柏市総合計画審議会 健康・医療・福祉分野分科会会議録

1 開催日時

平成22年8月3日(火曜日)午前10時~正午

2 開催場所

柏市役所第2庁舎5階 第5・第6委員会室

3 出席者

(1) 委員

秋山委員(座長)、熊谷委員、沢田委員、綱野委員、山田委員(5人)

(2) 市・事務局

石黒副市長、猿渡企画部長、吉川企画調整課長、企画調整課;中山副参事、稲荷田主幹、関本主査及び黒澤主任

4 議題等

(1) 柏市の現状と課題の整理
(2) 今後優先的に取り組むべき重点項目について
(3) 後期基本計画の構成と基本施策について

5 議事(要旨)

(1) 事務局から資料に基づき、議題(1)「柏市の現状と課題の整理」、議題(2)「今後重点的に取り組むべき重点項目」について説明を行った後、質疑、意見交換を行った。主な内容は次のとおり。

【質疑】

・ 柏市では子どもの医療、救急医療の状況はどうか。私が住んでいるまちでは危機的状況で困っている。

→ 慈恵医科大学柏病院で2次医療の対応を行っている。柏市立病院でも、小児科医の確保がやっとできた。

・ 柏市の待機児童の状況はどうか。

→ 今年度定員数300人超の民間施設を整備する予定で、ある程度の解消が見込まれる。ただ、待機児童分を整備すれば待機児童がなくなるわけではない。継続的に環境の整備をしていく必要がある。

・ 外国人の子供への対応としては、医療情報や学校情報などのコーナーを設け、アドバイスが受けられるようにするべきだと考えるがどうか。

→ 外国人への情報提供ということでは、研究者や留学生を対象としたコーナーはある。フェイストゥーフェイスで対応していくよう心がけていきたい。

【委員からの意見】

医療分野について

・ 医療機関との連携は高齢者にとって重要である。今までは、一度入院すると家に帰って来られないシステムになっていたが、それを断ち切るためには、在宅サービスの充実及び医療機関との連携を進めていく必要がある。

・ 高齢者、特に後期高齢者に対しては、治すための医療でなく、生活を支えるための医療(ケア)が重要である。

・ 病院に入院すると、治療病棟から介護病棟に移るが、3~6か月で強制退院させられる。制度に問題がある。

・ 老健施設でボランティアをしているが、入居限度が6ヶ月であるのに1~2年入居している人もおり、次の人が入れないという事例もある。

・ 制度的には療養型を廃止して在宅を進める方向であり、これは正しいあり方だと考えられる。ただ現状では、まだ過渡期にあるといえる。

・ 基本的に在宅で医療が受けられるようにする。風邪でも大病院へいくという市民の意識を変えていく必要がある。

・ 小児科医が少ないという問題の根底には医師の過労がある。症状が軽くてもすぐに救急で病院に行くことで、小児科医が過度の業務を強いられている。親の意識も問題。

・ 救急診療が必要な場合もあるが、不要な場合もあることを理解する必要がある。

・ 柏市の場合、1・2・3次医療は揃っているといえる。

・ 外国人への医療の対応に問題がある。せめて英語の話せる先生がどこにいるのかという情報は提供するべき。

健康・福祉分野について

・ 在宅を進めるためには、在宅サービスの充実だけでなく、住宅のバリアフリー化も必要。家がバリアフリーになっていないと、家に帰ることができない。

・ 子どもが親の面倒をみるという考え方も、子どもの減少と介護の時間の長さにより限界に来ているといえる。

・ 今後は、80~90歳の一人暮らしも増える。高齢者が一人で暮らせる環境の準備を進めていく必要がある。

・ 子どもが面倒をみられればいいが、住宅事情が悪く(狭く)一緒に住めない。面倒をみることができないというケースが多くなってきている。

・ 高齢者がずっと元気でいてくれればよいが、周囲で気がついたときは、既に気力が落ちていて、介護予防のサロンに行く元気がなくなっているケースもある。もっと前の段階からの介護予防が大事。70歳までの対応をつくっていく。予防が最も大事になる。

・ 重点項目の名称が「高齢者のやすらぎ」となっているが、高齢者は単に支えられるものではない。「高齢者の出番」という視点も必要。活躍の場を望んでいる人も多い。修正を検討してもらいたい。

・ 今後は75歳以上の高齢者が増え、4割が一人暮らしとなり、認知症の方も増えていく。特に独居老人対策が必要となってくる。

・ 高齢者を孤独にさせない仕掛けができないか。孤立し、会話がないと、自分の存在意義が無くなる。高齢者を孤独にさせないように早めに対応していくべき。

・ 保育料は都内が安い。荒川区では月一人1万~1.5万円。3人いても月3~4万円。区の補助金が入っているときいている。

・ 柏市の保育園は老朽化している。財政の悪化により維持経費がきつい状況にある。特殊児童や資格教員の問題もある。国は幼保一元化を進めているが、現場で支えているのは、市町村である。

・ 子どもがいる母親が働こうとすると、子どもが病気になったときの対応施設や学童保育がなければ難しい。学童保育も月曜から金曜までないと働けない。そこまでそろっていないと安心して働くことはできない。

市民協働・市民参加について

・ 基本は「住んでいる場所で必要に応じて介護が受けられる体制を整備すること」。それに加えて、「お互い様の地域意識、助け合い」も必要である。

・ 小児科の負担を減らすために(小児科が地域から撤退していかないようにするために)、お母さんたちがサークルをつくって、おばあちゃんの知恵も入れて賢くなり、安易に医者にかからないようにしようとしている事例もある。

・ 地域ぐるみという言葉が叫ばれているが、実際に子育てや高齢者対策を地域で行う具体策はなかなか難しい。ケースによって様々である。

・ こんぶくろ池の整備は、住民参加で地域に広がりうまくいっている事例といえる。

・ 子育て相談業務も、シリアスな状態になってからではなく、その手前の段階で先輩ママを1週間派遣して相談に応じるなど、緩やかな関係からはじめたらよいのではないか。

・ 「一人一人が、1か月のうち2時間だけでもまちのために働く」ということをやったらいいのではないか。どんなに忙しい人でも月に2時間なら時間はとれるはず。例えば登校時に声かけをするだけでも良い。

・ そういう取組みは小学生の段階から教育すると良い。それが親や祖父母に伝わる。そこから良い芽が出てくる。

・ そのためにはコーディネーターが必要である。適任者には才能が求められるが、そういう能力を持っている人はまちのなかにいるはず。才能がある人には準公務員的に働いてもらえばよい。

・ 職員からもそういう人材が出てこないといけないだろう。市民からも出てきて、一緒になって進めていくべき。市民と行政との協働といいながら、十分にできていない。

・ 市民にはやりたいと思っているが何をしたらよいかがわからないという人がたくさんいるはず。きっかけづくりが大切。

・ まず市の職員が気づいて、変わることが大事。それを市民にみえる形にすると、市民が市は変わったと認識する。行政の場合、業務が変わると窓口が替わり、人も変わってしまう。協働の専門部署が必要。そこでいつも同じ人が対応してくれれば、聞きに行きやすいし、話もしやすい。相談に乗ってくれる。見えてくる。さらに、そういう取組を広げて部署をこえてやるとよい。

・ 柏はボランティアが盛んだと言われているが、ボランティアに出てくる人は限られている。能力がある人の大部分は家の中におり、何もしていない。多くの人が関われるように仕向けていくことが大切。

・ 現在居住しているまちの市役所に「私に何かできることはないか?」と聞きにいったが「ない」と回答された。行政のほうで、市民ができそうなまちづくりのメニューを用意すれば、市民も応じやすいのではないか。

・ 時間がない人は、お金で社会に貢献するという方法があってもよい。1万円でも2万円でも良いので、誰でも気軽にまちをよくすることに貢献できる仕組みを作ったらどうか。市民がどんな形でもいいので、まちづくりに関わっていけるようにしていくべき。

・ 一人の市民が過去にどんな経験を積んできたかという情報が、その経験を必要としている人に伝わっていない。

・ 市や第三者が仲介して、必要な情報を必要なところに提供していく仕組みが必要。

・ NPOなどと一緒にやっていけばうまくいくのではないか。

・ 情報が必要な先にうまく伝わるかということは難しいこと。生涯学習ボランティアとして10年登録しているが、一度もお呼びがかからない。

・ ボランティアの募集をボランティアセンターに掲示しているが応募が全くない。

・ 市民協働の手法として、団塊の世代をうまく活用していければと考える。

分野横断的取り組みについて

・ 健康で長生きするにはどうしたらよいか。弱ったときへの対応として医療と福祉でのカバーが必要。

・ 元気な老人と子育て世代をうまく交流させたい。それぞれ別のライフスタイルを確立してしまっているので、簡単ではないとは思うが、時代が変わっても子育ての基本は変わらないはずである。ライフスタイルは変わっていても、ノウハウをいかすことはできる。うまく世代をつなぐ知恵が必要である。

その他

・ 柏市は出生率が低い。出生数が少なくても、人口流入があるので人口は増えているが。安心して子どもを育てられる体制をつくり、自助、共助、公助で体制をつくっていく必要がある。あわせて所得格差の問題も考えていく必要がある。

・ 住居関係では、豊四季団地のような5階建ての建物は長寿化社会には無理がある。ライフステージに合わせた住宅を用意する必要がある。「アパートから一戸建てへ」という流れは、人生が50年から60年の時代の話。人生が90年の時代は、その後の「二人暮らしに戻ったときの少し狭い住宅」「一人が亡くなったときの一人暮らしの住宅」も必要。高齢者専用賃貸住宅もよい。1階に食堂があり、介護も来てくれる。みんなで住む安心感もある。そういう施設が同じまちにあることで、なじんだまちで一生生活ができる。高齢になっても移りたくない。そういうまちづくりが必要となる。

・ 公営住宅では、1階は若い人に貸さず高齢者優先にして、高齢者で回していったらどうか。

・ 子ども保険をつくったらと考えている。やむを得ず子供をもてない人も含めて、(介護保険のように)社会保障制度としてみんなで子どもを育てていこうという考え方。

・ 柏市は流入人口が多いが、転入してきたときに地域の情報がどれだけ提供されているか疑問である。必要な情報をきちんと出すようにすべき。特に外国人には情報が届いていない。

・ 外国人の子どもの学校への転入の際は、初期対応が重要である。単純に年齢だけで学年を決めてしまうと、授業についていけなくて、ドロップアウトしてしまう原因となる。学力や日本語力に併せて学年を決めることが大切。

・ 小学校高学年は福祉施設で体験学習をしている。そうすると、自分に気づくきっかけとなる。手紙や文通をはじめたりして優しい子に育つ。そういう場面づくりが重要である。

 

(2) 事務局から資料に基づき、議題(3)「後期基本計画の構成と基本施策について」説明を行った後、意見交換を行った。主な内容は次のとおり。

 ・ 中期計画の評価を後期計画にどう結び付けていくかが問題である。例えば各基本施策の「課題」の部分で触れるなど、総合計画書のどこかで中期計画の評価を掲示する必要がある。

・ 子育ては大事な項目だが、「子育て応援」だと限られた部分というイメージがする。母親への対応など、もう少し広い範囲をカバーできる名称を検討してほしい。

 

6 傍聴

 傍聴者 1名

7 次回(分科会)開催日時

(1) 日時  平成22年8月31日(金曜日)午前10時から

(2) 会場  柏市役所第二庁舎 第5・第6委員会室