部活動・特設クラブ活動のあり方に関するガイドライン

最終更新日 2017年12月4日

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「部活動・特設クラブ活動のあり方に関するガイドライン」

【改訂版3】部活動のあり方に関するガイドライン(表紙~目次)(PDF形式 75キロバイト)

【改訂版3】部活動のあり方に関するガイドライン(本文)(PDF形式 1,130キロバイト)

 

以下は平成29年3月28日に発行されたガイドラインを、ホームページ用に編集したものです。

目次

  1. はじめに
  2. 部活動の位置付けと意義
  3. 部活動の組織的な運営
  4. 部活動運営の「量から質」への転換
  5. 保護者・地域との連携
  6. 健康・安全管理と事故防止
  7. 参考・引用文献一覧

1 はじめに

部活動は、学校教育活動の一環として行われ、児童生徒に、生涯にわたってスポーツや文化に親しむ能力・態度を育み、体力の向上や健康の増進、技能・技術の向上を図ることのできる教育活動です。また、それ以上に、自主性や協調性、責任感、連帯感などを育成するとともに、部員同士が同じ目標に向かって取り組むことで、豊かな人間関係を築くなど、心身ともに健全な育成を図ることができる大変有意義な教育活動です。
一方で、世の中の多様化や少子化、教員の大幅な世代交代といった時代の変化により、活動する部員数の減少、指導する教員の専門性の低下、生徒や保護者のニーズの多様化など、学校に求められるニーズの増大による教職員の多忙化といった、解消すべき新たな課題にも直面しています。
このような状況を鑑み、柏市では、今後の部活動のあり方について、各学校において教育活動の一貫として適切に行われるよう、『部活動・特設クラブ活動のあり方に関するガイドライン』を作成いたしました。
今後、各学校が本書を活用し、学校教育目標や目指す児童生徒像の実現に向けて、全教職員で部活動のあり方について協議し、学校が一丸となって、より効果的で有意義な部活動の実現に向けた検討がなされることを願っております。
今回のガイドライン検討のキーワードとなった言葉は、「量から質への転換」です。この言葉は、時代が示すキーワードといえるものです。21世紀中盤以降の社会で活躍する児童生徒に、部活動を通して育成すべき力は何かを問いただし、変えるものと残すものについて検討して頂ければ幸いです。
終わりに、この『部活動・特設クラブ活動のあり方に関するガイドライン』の策定にあたり、ご協力を賜りましたワーキンググループの委員の皆様、「部活動のあり方に関するアンケート」にご協力くださった皆様に深く感謝申し上げますとともに、さらなるご支援、ご助言を賜りますようお願い申し上げます。

平成29年3月 柏市教育委員会

 

(補足)小学校では、課外活動として行っているスポーツ・文化活動を「特設クラブ活動」と称している。中学校の「部活動」と小学校の「特設クラブ活動」は同一の活動ではないが、小学校では、日常的に「特設クラブ活動」のことを「部活動」と表現することが多い。以上のことから、本ガイドラインで部活動と表すものは、小学校の「特設クラブ活動」を含むこととする。

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2 部活動の位置付けと意義

(1)部活動について

部活動は、学校が設置するものであり、児童生徒の健全育成に大きな役割を果たしています。部活動の歴史は古く、始まりは明治時代の学校制度発足までさかのぼるといわれ、学校の教育活動の一環として今日までその歴史を刻んできました。

長い歴史の中で、多くの人々が部活動により、生涯の友人を得たり、社会経験を積んだりしており、人間形成や健全育成においても、多大な貢献をしてきました。また、これまでの我が国の文化・スポーツ等の基盤を支え、世界に誇る人材を輩出したり、人々に夢や希望を与えたりもしてきました。

(2)部活動の位置付け

学校の教育活動は、学習指導要領に示された「教育課程」と呼ばれる内容と、学校が計画する「教育課程外」の内容で構成されています。
部活動は、教育課程外に学校が計画し実施する教育活動です。

  • 教育課程
    学習指導要領に基づく領域
    各教科・総合的な学習の時間・特別活動等
  • 教育課程外
    学校が計画する領域
    休み時間・登下校・放課後の課外活動等

部活動の位置付けは教育課程外とされていますが、「生きる力」を育む観点から、学校の教育活動の一環として教育課程との関連が図られるよう、平成20年3月告示の『中学校学習指導要領』の総則に示されています。

  • 中学校学習指導要領 第1章 総則 第4の2(13)
    生徒の自主的、自発的な参加により行われる部活動については、スポーツや文化及び科学等に親しませ、学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養等に資するものであり、学校教育の一環として、教育課程との関連が図られるよう留意すること。その際、地域や学校の実態に応じ、地域の人々の協力、社会教育施設や社会教育関係団体等の各種団体との連携などの運営上の工夫を行うようにすること。

(3)部活動の意義

部活動は、学級や学年を超えて同好の児童生徒が自主的・自発的に集い、顧問の指導のもと、個人や集団としての目的や目標を持ち、切磋琢磨することを通じて、人間関係の大切さ、組織を機能させることの重要さを学ぶことができる教育活動であり、次のような教育的意義が考えられます。

 部活動の意義

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3 部活動の組織的な運営

(1)学校全体での組織的な運営

部活動は、学校教育全体の中に位置付け、顧問間の連携を図り、外部指導者等の協力を得ながら、組織的に運営していくことが重要です。全校体制で部活動に取り組むことによって、児童生徒理解が進み、学習面や学級の人間関係等に良い影響を及ぼすといった例は多数報告されています。

また、部活動は、児童生徒の自主的な活動による資質向上と、生涯にわたって文化やスポーツ等に親しむ態度の育成、学校の教育目標の実現に向けての効果が最も期待されるものです。従って、児童生徒の人間形成の場として、また、保護者・地域から期待される児童生徒の健全育成に寄与する場として、学校全体で組織的に部活動を活性化させていくことが大切です。

部活動運営上の主な役割

  • 児童生徒の管理面(すべての部活動に共通する役割)
    年間指導計画の作成、部員名簿の作成、部員の健康管理、部員の生活指導、担任との連絡・調整、事故防止・安全対策、各部への配当予算管理、施設・用具の管理、大会・コンクール等への引率、保護者との連絡・調整、顧問会議への出席、大会主催者との連絡・調整、外部指導者との連絡・調整
  • 技術指導面
    専門的な指導、個性・能力の伸長、豊かな人間関係づくり、充実した学校生活、人格形成

(2)顧問の役割

部活動運営上、顧問の主な役割としては、大きくは上記の「児童生徒の管理面」と「技術指導面」の2つがあります。現状は、顧問が一人二役を担っていることが多いため、自身の経験や指導の経験がない部活動の担当を受け持った時、「技術指導面」に不安を感じることがあります。しかし、技術指導はできなくても、生徒を温かく見守ったり、時には一緒に活動したりして、生徒の気持ちを共有することも、顧問としては重要です。

(補足)小学校では顧問という名称ではなく、「担当」と称することも多いが、本ガイドラインでは「顧問」という名称に統一して記す。

(3)活動計画の作成

学習指導要領に記されているように、児童生徒の自主的・自発的な参加により行われる部活動は、学校教育の一環であり、顧問は教育課程との関連が図られるよう留意し、学校教育目標や目指す児童生徒像の実現を目指した、組織的な運営ができるように計画を立てることが必要です。

児童生徒が意欲的に、夢中になって活動することは望ましいことですが、顧問は、過度な活動とならないように、児童生徒の発達段階に応じた活動日数や活動時間を設定する必要があります。部員一人ひとりの実態を踏まえ、生活のバランスや児童生徒の将来的な成長に向けた教育的な配慮が重要となります。また、児童生徒の自己肯定感を高め、自信を持たせるような指導も必要です。過度の勝利至上主義的な指導や、休養日もなく毎日練習するスケジュールや活動時間などでは、児童生徒の健全な心身の成長や、学校生活への悪影響が懸念されます。

部活動の運営方針や活動計画に関しては、保護者への周知も大切になります。部活動に対する保護者の要望や価値観が多様化しており、「厳しく鍛えて欲しい」「楽しく活動させて欲しい」など、様々な意見が出されることがあります。また、部活動と学習の両立について悩みを持つ児童生徒や保護者がいることも忘れてはいけません。顧問がしっかりと方針や活動計画を立て、年度当初の保護者会等できちんと説明する必要があります。

児童生徒や保護者の意向、学校や地域の実態等に応じて、科学的、合理的なトレーニングを導入したり、短時間であっても効率的な練習を導入したりするなど、ニーズにあった部活動が展開されるよう工夫することが大切です。

 活動計画の作成

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4 部活動運営の「量から質」への転換

(1)基本的な考え方

「はじめに」や「1 部活動の位置付けと意義」でも述べたように、部活動が児童生徒の健全な成長に大きく寄与していることは、多くの人が認めるところと思われます。

しかしながら、全国的に、顧問の勝利至上主義による行き過ぎた指導、児童生徒が心身の健康を害するほどの長時間練習、授業準備や教材研究の時間が十分確保できないなど過剰な顧問の負担等が社会問題化しているという現状があります。

これらの点に関して、柏市の実態を把握するために、柏市教育委員会は平成28年11月上旬に「部活動のあり方に関するアンケート」調査を実施しました。管理職、顧問・教諭、保護者対象に行った本調査の結果から、これらの点が柏市においても全く無縁のものではないことがわかりました。

部活動は、児童生徒の健全な心身の成長のために、バランスのとれた学校生活を送れるような内容や休養日の設定を行うなど、発達段階に応じた適切な活動を計画・実施する必要があります。

また、社会全体で長時間労働の見直し等「働き方改革」が叫ばれており、教員の「働き方改革」や部活動の「長時間練習の見直し」も求められています。

これらの観点から、柏市教育委員会では、部活動の練習時間に関して、短時間であっても効率的な練習のあり方を今まで以上に追求していく必要があると認識しています。長時間にわたる「練習量」重視の活動から、児童生徒が主体的に、かつ、集中して行うことのできる「質の高い」練習のあり方をより一層追求していきたいと考えています。

(2)基本方針

部活動の「量から質」への転換を図るために、次の5点について、以下に方針や施策を示します。

ア 顧問の指導力向上のための研修講座開催

  • 顧問の指導力向上のために、年2回(以上)「部活動指導者研修講座」を開催する。 

部活動の質的向上を図るためには、顧問の指導力向上が不可欠です。そこで、児童生徒の主体性を生かし、短時間で効率的な指導を行い、成果を上げている指導者の講演や、思春期の児童生徒理解のための研修、部活動事故対応研修、児童・生徒の安全・健康面に関する研修等、顧問の指導力や意欲の向上につながる研修講座を、平成29年度より、柏市教育委員会の主催で年2回(以上)開催します。本研修講座の受講対象者は、小中高校の部活動顧問、および、部活動外部指導者としますので、積極的な参加をお願いします。

イ 部活動外部指導者・部活動支援者等の派遣

  • 専門的指導に課題を抱える学校・部活動を中心に、部活動外部指導者・部活動支援者等の派遣を充実させる。

現在実施しております「部活動外部指導者事業」は、平成28年度と同様に平成29年度も実施します。
あわせて、平成29年度中に、柏市体育協会、柏市文化連盟等と連携し「部活動支援者リスト」の作成を行います。
全国的な動向として、大会等への引率が可能となる「部活動指導員」の制度化がありますので、制度設計が確定した際には、「外部指導者」や「部活動支援者」が「部活動指導員」にスムーズに移行できるよう、研修の実施等も含め準備を進めていきます。

ウ 児童生徒の自主的・自発的な活動の促進 

  • 児童生徒が自主的・自発的に、部や個人の目標に向かって活動できる風土を醸成する。

部活動の質的向上には顧問の指導力向上が不可欠です。しかしながら、顧問の異動に伴い活動が大きく変容してしまうといったことのないよう、児童生徒が自分たちで目標に向かって活動できる風土を培っていくことも重要です。顧問の指示がないと活動・行動できない、その時々で何をなすべきか自分(たち)で判断できないということでは、これからの社会で活躍することは望めません。各校の部活動が、より一層、児童生徒の自主的・自発的な活動となることが肝要です。

エ 部活動における小中高の接続の促進

  • 顧問同士の交流により、指導力の向上を図る。

「ア」で記した研修講座を定期的に開催することによって、市内小中高校部活動顧問の交流が生まれます。そのネットワークを生かすことによって、悩みを相談したり、良い指導方法を学んだりすることができます。その中で、合同練習を行うなどのアイデアも生まれてくるでしょう。
児童生徒の健全な成長や部活動における活躍には、小中高校の顧問同士が連携し合うことが重要です。

オ 休養日の設定

  • 児童生徒の心身の健全な発達や顧問の負担軽減のために、適切に休養日を設ける。 
    この方針に基づき、小中学校別に休養日の設定基準を示しますので、参考にし、活動計画の作成等を行ってください。
小学校
  1. 1週間のうち、平日に1日休養日を設ける。
  2. 大会・コンクール等の当日および直前を除き、原則、土日祝日の部活動は実施しない。
  3. 大会・コンクール直前の土日祝日に部活動を実施する場合は、直後の週の平日に、その日数分休養日を設ける。
  4. 土日祝日の練習は半日とする。
中学校
  1. 学校の方針に基づいて、1週間のうち、平日に1日、土日のいずれかに1日休養日を設ける。
  2. 祝日に練習を行う場合は、原則、半日とする。
  3. ただし、1・2に関しては、小中体連主催総合体育大会・新人体育大会、千葉県吹奏楽コンクールなど、『学校職員の勤務時間等に関する規則の運用について 別紙』に記されている大会等、東葛駅伝大会の直前・当日は除くこととする。
  4. 平日の延長練習については、やみくもに認めるのではなく、校内で決まりを作り、延長練習の日常化を防ぐ。
  5. 定期考査前の部活動停止期間については、生徒の家庭学習時間が確保できるよう、適切に配慮する。
  6. 長期休業中の活動については、学期中の休養日の設定に準じた扱いを行うとともに、ある程度長期のまとまった休養日を設け、児童生徒に十分な休養を与える。

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5 保護者・地域との連携

(1)保護者との連携を深める7つのポイント

部活動を充実させるためには、保護者の理解や協力を得ることが不可欠です。部活動に対する保護者の考え方や要望が多様化している中で、保護者に部活動の運営に関して正しく理解してもらうことは、非常に重要です。そのためにも、保護者の願いや意見をしっかりと受け止めること、適切に情報提供をしていくことが望まれます。
保護者との連携を深める7つのポイントを以下に記します。

  1. 年度当初の部活動保護者会で、「部活動の運営方針・年間計画」などを説明する。
  2. 大会・コンクール等の参加については、校長名で文書にて早めに知らせる。
  3. 部費を徴収する場合も、文書(校長名)で知らせるとともに、収支報告を必ず行う。その際に、保護者の負担軽減について最大限の配慮をしていく。
  4. 毎月の活動計画を文書で配付する。配付日は前月25日までを目安とする。
  5. 長期休業中の活動計画は、10日以上前に配付することを目指す(保護者が休業中の計画を立てられるような配慮をしていく)
  6. 練習予定等に変更が生じた場合は、必ず保護者に連絡する。
  7. 練習等による傷病時には必ず保護者に連絡し、適切な対応をする。

(2)保護者負担の軽減

  • 学校や顧問は、保護者の経済的な負担に最大限の配慮をする。
    部活動に関しては、保護者の経済的な負担への配慮も不可欠です。特に、経済的な理由で児童生徒の部活動が制約を受けること(入部したいのにできない、途中で退部せざるを得なくなるなど)のないように、学校や顧問は最大限の配慮をしていく必要があります。
    また、公費や生徒会費等で賄えない消耗品費等を徴収せざるを得ない場合は、次の2点を必ず守ってください。
  1. 校長の決裁を仰ぐこと
  2. 収支報告を必ず行うこと

(3)「部活動地域支援者リスト」の作成・活用

  • 「部活動地域支援者リスト」の作成(平成29年度)、活用(平成30年度から)
    平成29年度中に、柏市体育協会、柏市文化連盟等と連携し「部活動地域支援者リスト」を作成し、平成30年度からリストをもとに各校で支援者を部活動に活用できるような体制を作っていきます。

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6 健康・安全管理と事故防止

(1)事故防止の留意点

教職員は、教育活動のあらゆる場面において、常に児童生徒の健康面への配慮や安全確保を図る義務があります。特に、身体活動が伴う部活動は、児童生徒の安全が確保された上で行われることが大前提です。

日頃から指導者と児童生徒の事故防止に対する意識を高め、できる限りの注意を払い、事故防止に努めることが大切です。

事故防止の留意点

  1. 健康状態の把握
    • 児童生徒に自らの健康状態について関心や意識を持たせる。

    • 適度な休養や栄養の補給に留意する。

    • 活動に際し、健康観察を適切に行い、体調が優れない児童生徒に対しては、無理をさせず、活動内容を制限させるか、休ませる。

  2. 施設・設備・用具の安全点検と安全管理
    • 施設、設備、用具の使用前、使用後及び定期的な点検を行う。また、児童生徒にも、安全確認の習慣化を図る。

    • 施設・設備、用具を正しく使い、事故が起きないようにする。

  3. 養護教諭との情報の共有化
    • 顧問は部員の健康状態・疾病の程度等を共有するために、月1回程度養護教諭との情報交換を図る。

  4. 事故への対応
    • 年度当初に、救命救急講習会を実施し、心肺蘇生法や事故発生時の対応の仕方について全教職員で共通理解を図り、緊急体制を確立しておく。

    • 発生した事態や状況の把握、児童生徒の安全確保、傷病者の確認と応急手当

    • 管理職への報告、他の職員への協力要請や緊急連絡

    • 救急車の要請、消防署・警察・教育委員会・独立行政法人日本スポーツ振興センター等関係機関への連絡・連携

    • 事故発生状況の正確な記録

    • 保護者への連絡・説明

    • 事故の検証と再発防止に向けた取組

 (2)熱中症の予防・対処

下記の熱中症予防運動指針(『スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック』財団法人日本体育協会)に従って、熱中症の予防に努めてください。

環境条件に応じて、こまめに休憩をとらせ、体力の低い生徒、暑さに弱い生徒には特に注意してください。

 熱中症予防運動指針

熱中症が疑われた場合は、児童生徒を涼しいところに移し、衣類をゆるめ、からだ(首、脇、足の付け根など)を冷やすとともに、水分や塩分を補給させてください(スポーツドリンクなどを少しずつ何回かに分けて与える)。反応が鈍い時、言動がおかしい時、意識がはっきりしない時は、ただちに救急出動を要請してください。脇の下で測定した体温は深部体温を必ずしも反映しません。脇の下で測定した体温がさほど高くなくても、熱中症になっていることがあるので注意してください。

(3)脳しんとうへの対処

脳しんとうとは、転倒や外傷などの直接的な頭部への打撃により脳が大きく揺さぶられ、一時的に起こる脳の機能障害のことです。身体の衝突や衝撃を避けられないスポーツなどでよく起こるとされています。また、転倒などで頭部から倒れた際に頭部を打ち付けることでも脳しんとうは起こりやすいと言われています。脳しんとうやその疑いがある場合、下記に従って対処をしてください。

脳しんとうの所見・症状

意識消失、記憶喪失、頭痛、めまい、ふらつき、おう吐、反応が鈍い、集中力がない、物が二重に見える、ぼやけて見える、混乱して取り乱す、けいれん、光や音に敏感、いらいらする、悲しい、不安、霧の中にいる気分、などがあります。

また、脳しんとうの症状には3つのレベルがあります。

  • 軽度:一過性の意識混濁。記憶は正常であることが多い
  • 中等度:2分以内の失神。記憶障害。持続する頭痛・吐き気
  • 高度:2分以上の失神。上記の症状

中等度以上の症状の場合、意識が戻っていたとしても脳に大きなダメージを負っている可能性が高いです。速やかに病院を受診してください。

脳しんとうへの対処

児童生徒が頭部打撲、あるいは、頭部に強い衝撃を受けた可能性のある場合は、たとえ症状所見がなくても、ただちに練習や試合をやめさせ、バイタルサイン(意識レベル、呼吸、心拍数、血圧、体温)を確認してください。その際、無理に起こしたりゆすったりせず、いつ、どこで、どのような形で頭を打つなどしたか、受傷の程度や状況も把握してください。そして、受傷者の観察を続け、1人きりにしないようにしてください。

頭痛・おう吐・意識障害・まひ・感覚障害・ろれつ障害・複視・めまいなどの神経症状がある場合は、救急車の出動を要請してください。また、体調不良(何となく気持ち悪いなど)を訴える場合は、速やかに医療機関を受診し、指示を仰いでください。

児童生徒は、受傷後何時間もあるいは何日も経って、初めて症状を自覚したり、報告したりすることがあります。脳損傷を見逃さないためには、常にその可能性を念頭におくことが肝要です。

(4)心臓しんとうへの対処

心臓しんとうとは

心臓しんとうは、胸部に衝撃が加わったことにより心臓が停止してしまう状態です。多くはスポーツ中に、健康な子供や若い人の胸部に、比較的弱い衝撃が加わることにより起こります。
心臓しんとうは衝撃の力によって心臓が停止するのではなく、心臓の動きの中で、あるタイミングで衝撃が加わった時に、致死的不整脈が発生することが原因と考えられています。

  • 比較的弱い衝撃
    胸骨や肋骨が折たり、心臓の筋肉が損傷するような強い衝撃ではありません。子供が投げた野球のボールが当たる程度の衝撃で起こります。心臓の真上あたりが危険な部位です。
  • あるタイミング
    心臓の収縮のための筋肉の興奮が終わり始める時で、心電図上でT波の頂上から15-30msec(ミリ秒:15-30/1000秒)前のタイミングです。
  • 致死的不整脈
    心室細動といって、心臓の筋肉が痙攣している状態となり、心臓は収縮できず血液を送り出せません。つまり心臓が停止している状態です。

もしも発症してしまったら

一刻も早く心臓マッサージやAED等によるBLS(一次救命処置)を開始することです。特に、心室細動に対し除細動を実施することです。ですから、指導者はもちろん子供たち自身や関係者もBLSを実施できるよう、定期的に訓練を受けることが望ましいです。
119番通報してから救急隊が現場に着くまで6分くらいかかります。AED(心室細動に対する除細動治療)が1分遅れるごとに約7~10パーセント治療成功率が低下します。また、心臓停止時間が5分以上になると、意識の回復が難しくなり社会復帰することができなくなります。従って、現場にいる人が直ちに除細動治療を実施することが必要です。

  • BLS(一次救命処置)
    心臓マッサージ、気道確保、人工呼吸、AEDによる除細動の蘇生処置。
  • 除細動
    心室細動に電気的ショックを与え、正常な心臓の動きに戻す治療行為。

(5)セルフチェックリスト

部活動、特に運動部活動を行う際は、児童生徒に以下の点を確認させ、無理せず安全に行えるようにしてください。

運動前のセルフチェックシート

該当する項目に○を付けて、ひとつでも×があったら運動は控えましょう。 

運動前のセルフチェックシート
チェック項目 ×
熱はないか ない ある
体はだるくないか ない だるい
昨夜の睡眠は十分か 十分 不十分
食欲はあるか ある ない
下痢はしていないか ない ある
頭痛や胸痛はないか ない ある
関節の痛みはないか ない ある
疲労感はないか ない ある
前回のスポーツの疲れは残っていないか ない ある
今日のスポーツに参加する意欲は十分か ある ない

(昭和63年度日本体育協会スポーツ医科学研究「スポーツ行事の安全管理に関する研究」を参考に作成)

(6)スポーツで痛みが出た時の対処

スポーツで痛みが出た時は、以下を参考に指導してください。

  • スポーツの後に痛みが出た
    練習量・時間を少し減らす、アップ・ダウンを十分行う
  • スポーツ中に痛みが出てきた
    痛みの出る運動は休む、練習量・時間・方法を見直す、用具のチェックをする
  • 日常生活でも痛みがある
    スポーツは中止する、専門医の診察を受ける

(7)ケガ防止のための体幹遊びの例

思わぬ場所、思わぬ場面で転倒するなど、体幹が弱いことに起因するケガをする児童生徒が増えています。そのような怪我を未然に防ぐための「体幹遊び」の例を以下に記します。幼児期からの取り組みも効果的です。

一回転足ジャンケン

ただの足じゃんけんではなく回転も入れバランスをとりながら行うトレーニングです

  1. 円を書きます。
  2. その円の中でお互いのタイミングを合わせながら、一回転して足ジャンケンをします。
  3. じゃんけんもそうですが円の中から出てしまっても負けになります。

体幹うで立てジャンケン

その名の通り腕立て伏せの状態でのじゃんけんです。

  1. 向かい合わせでうで立て伏せの姿勢をとります。
  2. お互いのタイミングでジャンケンします。
  3. 30秒で何回勝ったかを競いましょう。

じゃんけん馬跳び股くぐり

  

  1. 二人一組になりジャンケンをして、負けた人は馬とびをし、次に素早く股の下をくぐり元の位置にもどります。
  2. 以上を一定時間、何度も繰り返します。 

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7 参考・引用文献一覧

  • 文部科学省 『運動部活動の在り方に関する調査報告書』(平成9年)
  • 文部科学省 『スポーツ指導者の資質能力向上のための有識者会議(タスクホース)報告書』(平成25年)
  • 文部科学省 『学校における体育活動中の事故防止について(報告書)』(平成24年)
  • 千葉県教育委員会 『安全で充実した運動部活動のためのガイドライン』(平成24年一部改訂)
  • 長崎県教育委員会 『運動部活動指導の手引』(平成25年)
  • 成田市教育委員会 『成田市小中学校部活動経営ガイドライン』(平成28年)
  • 日本体育協会 『スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック』(平成25年)
  • 日本体育協会 「スポーツ行事の安全管理に関する研究」(昭和63年)
  • 公益社団法人マナーキッズプロジェクト『マナーキッズ体幹遊び手引き・36事例集』(平成27年)
  • 柏市教育委員会・柏市スポーツ障害予防委員会 「楽しいスポーツのすすめ」(平成16年)

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