令和元年度柏市教育福祉会館の耐震改修工事後の活用に関する官民協働検討委員会第2回グループワーク(公民館分野)会議録
1 開催日時
令和元年7月3日(水曜日)午前10時から正午まで
2 開催場所
柏市役所 分室1 第1会議室
3 出席者
- 公民館分野グループワークメンバー15人
相場正則、秋田正英、浅田朱美、荒木信義、海老原美惠子、大塚咲子、大森かなえ、神田玲子、木村和枝、粉川ひとみ、鈴木典子、根本智博、萠抜博孝、藤原昌樹、牧野篤(敬称略)
- 事務局13人
4 議題
- 視察について
- グループワークの進め方について
- テーマ別意見出し(中間支援機能、情報発信機能、総合受付機能、オープンスペース)
- 公民館のあり方について(まとめ)
5 議題(要旨)
午前10時、定刻になり開会。
1.視察について
和島中央公民館主査により視察先3箇所について概略を報告した。
2.グループワークの進め方について
北村企画部理事からグループワークの進め方について説明した。
3.テーマ別意見出し
テーマ別に4グループに分かれ、ワールドカフェ形式で意見出しを行った。
以下は各グループの意見を集約したもの。
Aグループ 「中間支援機能」
団体と団体を結びつける
- 活動団体(要望)と活動団体(支援)をつなぐ。
(意見)
- 公民館に来ると、個々の団体がどういうことを知りたいか、個々の団体がどういうことをやっているかということがお互いに分かるような、結びつける組織・機能、そういうことが一番大事ではないか。
生涯学習相談
- 生涯学習相談室を設置する。
- 生涯学習に関するアドバイザーを配置する。
(意見)
- 団体を支援するためには、公民館に学習相談室のようなものがあって、ここに来るといろいろなことが相談できるとよい。そのためにも、この学習相談室にはアドバイザーが必要。
人材育成
- 生涯学習のアドバイザーを養成する(活動団体の支援)。
- 地域アドバイザーを養成する(地域課題の支援)。
- 地域活動リーダーを養成する(地域課題の支援)。
- 地域活動支援者を養成する(地域課題の支援)。
(意見)
- 生涯学習専門アドバイザーの人手が足りない。人材育成が求められている。
- 市民講座の中でファシリーテーター能力とかプレゼン能力を養うような、人材の育成講座を展開していってほしい。
- 次世代のリーダーを育成するためには、保育付きの講座も考える。
地域と人材を結ぶ
- 市民講座修了者の活動場所を確保する(人材の活用)。
(意見)
- 養成されたリーダーや活躍したい人たちの活躍できる場所づくり
- 市民講座の卒業生が柏の事業を考えるときに、自分たちの課題として一緒にその課題を話し合う、企画から参画していって、自分たちのこととして事業を展開していくとよい。
生涯学習情報の収集と発信
- 生涯学習情報を幅広く収集し、活用し易いよう管理し、確実に届くよう発信する仕組みを構築する。
(意見)
- 今ある情報についても、市民に届くような仕組みづくりが大事
Bグループ 「情報発信機能」
必要な情報とは
- 様々なかしわの魅力(案内情報)。
- 常に新鮮な情報(内容情報)。
- 一般には入手し難い専門的な情報(内容情報)。
- 講師、指導者などの人材情報。
- 活動団体の情報(団体情報)。
- 教育福祉会館の施設案内など(施設情報)。
(意見)
- どういう情報が必要かと考えたときに、まずは信頼性の高い情報であることが重要。内容としては、案内情報、内容情報、人材情報、団体情報、施設情報に集約できると思われる。
- 情報の収集と発信ということはこれからの公民館の根幹をなす部分ではないか。収集にあたっては、公民館の役割として信頼性のある情報をきちんと検証し、発信にあたっては、それらの情報を市民の学習や活動に役立ててもらえるように工夫することが必要であろう。
どうしたらほしい人のもとへ届けられるか
- 広報紙に生涯学習情報に専用スペース(紙面)を確保する。
- 活動団体が交流する場を設ける。
- 様々なイベント会場(人が集まるところ)において関連する情報を発信する。
- 発信後の情報の活用については、公民館が支援する。
(意見)
- 「42万市民が知っているか」と問われたとき、答えはノーであろう。必要な情報が点在している現状がある。広報紙に専用ページ(紙面)を設けてもらってはどうか。
- 公民館で活動している団体や地域で活動している団体が交流する場を設け、実際に顔が見える形での情報交換ができたらよい。そういったものを公民館で働きかけをして設けることも必要ではないか。
- チラシを館内に配架するだけでなく、人が集まるところで活動情報を紹介していくことも必要ではないか。
- 発信後の情報がどう活用されたのかということを、公民館は把握しておかなければいけない。また、情報がただ単に沢山あるというだけでなく、情報同士を調整してあげるという、そういう機能も公民館の中に必要ではないか。
Cグループ 「総合受付機能」
明るい雰囲気
- 照明や配色、接遇により明るい雰囲気にする。
- オープンカウンターにより話しかけ易い雰囲気にする。
(意見)
- 一番大事なのは、明るい雰囲気であろうということ。今は全体が暗いので、明るくきれいに見えるように。
- 壁やガラス戸のないオープンカウンターにすることによって、話しかけ易い雰囲気、気軽に相談ができる雰囲気を作ることが大事。
コンシェルジュの配置
- ボランティア(活動団体を含む)により来館者のリクエストに応えられるようにする。
- ボランティアの育成を行う。
- 中央公民館に集約された情報全てをデジタルサイネージ等で一度に表示されても分かりづらいので、表示方法の工夫や案内をする。
(意見)
- 大事なのがコンシェルジュです。例えば、職員とか委託するという方法もあるが、例えばボランティアの人(団体)にお願いするという方法もあるだろう。
- ただし、ボランティアの方もいきなり全てを任されても大変なので、勉強会を開いたり、実践に近い練習をしたり、職員が寄り添った形で始めていって、だんだんと慣らしていくことが大事。
相談機能の付加
- 生涯学習活動に関する相談に乗れる体制を整備する。
- 病院のような問診票を作成しておき、相談内容の明確化を図る。
(意見)
- 単に施設の予約ができるというだけでなくて、相談機能もあった方がよい。例えば、新たに団体を立ち上げたい、あるいは既存の団体に入ってみたいというのも、この総合受付に来れば、団体情報も集約されているので、団体につなぐことが可能となる。
予約システムの見直し
- 現行の予約期間を長期に見直す。
- 現行の優先団体の範囲を見直す。
(意見)
- 現行は2か月先の予約までしかできないので、それではイベントをやるのが難しい、連続講座を行うのが難しい。例えば6か月先まで予約ができるようになったらいい。ただし、どの団体でも6か月先まで予約ができるようになると、我れ先に予約を入れるようになるので、何らかのルールをつくることが必要。
団体による活動報告書の作成
- 各団体で活動報告書を作成し、長期予約を行える優先団体の判断基準とする。
- 活動報告書は、団体自身の活動実績を説明する際の資料となる。
- 活動報告書は、具体的な団体活動を紹介する資料となる。
- 活動報告書をインターネットで検索できるようにする。
(意見)
- 活動報告書を作ることによって、団体自身にとっても活動実績を説明する際の資料となるし、この団体は具体的にこういう活動をしているんですよという資料として提示することもできる。
- インターネットで検索可能にすることで、自身の団体で困ったことがあるときに、そこが得意な団体を探すことができれば、その団体に相談しやすくなるし、自分たちの活動もより良いものにしていくことができるのではないか。
館内案内
- 館内で行われているイベントや利用団体の活動案内をする。
(意見)
- 居場所という視点からすると、とりあえず総合受付に行けば何となく1日が過ごせる場所になるとよい。例えば、子供向けのイベントはここでやっていますよ、学習支援の団体がどこで活動していますよとか、囲碁将棋の団体が活動していて子供ももちろん参加できますよというのが、この総合受付に来れば分かって、いろんな方がふらっと遊びに来ても1日過ごせるような場所、雰囲気になればいい。
Dグループ 「オープンスペース」
オープンスペースの活用
- 市民に対して、月ごとの催し物一覧を作成して、事前に配布する。
- 来館者に対して、デジタル掲示板により利用団体の活動内容をお知らせする。
- イベントスペースとして、定期的に利用団体に開放する。
- 子育て支援の場として活用する。(2階の多目的スペースと調整)
- ネット環境を整備し、パソコンを使えるようにする。(常設も検討)
(意見)
- イベントとして利用する際には、予定されている催し物を、新聞折込みや広報、インターネットを使って事前に周知しておけば、公民館でこういうことをやるよということが事前にわかって参加しやすくなるのではないか。
- イベントスペースで月1回程度、利用団体に開放することで、その活動を兼ねて市民と一緒にイベントを行うことできるようになるのではないか。また、料理教室やフリーマーケットなどもできると思う。
- パレット柏のように、オープンスペースでロビーコンサートや活動団体の紹介(人形劇・太極拳など)を兼ねて、公演等を定期的に行っていくとよいと思う。
- 子育て支援の場として利用できればよい。親子のふれあい広場とかはぐはぐ広場、そういったものをこのオープンスペースの中でできるといい。2階にも多目的スペースという類似したものができるようなので、そことの関係をどうしていくのかが課題。
オープンスペースの運営
- 活動団体等を構成員とするオープンスペースの運営に関する協議会を組織する。
- 生涯学習アドバイザーのコーディネートにより、運営組織を支援する。
(意見)
- イベントにどう参加するかを決めるには、運営組織が必要。この運営組織には利用団体はもとより、近くの近隣センターや児童センターの人たち、またふるさと協議会など各種団体の方々に参加してもらい、オープンスペースやギャラリーの仕様、ルールを決めていければよい。
- 利用団体との交流や公的機関とのコラボ・交流も可能と思われるので、生涯学習専門アドバイザーがキーマンとなってくる。
- 公民館は市民活動の核、拠点、コアとなる部分。そういったものをイメージしながらギャラリーやイベントスペースを運営し、運営組織をしっかり組織していくことが必要。
ギャラリーの活用
- これまでの登録団体中心の利用条件を緩和する。
(意見)
- 自由度を増すことも必要ではないか。例えば、学校の絵を展示することができれば、家族で来る機会も作ることができる。そういった自由度を増すルール作りも必要。
- 展示スペースが狭くなったとしても、開放的で気軽に立ち寄れる方がよい。
施設の周知
- 小さい頃から教育福祉会館を知ってもらうため、小学校の校外学習に教育福祉会館を組み込んでもらう。
(意見)
- 広報ということになると思うが、学校の校外学習に組み込んでもらい、小さい頃から公民館を知ってもらうと、大人になってからもう一度公民館に行ってみたいな、そこで何かやってみたいな、という気持ちになるのではないか。
若者の利用促進
- 若者向けの利用時間帯を設ける。
- 若者のボランティアを募集する企画を検討する。
(意見)
- 若者の利用を図ることも必要で、どうしても勉強に使ってしまうということもあると思うが、時間帯を分けたり、若者にボランティアへ参加してもらったり、ボランティアや若者向けの情報を掲示するなど、利用を促進するということも必要。
教育福祉会館の差別化
- 教育と福祉が複合した機能を発揮することで差別化を図る。
(意見)
- 図書館やパレット柏との差別化について、公民館は公的なところでもあり、教育的なものや福祉的な機能を維持していくと思われるので、そういったことで差別化が図られていくと思う。
講堂の利用促進
- 稼働率が低い(特に平日)講堂の活用促進
(意見)
- 講堂での、市民向けのコンサートの企画や、利用団体や市民に、カラオケ・歌声喫茶などに開放してはどうか。
4.公民館のあり方について(まとめ)
牧野東京大学教授からグループワークについて感想(まとめ)を発表していただいた。
牧野東京大学教授の感想(まとめ)
四つのテーマについて議論しているのを聞いて、それぞれの事を「自分事」として受けとめられていると感じました。
大きなところから話を始めますが、国会で社会教育が議論されたのは、戦後70余年の中でたった2回しかありません。1回目は1959年に社会教育関係団体に公金支出、助成金などを支出できるようにしたときに、管理するのではないかという声が上がった。2回目は1990年、今の生涯学習振興法を制定するときに議論になった位で、ほとんど国会では議論されていません。
なぜか。社会教育は、基本的に住民が自由にやることであって、行政が手を出してはいけない、というふうに考えられていたからではないか。官僚から見るとあまり魅力がないので、騒いでも仕方が無いと思われていたのかもしれません。その意味では、(社会教育は)自由を基本に考えられている政策であり、施策であり、行政であるという一面があった。その際の自由とは何かというと、住民の方たちが自分たちでやっていくことであり、それは基本的に自治ということにも係ってくるし、一人ひとりが当事者性を持ってやっていかなければいけないということになるのだろうと。そういう意味では、(住民に)任せてある、また住民の方々に信頼を置いているので、行政があれこれ手を出さなくてもいいのではないかという考えがあった。また住民の方々が自分たちでやっていくものなのだという意識もあっただろうということなのですね。それが、気が付いてみるといつの間にか、行政にやってもらいたいですとか、要求をするということになってきてしまっている。そういう中で、教育福祉会館の使い方について議論が始まり、これをきっかけに、今日の議論のように、自分たちでやっていくのだという機運が高まっていくのは、とても良いことだと思います。
これから福祉部門とのすり合わせがあると思われますが、実は、社会教育はもう教育行政だけのものではなくなってきています。例えば、昨年の暮れに出された中央教育審議会の答申では、社会教育施設、公民館や博物館、図書館、美術館などは、社会教育的に使うことを前提で首長部局(一般行政)に移管してもよいという内容になっています。厚生労働省では、これからも続く高齢化社会の中で、地域共生社会づくりという言い方を始めており、総務省においても、地域運営組織という、住民の方々に地域を経営してもらおうという発想になってきています。
地域を住民自身が経営するということは一体どういうことかと考えていくと、学校的に勉強するのではなく、社会教育的に一緒に学んでいく、自分たちで自分たちの生活のことを考えて、自分たちの生活をもっと良くしていこうと、住民の方々が関わっていく。そうすることによって行政も変わっていく。そういうものが作れないかという議論になってきている。
そういう意味では、公民館(教育)と福祉が分かれていくというよりは、教育も福祉もある意味では一つのものなのだという考え方に近くなっていくではないか。その議論をしていたのが、全国社会福祉協議会で、従来「福祉教育」と言ってきたのが、最近はもうそういう言い方はやめて「社会教育」と言いたいと。彼らが言うには、今までは福祉というのは援助が必要な人であったり、弱い人たちや、貧困などの社会問題に対して何とかしなければいけないのでやってきたが、これからはむしろそういうことが起こらないように社会を作っていかなければいけないというふうに考え方を変えてきたと、私たちがやろうとしているのは、福祉を通した社会教育である、と定義を変えたいと言い始めています。そうなると、福祉の方も、やってもらうのではなくて、自分たちでやりながら問題の起こらない社会を作っていきましょうというふうに転換が始まっていく。その意味では、みんなが当事者となっていく。当然生活の主体者であるので、生活の主体であるということは、社会の当事者になっていくことで、在り方を変えていく他ないのではないかと思っています。
先ほど北村理事が「公民館に指摘のあった内容は、市役所そのものへの指摘と言い替えても通じる」という話がありましたが、自分たちの「まち」は、自分たちで作っていく、自分たちでみんなが良い生活ができるように支え合っていくというふうに変わっていく。その時に、お互いに情報を発信したり受け止めたり、または交換したりしながら、どういう「まち」がいいのかということを常に議論していきながら、自分たちで作っていくという方向になっていくと思います。そのきっかけが、今回のこの官民協働の議論であったように思います。
これまで皆さんが話してきたのは機能面のことだと思いますが、そこから今度は自分たちの活動の話に転換していくと、公民館とは建物のことではなくて、どちらかというと活動であったり、自分たちの生活であったりというふうに話を転換できるのではないか。そうなると今後はこの中央館の在り方だけではなく、近隣センターはとか、もっと言えば、地域の、例えば空き家をどう活用するかとか、様々な話が出来るようになっていくのではないでしょうか。
そうやって柏市で一つの形ができてくると、全国にも訴えることができ、いい形でこれが進むのではないかと思いながら話を伺っていました。
今後、さまざまなアクターが関わる中で社会全体が自分たちで学ぶと言いましたが、これは「お勉強」ではなくて、むしろ自分たちの生活をより良くしていくために、また楽しい生活を続けるためにどうしたらいいのかということを議論し、実践し、変えていくといったことが学びだと思うので、そうしたものが実現できる「まち」が出来てくるのではないかと思います。今日の話(議論)は、そうしたことを予感させるものであったように思います。
今後、また福祉の方々と厳しい議論があるかもしれませんが、対立したり、教育と福祉を分けてしまうというよりは、その二つを融合させていきながら、新しい生活を作るのだという方向で議論が進んでいくことを期待します。