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更新日令和3(2021)年2月26日

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大英博物館を虜にした世界的版画家 野田哲也展~Best of “Diary(日記)”~

世界的版画家の野田哲也氏が、作品を柏の自宅兼アトリエから世界に発信していることをご存知ですか?
東京国際版画ビエンナーレ国際大賞やリュブリアナ国際版画ビエンナーレ名誉大賞を受賞するなど国際的に高い評価を得ている版画家、野田哲也氏。
世界三大博物館と評される大英博物館では、この野田哲也氏の作品を約130点も所蔵していて、2014年には個展も開催されました。
柏市教育委員会の主催として初の地元・柏での展覧会で、大作を含めた作品約40点をみなさまにお披露目します!

日記 1968年8月22日

この家族の版画作品に込められた思いとは…?

野田哲也氏ご本人も来館~オープニングセレモニーを開催~

「野田哲也展」開催に先立ち、2月18日にオープニングセレモニーが行われました。

パレット柏外観(JPG:109KB)テープカットの様子(JPG:94KB)挨拶する野田哲也氏(JPG:72KB)

セレモニーには、市関係者をはじめ、野田氏ご本人や、展覧会の全体監修をしてくださった柏わたくし美術館・堀館長のほか、野田氏と縁の深い駐日イスラエル大使もお祝いに駆けつけ、テープカットなどが行われました。

野田氏はセレモニーの挨拶の中で、今の作風は、自分の思いを表現したいと子どもの頃描いていた絵日記をヒントに「日常」を切り取ることで生まれたことや、世界中の版画家に影響を与えている版画と写真を組み合せた技法について「写真は簡単に描写できるから」とお話しされ、「日常を描いているのできっと多くの方に共感してもらえる」と、地元・柏での展覧会開催を大変喜んでいらっしゃいました。

作品の前で撮影に応じる野田哲也氏(JPG:52KB) 初日からたくさんの方が来場(JPG:52KB)作品をじっくり鑑賞する来場者(JPG:54KB) 野田哲也氏作品(泣きじゃくる子供)(JPG:41KB)作品を鑑賞する女性(JPG:42KB) 野田哲也氏作品(かぶ)(JPG:52KB)

今回展示会に並ぶ40点の作品の中には、柏の風景を描いたものもあり、これらは健康のためにと続けている野田先生自身の「ウォーキングコース」の風景だそう。

開場とともに初日から展覧会にはたくさんの方が訪れ、作品一つ一つが醸す味をじっくり楽しんでいらっしゃいました。

世界的版画家 野田哲也氏の作品はココがすごい!

1 InstagramやFacebookの先駆け?

自身の日常を過ごす中で、家族や知人、風景や事物など偶然出会った感動をモチーフに描かれている作品のタイトルは、すべて「日付」になっており、その作品群は“Diary(日記)”シリーズといわれています。絵日記をつけるような感覚で、出来事を作品にして次々に世界へ発信しています。
これは、今では世界中で行われているInstagramやFacebookと同様のことを、約50年前から行っていたことになります。

2 技法 写真と木版画をミックス!

日本古来の木版画と作者自らが撮影した写真を現代的なシルクスクリーンで表現して組み合わせた斬新な手法を生み出し、世界中の版画家に影響を与えています。
現在では、異なる表現媒体を混合するという技法は広く版画の世界で用いられています。

3 画面の組み立て「余白の美」

野田作品の特徴の一つとして、余白、空間、抜けがあることが挙げられます。
例えば、飾られている対象のものだけでなく、余白を含めた全体の空間に美を求める感覚を、私達日本人は当たり前のように持っています。
この日本人独特の「余白の美」を取り入れて作品を構成しています。

まずは展覧会に行ってみよう!【展覧会は終了しました】

とき・ところ

会期

平成29年2月18日(土曜日)~26日(日曜日)午前10時~午後7時(入場は午後6時30分まで)

会場

柏市民ギャラリー(DayOneタワー3階パレット柏)
柏市柏一丁目7番1-301号
電話番号 04-7157-0280
柏駅南口より徒歩3分(駐車場はありませんので、公共機関をご利用ください)
入場料無料

野田哲也展~Best of“Diary(日記)”企画展

  • 主催 柏市教育委員会
  • 共催 パレット柏指定管理者柏市文化・交流複合施設運営共同事業体
  • 協力 柏わたくし美術館
  • 全体監修 堀良慶(柏わたくし美術館長)

パレット柏(JPG:118KB)
会場案内図(クリックすると大きくなります)

柏わたくし美術館長が解説!展覧会の見どころはココ!

今回の展覧会は大きく3つのテーマに分けて約40点の作品を展示いたします。
ここでは各テーマごとに見どころや一部の作品を、今回の展覧会の監修をされた柏わたくし美術館長堀良慶氏がご紹介します。

柏わたくし美術館長近影(PNG:956KB)
柏わたくし美術館 堀館長

「柏わたくし美術館にはいつも野田作品が展示されており、30年間も一緒に暮らしていて作品はわが家の家族の一員となってきています。
先生の作品から受けるメッセージは日常の普遍的な幸せな生活です。私たちは絵から豊かな日常をいただいております」

大英博物館コーナー

2014年に大英博物館で開催された個展に出品された作品の一部を展示します。

「大英博物館が野田作品を130点所蔵品していて、さらに、個展を開催するというニュースを聞いたときには、大変驚きましたし、心の底からじわりと出てくる喜びがありました。日本のあちこちに熱い野田ファンの存在がありますが、ロンドンにも熱烈なファンがいたのですね。」(解説・柏わたくし美術館 堀良慶)

日記 2014年6月5日、ロンドン

日記2014年6月5日の画像(JPG:59KB)

「ユニオンジャックの旗に座布団3枚!
この作品は上部が大英博物館、下部が展示会場です。
上部と下部は赤の帯で分けられ、最上部は浮世絵のボカシ技法により青色で見事に空を表しています。ユニオンジャックの旗の色は赤、青、白です。見事にこの三色を埋め込まれていることに、思わず、お見事!座布団3枚!と叫びました。」(解説・柏わたくし美術館 堀良慶)

日記 1968年8月22日

日記1968年8月22日の画像(JPG:139KB)

(1968年東京国際版画ビエンナーレ国際大賞受賞)

「この『日記:1968年8月22日』は『日記:1968年9月11日』と対になっている作品で、実はこれらはぼくと妻との婚約を記念してつくったものです。
国際結婚でしたので、当然、お互いの文化や習慣、あるいはコミュニケーションのあり方などに違いがありますが、そのようなことを家族の記念写真を通して表現できればと思ってつくった作品でした」(解説・野田哲也)

柏の風景コーナー

私達がよく知る柏の風景を題材にした作品を展示します。

日記 2005年3月5日、柏

日記2005年3月5日の画像(JPG:106KB)

「これは作家の罠だ!
この交差点は柏駅から2キロメートルほど。野田先生のアトリエに向かう五本の道が交差するスクランブル交差点(柏市関場町)です。
多くの車や人が行き交う交差点。情報、ネット、電気が飛び交う無数の電線。大手コンビニ店の看板には酒、たばこ、ATM(お金)。
世の中の多くの欲望が便利、効率の名の元に存在している欲望のパッケージです。これは作家の罠です。
野田作品の多くは余白、空間、抜けがありますが、これにはそれが無い。車、人、欲望、情報が押し寄せているようです。さて、交差点の信号の赤の彩色。これは『そんなに急いでどこへ行く!』という注意と忠告です」(解説・柏わたくし美術館 館長 堀 良慶)

柏わたくし美術館コレクターコーナー

柏わたくし美術館が所蔵する世界の名だたる賞を受賞した作品を展示します。

日記 1976年8月19日

日記1976年8月19日(リュブリアナ国際版画ビエンナーレグランプリ受賞)

「抜けある絵に乾杯!
何故、世界の審査委員が野田哲也作品に一票を投じるのでしょうか?
それは野田哲也の作品と一緒に暮らすと徐々に判ってきます。懐かしさ!素朴さ!普遍性!奥深さ!生活の中のエモーショナルなものが作品のなかにあり、表現された世界の普遍性は、世界共通なのです。
この作品は娘さんがベネチアビエンナーレの展示会場にしっかり立ったという場面だそうです。壁に立っている大人は会場のガードマン。空間、抜けの効果を上手く取り入れています」(解説・柏わたくし美術館 館長 堀 良慶)

野田哲也氏プロフィール

  • 日本を代表する版画家の一人
  • 東京藝術大学名誉教授
  • 1940年熊本県生まれ
  • 柏市在住
  • 客員芸術家として各大学で教える
  • カナダ・アルバータ大学(1984年)オーストラリア・キャンベラ美術校(1990年)アメリカ・コロンビア大学(1998年)など
  • 各賞の国際審査員を勤める
  • 主な受賞歴
    1968年東京国際版画ビエンナーレ国際大賞
    1971年サンパウロビエンナーレ
    1972年ベニスビエンナーレ
    1974年英国国際版画ビエンナーレ
    1977年リュブリアナ国際版画ビエンナーレ大賞
    1978年ノルウェー国際版画ビエンナーレ大賞
    1987年リュブリアナ国際版画ビエンナーレ名誉大賞
    2003年紫綬褒章を受ける
    2015年瑞宝中授章を受ける

野田哲也(JPG:95KB)
(野田哲也氏)

アートや文化を発信し続ける街、柏

柏では野田哲也氏以外にも、多くの芸術家やアーティスト達が作品を生み出しています。

「面白い!」と感じる心や「美しさ」をみる感性がこれからも育つ街でありますように。

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