第五回 かしわ・その時「昭和29年11月15日~柏市が誕生した日~ 」
最終更新日 2019年9月25日
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第五回 かしわ・その時「昭和29年11月15日~柏市が誕生した日~」
今回の「かしわ・その時」は、今から57年前の昭和29年(1954)11月15日、柏市が誕生した日です。
JR常磐線、東武野田線、つくばエクスプレスや、国道6号、16号、常磐自動車道などの主要幹線道路が交差する交通の要衝であり、柏駅周辺の商業施設には多くの若者や買い物客で賑う「柏市」。
「第五回 かしわ・その時」では、町村合併から市制施行をテーマに、当時の懐かしい写真や資料とともに、中核市へと劇的に変貌をとげた柏の原点を紹介します。
(平成23年11月10日掲載)
盛大な祝賀行事
市を挙げての祝賀行事
柏市が誕生した昭和29年11月の21日から23日にかけて、市内各所では盛大に祝賀行事が繰り広げられました。小中学校を使っての文化祭や芸能大会、野球・テニス・柔道等の大会や市民大運動会。万国旗で飾られた市内の道路では仮装行列や、当時まだ珍しかった自動車行列、そして駅伝大会等が開催され、新しく誕生した「柏市」を祝いました。
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市章制定
翌年1月には市章の選定も行われます。ひらがなの「か」「し」「わ」を組み合わせて図案化したもので、「か」は日本古来から気高いもの、高く伸びるものの語(ことば)として新市の発足には相応しいとされました。
市制施行を祝う市内
奥の大鳥居は竹篭製で柏神社前に建てられていたもの。
市制施行で賑わう柏駅前通り
正面奥は柏駅。
市制施行で賑わう柏駅前通り
正面奥は柏駅。
合併前夜
合併前夜
終戦後の昭和22年(1947)、日本国憲法と同年に地方自治法が施行され、民主的な地方行政の運営をめざし諸制度が整備されます。「戦前の中央集権体制が戦争の一因となった」との反省から出された政策でしたが、この地方自治の拡充は、小さな町村には大きな財政負担ともなるものでした。こうしたことから昭和28年に施行された町村合併促進法は、市町村規模の適正化を求めるもので、町村合併の気運が全国的に高まります。ただ、合併区域の決定に当たっては、それぞれの事情から激しい議論が交わされた町村もでました。
昭和29年4月5日、千葉県は東葛飾郡を五ブロックとする合併試案を策定しますが、柏ブロックは田中村、柏町、小金町、土村となっていました。富勢村は我孫子町との組み合わせが示されていましたが、柏との合併を望む意見も多く、こうした「村内事情」のため当分合併を「保留」することになりました。
合併に至るまで
合併に関する様々な公文書類が残っています。
東葛市設置の議決への動き
昭和29年5月25日、四か町村の間に合併協議会が設置され、それぞれに懇談会を開催し世論の喚起に努めた結果、7月には柏町・土村・小金町・田中村の各議会が合併による東葛市設置を議決します。一方、伝統的に松戸市と関係が深かった小金町では一部に強い反対意見も残りました。
8月2日、千葉県議会は柏町・小金町・田中村・土村を廃して「東葛市」とし、9月1日から施行する議案を可決、新しい市が誕生することとなりました。
柏市合併概観図(合併前の旧柏地区・沼南地区の旧村町を表しています)
沼南村の誕生
後に柏市と合併する沼南町(当時は村)も、昭和30年3月30日に誕生します。千葉県の試案で同じブロックとされた手賀村と風早村、調査資料でも「手賀沼に面して同一形態の純農村であり、生活圏も経済圏も完全に一致し、客観情勢に従い合併の実現は確実 」と記載されるほどで、昭和30年合併当時の沼南村の人口は10,760人、1,773世帯でした。
東葛市から柏市へ
「東葛市」の設置
新市名の決定にあたっては、四か町村いずれかの名称を受け継ぐことは市民の融和を図る上で問題となることが予想されました。そこでこの地域が東葛飾郡の中央部に位置しているという地理的位置にちなみ、新市名を「東葛市」と決定します。市役所は、住民利用・事務処理の便の点から柏町役場の庁舎を使用し、他の町村役場庁舎は支所となりました。
「東葛市」から「柏市」へ
昭和29年9月6日、千葉県は、旧小金町の帰属は住民投票により決すべきことを東葛市に勧告しましたが、結局、小金町問題は県のあっせんにより無投票分離を提示、昭和29年10月15日旧小金町は一部を除き松戸市へ編入されました。
一方、意見の分かれていた富勢村でも議会が東葛市及び我孫子町への分村合併を議決。昭和29年11月1日、大字弁天下、宿連寺、松ケ崎新田、柏堀之内新田及び、根戸・根戸新田・呼塚新田・布施の各一部区域を東葛市に、その他の区域を我孫子町に編入しました。
旧小金町の大部分が松戸市に編入されたことにより、市民の間から「東葛市」という名称に疑問がおこりました。当時の柏市広報は「合併によって地盤が確立され、更に市民の要望に応え市の名称を柏市と変更…」と説明しています。
広大な北総台地の一隅に集落が点在していた柏地域も、常磐線柏駅の開設とともに大きな変貌を遂げ、交通の要衝として県立高校や銀行が設置されるなど、活気ある商店街を持つ市街地ができつつありました。「柏」という名前はもはやかつての旧町名ではなく、新市に相応しい名称として周囲から認められる存在となっていたのです。
昭和29年11月15日、「東葛市」は市の名称を「柏市」に変更、繁栄の第一歩がここに刻まれたのです。
市制施行頃の市内風景
柏市は柏駅前の賑わいに象徴されるように戦後著しい発展を遂げてまいりました。その変化を感じていただくため、市制施行前後の街並み風景を並べてみました。当時に思いを馳せていただければと思います。
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かしわ・その時ができるまで

写真整理の様子

整理作業は和気あいあいとした雰囲気です。
あなたも参加してみませんか?
『かしわ・その時』に掲載している写真や資料は、資料整理ボランティアの皆様に整理をしていただいた写真が含まれています。作業中は、 参加者同士、話し合いながら、写真の内容の確認・分類整理を行っています。
この写真や資料は、柏市が所有しているもので、柏の歴史を語る上で大変貴重な資料です。
写真整理では、市内で撮影された写真の内容・場所・時期などを一枚ずつシートに書き込み整理を行います。 (平成22年度は、のべ159人の参加者により、合計4、448点の整理を行いました。)
ボランティアは、現在も募集しております。詳しくはコチラをご覧ください。
古代の柏の様子を知りたいかたは・・・歴史講演会(開催終了)
去る平成23年11月13日(日曜日)に、手賀沼周辺の古墳文化を中心に、古代の柏市域の様子について歴史講演会を行いました。
当日は、およそ280名の入場者があり、大塚先生の貴重なお話に熱心に聞き入っていました。皆様のご参加ありがとうございました。詳しくはコチラをご覧ください。
- 日時【開催終了】
平成23年11月13日(日曜日) 【開場】午後1時、【開演】午後1時20分、【終演】午後3時40分 - 場所
柏市沼南公民館 大ホール - テーマ
『手賀沼周辺の古墳文化を語る』 - 講師
大塚初重(明治大学名誉教授) - 講師紹介
考古学者、明治大学名誉教授。1926年東京生まれ。明治大学教授、同考古学博物館長、日本学術会議会員、山梨県立考古学博物館長、日本考古学協会長などを歴任。静岡・登呂遺跡をはじめ、東日本の数々の重要遺跡の発掘を手がける。2005年春『瑞宝中綬章』受賞。 - 入場料
無料 - 申し込み
04-7191-7414(柏市文化課まで電話で申込)
歴史発見「かしわ・その時」シリーズ
歴史発見「かしわ・その時」は、毎回、その時々に起きた柏市にとって歴史的な出来事を通して市民の皆様方に地域の歴史を紹介していくコーナーです。
タイトル | 概要 |
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柏競馬場は当時、東洋一の威容を誇り、「柏を関東の宝塚に」というまちおこし計画の中核をなす施設で、昭和8年7月20日の競馬場駅の開設はこれを象徴する出来事でした。 | |
日本側に返還された米軍の柏通信所を通して、十余二地区の成り立ちと「柏の葉」開発の歴史を紹介します。 |
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猛威を振るったカスリーン台風をテーマに、利根川や手賀沼のほとりに暮らした人々と、水魔との苦闘の歴史を紹介します。 | |
第一回国勢調査をテーマに、このときの調査データや市内の資料を紹介しながら、近代化の中で農村から商都へと劇的に変貌をとげた柏の姿を追います。 | |
町村合併から市制施行をテーマに、当時の懐かしい写真や資料とともに、中核市へと劇的に変貌をとげた柏の原点を紹介します。 | |
第六回 文明10年12月10日 酒井根原の合戦~太田道灌、襲来~ |
江戸築城で知られる太田道灌と、下総の千葉孝胤が戦った酒井根原の合戦をテーマとして、数少ない当時の古文書史料を手がかりに、謎に包まれた柏の中世を考えます。 |
第七回 軍部が恐れた穏健派~牧野伸顕、十余二に永眠~ | 今から63年前、激動の大正・昭和期に活躍した政治家牧野伸顕が十余二で死去しました。牧野伸顕邸を中心に、鈴木貫太郎・吉田茂らと繰り広げた知られざる終戦への歴史に迫ります。 |
さらに詳しく知りたいかたは・・・
さらに詳しくお知りになりたいかたは、柏市史などをご利用ください。今回のテーマに関する市史の書籍は次のとおりです。
書籍名 |
該当ページ |
販売 |
備考 |
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216 |
販売終了 |
図書館等で閲覧可能。 |
柏市史(柏市教育委員会より発行する柏市の歴史に関する書籍)は、柏市立図書館、柏市行政資料室(柏市役所1階)などでご覧いただけます。また、販売中の書籍については、行政資料室(柏市役所1階)、文化課(沼南庁舎)で販売しています。郵送での購入も可能です。
販売方法などの詳細のページへ
(2011年11月10日掲載)
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資料や写真をご提供いただいた方々の敬称は略させていただいております。
新市「東葛市」の設置