柏市総合計画審議会 産業・都市基盤分野分科会会議録
1 開催日時
平成22年8月3日(火曜日)午後2時~午後4時
2 開催場所
柏市役所第2庁舎5階 第5・第6委員会室
3 出席者
(1) 委員
今津委員、岡本委員、落合委員(座長)、綱野委員、寺嶋委員、花島委員、宮崎委員、山田委員(8人)
(2) 市・事務局
石黒副市長、猿渡企画部長、吉川企画調整課長、企画調整課;中山副参事、稲荷田主幹、関本主査及び黒澤主任
4 議題等
(1) 柏市の現状と課題の整理
(2) 今後優先的に取り組むべき重点項目について
(3) 後期基本計画の構成と基本施策について
5 議事(要旨)
(1) 事務局から資料に基づき、議題(1)「柏市の現状と課題の整理」、議題(2)「今後重点的に取り組むべき重点項目」について説明を行った後、質疑、意見交換を行った。主な内容は次のとおり。
【質疑】
・ 市民意識調査について回答数の記載がないが、結果は信頼性があるものなのか。また地域による偏りを考慮した調査となっているのか。
→ 市民40万人に対して回収数は2、164だが、統計的に見て誤差率は微少であり、市民の意向は十分に反映されているものと考られる。また、調査の対象は無作為抽出した市民。市内各地域に満遍なく配布しており、地域による偏りはない。
・ 人口推計について、2つのケースを提示しているが、どのような算出を行ったのか。また、2つのケースのうち、どちらを採用する予定なのか。あるいは幅を持たせて考えるということか。
→ 北部地区の動向に不確定な要素が多いため、県内の新駅周辺の土地区画整理事業における人口の貼り付き度合いを参考として2ケースを想定した。どちらが妥当かについては、議論していただきたいと考えている。
・ 11の重点項目を抽出するにあたり、柏市の強みを提示し、これを活かすという考え方を示している。強みを活かすのも大事だが、弱みを強みに変えられればもっと良い。弱みについてはどう整理してあるのか。
→ 市民の意向からでは、意識調査で不満度が高く重要との認識が高い項目が弱みだと考えられる。またデータからは、近隣市との相対的な比較で劣っているものが弱みだといえる。
・ 前回の計画策定時期は旧沼南町と合併した頃で、沼南地域に関する考え方を計画に盛り込んでいった。今回もそうした視点は入れてほしい。また、今後、沼南地域、更に我孫子市も含めて、地域でまとまって施策を展開していくということも考えてよいのではないか。
→ 前回の中期計画の策定では、旧沼南町の良さを活かそうとする視点を重視した。また、市として効果的なことは地域で連携してやっていこうという考え方は引き続きもっている。
・ マトリックスで産業関連の項目が重視されていない傾向にあることについて、どう考えるか。
→ 市民意識調査の結果であり「生活者としての市民の目線」が強く出ているということだろう。都内に勤務するサラリーマンも多く、こうした傾向が出てしまうということ。
重視されている項目は日常生活に関わるものが多い。重点項目を判断するための材料は、この結果だけではない。
・ 「税収増のために企業誘致を」という考え方はそのとおりだが、立地している企業の本社が柏市にないと効果は少ない。雇用とまちの活性化という面ではプラスであることは間違いないが。
→ 企業を誘致していく地域としては、北部地区と旧沼南町センター地区を想定している。北部地区は研究所などを誘致していきたいと考えている。
・ 産業振興によって税収を上げていく具体的な手法について、ずっと考えてきているが、現実的な良いアイデアはなかなか思い浮かばない。
→ 税収については、法人税もあるが、企業が立地すると固定資産税もはいってくる。両方の税の特性などをみていくなかで企業誘致を推進していきたい。
・農業は柏市の特徴的な産業。重視していくべき。
→ 手賀沼周辺地区では農業を中心とする拠点を整備し、集客を図ろうとするアグリビジネスパーク構想がある。運営は、民間が主体となって行っていき、行政は側面的な支援を行うという形を想定している。農商工連携も図っていきたい。
・ 企業誘致のためには税制に手をつける必要もあるかもしれない。優遇策がないと、なかなか企業は立地してくれない。
→ 事業所税については中核市市長会議でも話題になっている。優遇策のあり方については議論が必要。
・ 道路など都市基盤の整備には多額の資金が必要になる。いかにして長持ちさせるかという視点が大事。計画している道路新設についての再検討も必要だろう。
→ 道路整備の考え方や都市計画道路の建設については、現在の計画のままでよいのかを検討中である。場合によっては方針転換も必要だと考えられる。
【委員からの意見】
基礎調査結果報告書について
・ 市民意識調査は生活者の視点のもの。行政として、この結果だけにとらわれる必要はない。
・ 人口推計では、柏市の人口は32年か37年をピークに減少することになっている。しかし柏は人が集まるまち、住んでみたいまちであるはず。この時点で減少に転じることは考えにくい。
産業・都市基盤について
・ 税収増を意図していくという方針があるなかで、産業をどう位置づけていくかは大きなポイント。対応策の1つの柱として、産業振興を前面に打ち出していってよいのではないか。
・ 市民意識調査結果の満足度と重要度のマトリックス図をみると、本分科会の担当する産業関係の項目は「雇用」以外は満足度や重要度が低いという結果になっている。他の分野との相対的な比較ということになるのだろうが、生活は仕事があって成り立つもの。経済活動が活性化すれば税収もあがる。産業関係重視の姿勢を打ち出し、重点項目に入れていくべきと考える。
・ 柏の農業については、農家の高齢化が進んでおり、離農する農家も少なくない。担い手は間違いなく減っている。
・ 埼玉県上尾市で、定年退職者の働き場として耕作地を斡旋し、地域の農業が活性化しているという事例があるとのこと。こうした取組みを進めていければと思う。
・ 退職した方々が農業に取組み、そのアウトプットをレストランで提供するという形式で消費に結び付けているという事例もある。柏市でもこうした取組みがでてくればと期待している。
企業の誘致について
・ 印西市は地盤が強固で地震に強いため、金融機関のシステムセンター等が多く立地していると聞いた。そうすると、建物分に加え償却資産分の固定資産税も入ってくる。こうした強みを活かした立地促進ができればよい。
・ 時限を設けた固定資産税の減額といった制度も誘致に効果があるかもしれない。
・ 柏インターの近隣は多くの研究開発施設も集積しており、市としてもっと強く企業誘致を図っていくべきだと考える。外に向けたPR、宣伝が足りないのではないかという気がする。
・ トップダウンで「事業所税を徴収しない。その代わりに住民税を高くする」という方針を打ち出すということも考えられる。何か特徴があることをやっている自治体は強い。
・ 企業を誘致しようとする際に、道路の渋滞も大きな問題だといえる。
・ 道路の渋滞は、現状でも産業活動を阻害している。道路インフラの整備が必要。
その他
・ 柏市には調整区域が多い。これは緑の保全という意味では良いこと。ただその一方で、これを工夫して、うまく活用していくことも可能だと考えられる。
・ 道路などインフラ整備は5年では実現できないものも多く、長期で考えるべき。税収増への取組みについても同様である。
・ 計画づくりにおいて「長期」をどう考えるかが問題。今回の後期基本計画の期間である5年だけでなく、その後の15年も見据えて議論すべき。現状ではその視点が欠けている気がする。
・ インフラに関してはつくるだけでなく「維持する」ことも今後の大きな問題となる。市道や橋が何年後かには使えなくなる。それがわからないと優先順位について検討のしようがない。限られた予算の中で優先順位をつけるとはそういうこと。
・ 自治体は特にハード面に関しては、昔は国の支援があるからやろうという意識だった。それが地方分権になり現実に財政が厳しい状況になってきている。
・ 今後は一つ一つのことについて、きめ細かく考えていかないと成果が出ない。どのようにすれば成果が出るのか、そうした議論が必要である。
・ 産業・都市基盤分野の事業は、5年で成果を出すのが難しいことが多い。「その先も考えたうえでのこの5年の計画づくり」という視点で考えていくべきである。優先順位の設定でもそうした考え方が必要。
・ 前期・中期・後期と計画づくりに関わっているが、前期計画を策定した10年前にはこれほど世の中が変わるとは思っていなかった。危機感は本当に希薄だった。この10年で環境はドラスティックに変わっている。予算の使い方について真剣に見直していかないといけない。
・ 現在の状況から考えると、北部地区が良いまちになることは間違いないだろう。ただ、行政がどのような誘導をしていくかについては注意も必要。新産業を誘致していこうとしてもそこに群がってくる企業は資金繰りが潤沢でないというケースもある。産学官の連携といっても、産だけレベルが極端に低いということもある。ビジョンを語るのはいくらでもできるが、それを具体化させていくことは本当に難しいもの。
・ 中央地区の柏駅前は全国で先駆けて大胆な再開発を行ったわけだが、現在はそのストックで生き延びている。近年広域型の大規模商業施設ができてきた影響により、徐々に厳しい状況になってきている。
・ 仮に将来的にコンパクト化が求められるという判断があれば、それ見越して柏駅前の商業施設を低層なものにしていく、商業施設を減らして住宅に切り替えていく、いう方向性もあるのかもしれない。
・ 今後10年、15年先を考えての誘導、時代の流れにあった都市再生が求められていくのかもしれない。
・ 税収を増やしていくという点で、どういう資産をどのように活用していくか、一番良い方法を探していく必要がある。「全体最適」の考え方を取り入れてほしい。
・ 部門別計画の資料があるが、それぞれの計画の相互の関係についても整理しておいて欲しい。
・ 総合計画のどの部分が、個別計画のどれに掲載されているのか、例えば番号などで示されていればわかりやすいだろう。
(2) 事務局から資料に基づき、議題(3)「後期基本計画の構成と基本施策について」説明を行った後、意見交換を行った。主な内容は次のとおり
・ 「見える化」はある程度できている。今回の総合計画では「見せる化」を十分に意識してほしい。
・ 30歳代にとっては「子育て」は大事なテーマ。重点項目に組み入れてほしい。
・ 柏市は歴史的に地震に強いまち。地震が来てもたぶん小学校などは大丈夫だと思う。耐震補強は後回しにしても良いという考え方もある。
・ いろいろな話題が出たが、各委員からはまだ意見もあると思う。配布された資料を詳しくみて、次回以降の会で更に議論をしていきたい。また、重点項目がこの項目でよいのかについて、もう少し議論をしていく必要があるのかもしれない。
→ 今後の分科会の開催については、並行して開催している他の分科会の進捗状況を確認しながら、どのように進めていくべきか検討していきたい。
6 傍聴
傍聴者 5人
7 次回(分科会)開催日時
(1) 日時 平成22年8月31日(金曜日)午前10時から
(2) 会場 柏市役所第二庁舎 第5・第6委員会室