員及び吉田委員(24人/25人)

(2) 市・事務局

石黒副市長、猿渡企画部長、吉川企画調整課長、企画調整課;中山副参事、稲荷田主幹、関本主査及び黒澤主任

4 議題等

重点テーマの設定について

5 議事等(要旨)

事務局から資料に基づき、議題「重点テーマの設定」について説明を行った後、協議を行った。主な内容は次のとおり。

【 質疑及び意見交換 】

重点テーマの設定について

・ 「市民協働の視点」については、重点テーマだけでなく、計画全体に共通する基本的な方針である。柏市では既にいろいろな取組みが行われており、これは柏市の強みだといえる。支出を伴わない取組みの推進により、結果的に市の歳出削減にもつながると考えられる。

・ 「領域横断的視点」は、現在部門別に分かれているが表裏一体で捉えることができる取組みを結びつける、合体させることによって、無駄がなく効率的で財政に負担がかからない仕組みをつくっていこうという考え方である。

・ この審議会では、個別事業など細かい部分まで全てを検討していくことはできない。基本的な方向性を議論し、その結果を市に答申していくことにしたい。

・ 重点テーマの5つのキーワードをみていくと、他の4つと比較して「低炭素」だけが対象の範囲が狭い感じがする。例えば「環境」とした方が、他とのバランスを考えた上で好ましいのではないか。

⇒ 「環境」は範囲が広くなるため「低炭素」をキーワードとした。重点テーマはあくまでも「人と環境にやさしい低炭素先進都市のまちづくり」である。

・ 「低炭素」は言葉としてなじみが薄く、官庁的なイメージもある。一方で「環境」だと範囲が広すぎる気がする。

・ 「環境」は家庭環境、学校環境など、さまざまな分野を連想させてしまう。「エコ」=「低炭素」という位置づけで、このままでよいと考える。

・ 「低炭素」ではなく「低炭素社会」なら、わかりやすいかもしれない。

・ 「低炭素型都市」が一般的ではない気がする。例えば「温暖化防止」といった言葉の方がわかりやすいのではないか。

・ 「低炭素」については、確かに聞きなれない言葉かもしれないが、今後確実に広まっていく言葉のはず。先取りという意味でも使った方が良い。

・ 「低炭素社会」が良いという意見も出た。ここでの意見をもとにして事務局で検討をしてもらいたい。

・ 5つのテーマの中の「笑顔で子育てができるまちづくり」の関係分野の1つとして「教育」が入っているが、教育は重要な項目である。生涯学習も含めて独立したテーマとして「教育」を掲げて、重点テーマを6つにしてはどうか。

・ 子育ては「家庭での取組み」が中心。それに対して教育は「学校での取組み」が中心であり、両者は違うものと考えられる。1つの大きな課題であり、学校教育に絞って独立した重点テーマとして位置づけるべき。

・ 「教育」は「子育て」「高齢者」など他の重点テーマに横断的に含まれており、新たに設定しなくてもよいと考える。

・ 「子育て」のテーマは「次世代を育てよう。そのためにはどうすべきか」というもので、その中に「教育」は含まれている。また、その他のテーマにも「教育」の視点は入っており、「教育」は領域横断的に捉えていったほうがよい。5つの重点テーマはこのままでよい。また、市民協働の強化は大切だと考える。

・ 「教育を」という考え方では、対象が狭く絞られてしまう。そうなると「医療が大事」「産業が大事」というように、それぞれが主張しあって、まとまらなくなってしまう。教育はいろいろな視点から考えていくべき。5つの事務局案も、領域横断的に考えやすいテーマという視点から提示されていると考えられる。

・ 教育をどこでどう位置づけていくかは、領域横断的に今後検討していけば良い。

・ 教育も大事だが、5つのテーマのもとで、その下の段階で考えていけば良い。

・ 「子育て」は幼少期が対象で、青少年期が抜け落ちてしまっている感じがする。思春期のこの時期の子どもへの対応も含めてイメージできる言葉に変えることができればと考える。ただ、代替する適切な言葉が思いつかない。

・ 「笑顔で子育てができるまちづくり」の表現についてだが、主語を「子育て」ではなく「子ども」とするのも1つの考え方。青少年期も含めた広い年齢階層を「子ども」と考えて、「子どもが笑顔で育ちやすいまち」としたらどうか。

・ 前回提示された「基礎調査結果」の資料で、柏市の弱みとして出生率の低さ、労働力率・女性の就業率の低さ、保育所数の少なさがあげられていた。柏は「子どもを産みたいが産みにくいまち」とも考えられる。そうしたことを考えると、「子どもが産まれ育ちやすいまち」としても良い。

・ 「子育て」は広く考えて高校生くらいまで対象として含まれる。この重点テーマの表現はこのままで良い。

・ 「子育て」は、子どもを主語とする形と、「子どもを支える周囲」を主語とする形の2通りが考えられるが、後者の方がより広い範囲まで含めて捉えられる。この名称のままでよいと考える。その他の4つもバランスがとれており、このままで良い。

・ 「笑顔で子育てができる・・・」の笑顔は大人のもの。「笑顔で育つ子ども・・・」とすれば、その笑顔は子どものもの。どちらを主体と考えるかで意味合いが違ってくる。

・ どちらの考え方もありうる。ただ、「子どもを中心としたまちづくり」という視点からすると、子どもの目線ではなく、親、地域、学校を含めた周りが子どもを育てていくという現状案の方がよいと考える。

・ 「子育て」の対象年齢階層もあまり線引きしなくて、広く「子ども」と考えればこのままでよい。

・ 柏市では市民協働が進んでいると言われているが、実際のところはまだまだであり、「人づくり」ができていないと認識している。

・ 5つの重点テーマは良いとして、「人づくり」という観点で、それをうまくまわしていくための仕組みも重点テーマとして掲げたい。6つ目として「市民協働を強化しやすいまちづくり」のようなものをいれてはどうか。

・ 個々の市民の価値観が多様化している中で、将来都市像にある「支えあい」を重視していく必要がある。

・ 5つの重点テーマはセンスが良く、それぞれのバランスも取れている。

・ 同感である。各分野の内容が5つにうまく収納され、まとまっている。

・ 重点的に取組むべき11項目が、5つの重点テーマにきちんと網羅された形で整理されている。

・ 5つの重点テーマは良くできている。2つの基本方針も良い。

・ ただし、実際に事業を進めていったときに、どれだけ実現できたかが本当の問題。達成目標を掲げて、それが実現できたかをきちんと評価していってもらいたい。

・ 「市民協働」「領域横断」という重点テーマの2つの基本方針についても適切だと思う。

・ 基本方針である「市民協働」と「領域横断」の考え方をどう実現させていくか、考えていく必要がある。

・ 教育の分野に携わっているが、現在行われている事業は確かに分野単独のものが多い。この手法は良い面もあるが問題もある。今後の領域横断的な視点に期待したい。

・ 会長が研究している「市民科学」の考え方のように、市民の側も主体的に参加するまちづくりを進めていくべき。

・ そのためには市民と行政がどのようにつながりあうかがポイントだが、現状では両者の間で情報のやりとりが十分ではない。

・ 「市民協働」は言葉だけのあいまいな形では、あまり期待できない。5つの重点テーマをベースとして、それを実現するための手段として「人づくり」を進める具体策を盛り込んでいくべき。

・ 「協働」と「領域横断」を基本方針にするということは、全てにおいてこの2つをどう扱っているかチェックが入るということ。この審議会でこの合意ができ、それに沿って計画策定が行われれば、今回の計画は従来のものと大きく違ったものになるはず。これまであったような「予算獲得のための団体間でのせめぎあい」はなくなるはず。

・ 「市民科学」の考え方について、例えば教育の専門家は数多くいて、「教育学」という学問が確立されている。しかし「どのように学ぶべきか」というような、学ぶ側の立場からの「学習学」はほとんど研究されていない。また、医者の立場からの「医学」と、治療を受ける患者の立場からの「患者学」の関係も同じこと。

・ 「協働」ということは、この2つが同じ程度に達しているということが前提となる。そう考えると、市民の側が行っていく活動のレベルを、かなりの水準まで上げていく必要がある。

・ 「まちづくりを市民が一緒に行う」ということは、もともとそうあるべきこと。市民と行政がお互いに対等な立場で話すことで、それぞれの視野も広がっていく。そうした考え方をここで示していければと考えている。

・ 市民協働と地域の絆は、重点テーマ実現のための大前提だと考える。

・ 柏市では先日まで事業仕分けが行われていたが、その議論の中で評価員から多くの有益な意見が出ていた。

・ 市民の役割、行政の役割、それぞれが見直されていくべき。5つの重点テーマを柔軟に具体化していくプロジェクトが必要である。

・ 1つ1つみていくと全てが大事ということになってしまう。重点テーマは分野ごとに細かく分けないで、横のつながりを意識しながら考えていくべきである。

・ それぞれの重点テーマに関連性があるのは当たり前。例えば「住みやすいまち」というように、重要テーマが1つでは具体性に乏しく、また多すぎてもわかりにくい。5つということで数も適当。内容もこれで良い。

・ 最終的に何を目標とするかが重要で、テーマはあくまでもテーマ。議論の中で変わっていく可能性もありうる。執拗にテーマにこだわることはない。

・ 5つの重点テーマについては、このままで良いということで、ほぼ合意がとれたと考えられる。事務局で細部について、出た意見をもとにして調整を行ってほしい。

各重点テーマの領域横断的視点について

・ 「領域横断的な視点」とはどういうことか、確認したい。

⇒ 例えば「子育て」は一般的には「家庭環境」や「働きやすさ」といった面からの取り組みが必要とされているが、それだけではなく保健・医療・教育などそれ以外の対応も求められる。各重点テーマは1つの視点からでは問題を解決することができない。いろいろな視点から横断的・相互連携の対応が必要ということ。

・ 「子育て」の重点テーマの中には「非行」の問題も入っているのか。家庭での教育も大事な問題である。

⇒ 「青少年の健全育成」の中で、含めて考えている。具体的には重点事業に記載している「やまびこ電話相談」などがその例である。

・ 「子育て」には「社会環境」という切り口もある。青少年の健全育成などは、この視点で取上げたらどうか。

・ 「低炭素」では、「社会基盤の整備」として交通渋滞の視点が入っていない。具体的には道路整備などが取組みの対象になるはず。また「子どもへの教育」という視点も必要だろう。

・ 「安全安心」や「産業」でも「社会基盤」という切り口が考えられる。

・ これまでは「教育」「環境」など、独立した分野ごとに取組みが決まっていた。だから「教育だ」「環境だ」という議論になりがちであったが、そうではなく、教育の中でも環境教育という分野もあり、両者を関係付けることもできる。担当課ごとにやっていたのを領域横断的に考えていけば良いのでは。

・ 例えば、「高齢者が元気なまちづくり」の切り口で「介護」と「健康」が別の枠(切り口)となっているが、本来分けられるものではない。分けることで利用者にも不便になり、またコストも余分にかかってしまう。どうやって連携させていくかを施策として入れていくべき。

・ 「生きがい就労」関係の事業に携わっているが、その実施のために福祉部門だけでなく、農政や商工部門など、さまざまな担当課と関わっている。事業についても、担当課で分けるのではなく、連携していく手法を編み出していくことが大事である。

・ 市民は、ごく普通に領域横断的な意識を持っている。確かに組織の中で、どこがやるのか、主体となる担当課の区分が必要なのだろうが、施策に落としたときに横の関係で、どう連携していけるかが重要である。

・ 行政側の都合ではなく、何が市民のためになるのかという考え方で取組んでほしい。

・ 企業ではソリューション化が進んでいる。病院では全体がわかる人を配置した総合窓口を設けて、そこを通じて適切な診療科へ振り分けている。大学でも領域横断的な学部がつくられている。問題解決型の組織が求められている。

・ 極端に言うと、市の組織を今回掲げた5つの重点テーマの部署に組み替え、それぞれにそれぞれのテーマに関係する担当者を集める、そうした考え方が求められる。

・ 時代が変わってきている。行政も従来の担当セクションごとの区分けでは解決できないことも起きてきている。対応が必要。

・ 領域横断的な取組みを行う主体はだれか。行政が指導していくものだと考えるが、その仕組みを作りあげていくことができるか。

・ 領域横断的な取組みは市民が主体となるべき。

・ 市民が市に「こうしてほしい」と要望するのに対して、市は「こういう理由で難しい」と回答するのでは、互いの立場で言い合っているだけ。両者が一緒になって「できる」ようにしていくという姿勢を持っていくことが市民協働。

・ 目標達成のために先導して行く主体は、そのケースにもよる。市の場合もあるし、NPOの場合もあるし、民間企業の場合もある。ただしその主体に皆が協力していくことが重要である。

・ 市に求められている役割は、必ずしも資金的な支援だけではなく、それ以外のことも多い。例えば市内の休耕地を農園化する取組みにおいては、土地の借り上げについて地主との間に入って交渉を行うなど、調整役としての機能が求められる。こうした機能は市役所にしかできないもの。各主体がそれぞれの役割を果たしていけば、その取組みはうまくいくはず。

・ フットパス(歩行者用の小道)についても、農政課、商工振興課、公園緑政課など関係する部署が、それぞれ別々の視点で似た取組みを行っていたが、一緒に取り組むことで話が進んだ。

・ このように、類似の取組みをつなぎ合わせることができるファシリテーター的な行政マンの育成が急務である。こうしたニーズに応えられる人づくりが、今後5年間でまず行うべきことだと考える。

・ 何か新しい取り組みや、既存のルールの変更、廃止を行おうとすると、いろいろな場面で得をする人と損をする人が出てくる。その間に入って解決できるコーディネーター、先ほど出た言葉ではファシリテーターのような人が必要。ただし、その養成には一定の訓練が必要である。

・ 行政マンもそうだが、そうしたことを好意でやってくれる市民ボランティアの育成を進めていくべき。

・ 市民活動を行ってきた立場からすると、市民協働は当たり前で、領域横断の考え方も当たり前だが、これを全市的に広げていく必要があるといえる。

・ 前回の分科会で章と節の内容についてもう少し把握できていれば、各分野の実態がわかり、本日もそれをもとに議論ができたと思う。狭い認識のもとで5つのテーマを検討しているという気がする。

領域横断的視点から見た優先順位について

・ それぞれの切り口は分野が異なるので、優先順位をつけるのは無理。財政の制限もあるし、検討するのはナンセンスである。

・ そういうことは事業仕分けなどの手法で決めていくべきことである。

⇒ 分野ごとの「教育か医療か」といった意見ではなく、優先順位を選択する際の視点について意見をいただきたい。

・ 事業仕分けという市にとっての一大イベントが延べ6日間行われたが、その場で「仕分けの結果が後期基本計画に反映される」と明言された。多くの価値がある意見が出ているが、この審議会でもその結果を提示して、委員が情報を共有していくべきではないか。

⇒ 事業仕分けの結果は、速報としてはまとめてあるが、内容の精査やコメントなども必要。分析も行い、その結果を次回の全体会で提示したい。

・ 行政改革推進委員会での議論もあるだろうが、参考になる点も多いはず。次回まで公表しないということでなく、できるだけ早く提示してほしい。

・ 優先すべきものとして、項目として重要なものと予算をつけてもやるべきものに分けて考えていくべき。

・ 「優先順位」については「財政負担が伴うもの」と「財政負担が必要ないもの」の両方がある。私が考える優先度が高いものは、例えば「バス路線をどう組み替えるべきか」など、「財政負担が必要ないもの」がほとんど。

・ 今日優先順位を議論するとは想定していなかった。もう少しつめてから考えていく必要がある。

・ いろいろな話を把握した上で、どれを優先すべきか考えていったほうが良い。この問題はもう少し時間をかけて検討していくべき。

・ 優先順位については、今後も議論を続けていきたい。

・ 優先すべきものは「ムダを抑えられるもの」と「市の収入を増やせるもの」。これが全て。

・ 予算を減らすと事業が減るということではなく、「こうした事業をやれば財政に負担をかけなくても大きな効果が期待できる」という発想が重要である。

・ 同時に領域横断を進めるためにファシリテーターを養成していくべき。これにはそれほど費用はかからないはずである。

・ 総論の基本方針に「市民と目標を共有できる計画」とあるが、ここで掲げた5つの重点テーマはわかりやすい。「これをやっていく」と市民が容易に納得できる、まさに「市民と共有できる目標」だといえる。

・ 限られた財政の中でも、夢を共有する計画にしていきたい。

・ 市民協働は言うは易いが、実際には難しいもの。

・ 重点事業に担当課が記載されているが、その事業に近いことは他の課でも行われているケースも多いはず。市の職員もその事業に関連する取組みを他のどの部署で行われているか、アンテナを高くして情報を収集することなども行ってほしい。

・ 今後の審議会で優先順位を検討する際に、これまでの事業の積み残しや進捗状況を全てゼロにして考えていくのか。方針を示してほしい。

・ 限られた審議会の時間で、個々の事業について議論していくことはできない。個別事業ではなく大きな方向性について議論していきたい。

6 傍聴

(1) 傍聴者
   8人

(2) 傍聴の状況
   傍聴要領に反する行為は見受けられなかった。