特定非営利活動法人ホスピスケアを広める会 最期のときを支える在宅医療支援の活動

最終更新日 2010年9月1日

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 もし、自分や家族ががんで余命わずかと宣告されたら…そんなことを考えたことがありますか。癌による死亡者数は年々増加しており、1980年(昭和55年)の16万人が、2000年(平成12年)には30万人と倍増しています(平成14年人口動態統計(厚生労働省)から)。“がんになり、現代医学ではこれ以上の回復が望めないとき、痛みから解放されて自分らしく過ごしたい”。そんな人たちの生き方を支援するのが緩和ケア・ホスピスケアの理念です。

 今回は、特定非営利活動法人ホスピスケアを広める会(以下、広める会)の代表 宮坂いち子さん、事務局の長尾克子さん、砂川喜代子さんからお話を伺いました。

緩和ケア・ホスピスケアの理念を広めるために

特定非営利活動法人ホスピスケアを広める会のメンバーの写真 「広める会」発足のきっかけは、今から10年前、聖徳大学英米文学科の教授でもある宮坂さんが講師を務めた聖徳大学オープンアカデミー「尊厳死とホスピス」でした。まだ“ホスピス”という言葉が一般的でなく、延命治療が当然であった頃です。講座内容に感銘を受けた受講生のうち15人が講座終了後も集まって勉強会を続け、それを知った宮坂さんがアドバイスを続けたことが、会の始まりでした。

 発足時は「とうかつホスピス研究会」の名称で、ホスピスケアの理解・啓発活動を行ってきました。その柱は、会発足当初から毎年欠かさず行っている公開講演会です。

 講演会ではこれまで、ホスピスケア・緩和ケアの理解促進、地域医療・在宅医療の現状、より良く生きることなどをテーマに、各医療機関を始め、ジャーナリストや演劇評論家など多彩な講師を招いてきました。「お金のない会だから、お礼なんてほんのちょっぴり。おばさんパワーで図々しくお願いしているんです(笑)」と、長尾さん。けれども、医療の専門家でない市民中心の会が医師などに講演を依頼する難しさ、それを10年間続ける大変さは想像に難くありません。地域にホスピスケア・緩和ケアを根付かせたいという皆さんの熱意があってこそなのでしょう。

求める声があるから・・・「広める」会から「取り組む」会に

 発足6年目の平成16年、会に転機が訪れます。一つは、会の名称を「ホスピスケアを広める会」に変更したこと。理由は、「勉強するための会ではいけない。自己満足ではなく、ホスピスケアを定着させていくために一つ前へ進もうとしたから(宮坂さん)」。その想いが形となったのは、在宅医療を支援する「在宅サポートさくら(以下、さくら)」の立上げです。

在宅サポートさくらの写真 「広める会の活動をする中で、在宅医療支援のニーズがあることが見えてきました。訪問看護ステーションが整備されましたが、介護保険、医療保険の範囲外のサービスは受けにくい。サービスメニューがなかったり、実費負担で高額だったり。1時間7,000円で看護師を派遣する団体もありますが、市民が簡単に払える額ではありません。市民の目線で在宅支援に取り組む必要があると考え、さくらの立上げを決意したんです」と長尾さん。

 さくらの利用料金は、一律1時間1,000円~1,500円。うち300円がさくらの収入となり、残りは派遣されるボランティアへ渡されます。訪問介護の有償サービスと似ていますが、大きく異なるのは医療に係るケアを行うこと。さくらから派遣されるボランティアは、看護師など医療行為(※)を行える人たちです。

 さくらが必要とされるのは、制度の“隙間”の部分です。在宅療養者のみならず、退院直後の人、後遺症に苦しむ人等に、夜間や介護保険の範囲外・限度外のケアを提供したり、ご家族が不在の場合の付き添いや、病状に合わせた食事の調理なども行います。

 制度から漏れているサービス、制度化するには難しいサービスをボランティアの力で提供しているのが「さくら」だといえます。

ボランティアが根付く社会に

 このような在宅医療の支援を行う市民団体はとても珍しく、利用者や地域のケアマネージャーからも期待を寄せられていますが、難しい面も多いと言います。

 一つは、ケアを提供する側=会の課題で、ボランティアの不足と財源不足は深刻です。さくら利用料金のうち、会の収入は1時間300円。ケアのコーディネイト(状況の聞き取りや関係機関とのとの調整、ケア計画の作成)や事務所の維持に係る経費を考えると、とても十分とは言えません。

 もう一つは、サービスの利用者の課題です。たとえ1,000円であっても自己負担に抵抗のある人や、介護保険と混同して料金に疑問を持つ人など、有償のサービスになじみがない人が少なくありません。「日本は、ボランティアを提供する側も受ける側もギクシャクしている。このやり取りがスムーズになれば、もっといい社会になるのでは」とは砂川さんの言葉です。

 けれども、広める会の活動に心から感謝されている方もいます。「ケアしていた女性が亡くなった後、連れ合いの方が、わざわざお礼に来てくださったんです。その方が亡くなったのはとても悲しいことでしたが、一人の方の最期を助けることができたのはとても満足でした。この会にいることに誇りを感じます」と長尾さん。

 人の生と死に関わるホスピスケアは、市民活動の枠を超えているのかもしれません。けれども、広める会の活動は、困っている人に手を差し伸べるという市民活動の本質でもあり、病になっても自分らしく生をまっとうしたいと考える人が増えている中、今後ますます必要とされる活動ではないでしょうか。

(補足)
 医療行為は医師や看護師にしか認められていない。具体的には、床擦れの処置、痰などの吸引、経管栄養(摂食障害などの人に管で栄養分を与える行為)など。

特定非営利活動法人ホスピスケアを広める会

  • 代表者 宮坂 いち子
  • 所在地 柏市北柏一丁目2-7
  • 連絡先 04-7163-0634

情報発信元

地域づくり推進部協働推進課

所在地 柏市柏5丁目10番1号(本庁舎3階)
電話番号 04-7168-1033
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