色彩景観の考え方

最終更新日 2010年9月1日

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1.基本的な考え方

色彩は、景観を構成する自然的なものから建築物等の人工的なものまで、建築物等の形態と同様に景観上重要な要素です。特に多くの人の目に触れる部分の色彩については、高い公共性をもっており、配慮する必要があります。

建築物等に使用される色彩は、非常に面積が大きいので、例えば洋服などと同様の感覚で用いると意外なほど刺激が強く感じられることから、より慎重な色使いが必要となります。特に概観は、街並みを構成する役割の一部を担うことから、隣り合う建築物、自然景観など、周辺の色彩とのつながりを充分に考慮することが望まれます。

また、色彩の配慮の内容は、低彩度の色を基調とすることを基本としながらも、例えば、生活の場である住宅系地域と商業・業務活動の場である商業系や工業系地域では、地域の特性に対応し検討をすすめることになります。

さらに、既成市街地と今後新たに形成される新市街地では色彩の考え方や調整の方法は異なります。これから計画的に作られる街並みとして、まちづくりのコンセプトに合わせて色彩計画を立て、よりきめ細かく誘導を図っていく必要があります。

自然景観や自然素材の色彩

一般的には自然素材(木、石、レンガなど)は、穏やかな色彩が多く、また、レンガなどは新しいうちは比較的彩度が高いことがありますが、経年変化により親しみがもてる色になってきます。
自然景観には、若葉、花、紅葉のように比較的彩度の高いものもありますが、季節変化などにより、全体として穏やかさが感じられるものとなっています。
これらと同様に、街なかでの色彩活用も彩度の高いものは、祭事など一時的な使用や小さなアクセントとして用いるなど、全体として穏やかな景観となるよう色彩景観を考えてみましょう。

2.色彩の基礎知識

色彩は、赤や青等の色名で表現されることが一般的ですが、個人の感覚により同じ赤や青でも思い浮かべる色彩は様々です。色彩を正確に表すためには、色彩のものさしが必要となります。
「マンセル表色系」は、色彩を正確に伝える方法として広く使われ、全ての色彩を色相、明度、彩度の「色の三属性」を用いて数値で表します。

色の三属性

マンセル色立体
マンセル色立体(補足)

色相 : 赤(R)、黄(Y)、緑(G)青(B)などの色合いのこと

明度 : 色の明るさの度合いのこと。白が最も高く10、黒が最も低く0と表す。

彩度 : 色の鮮やかさの度合いのこと。彩度が最も低いのが無彩色0で表し、鮮やかさが増すにつれて各色相ごとに最高15までの度数で表します。
 

色の表し方

色相7.5YRの色彩
色相7.5YRの色彩(補足)

(例)
7.5YR 5/2
色彩 明度/彩度
(7.5わいあーる5の2と読みます)
 

トーン

明度と彩度の組み

トーン図
トーン図(補足)

合わせ、色の濃淡、明暗、強弱など色の調子を「トーン」といいます。トーンは、色が与える印象と深く関わってきます。

(補足)
(補足)印はカラープランニングセンター作成

3.色彩調和

色彩の調和の考え方を取り入れることで、相互に好影響を及ぼし、より魅力的な色彩景観が生まれます。代表的な色彩調和の考え方として「類似色調和」「色相調和」「トーン調和」があげられます。

類似色調和(補足)

ウォームグレー系や茶系といった類似色による配色。統一感はあるが,単調になる場合もあります。

類似色調和の写真

色相調和(補足)

色相を同一あるいは類似の範囲内に設定し、トーンに変化を持たせる配色。例えば、色相を統一し明度に変化をつける方法などはこれまでの建築物でも多く使われています。

色相調和の写真

トーン調和(補足)

トーンを同一あるいは類似の範囲内に設定し、色相に変化を持たせる配色。中明度・低彩度のトーンの色ではおだやかですが、変化のある配色となります。

トーン調和の写真

(補足)
(補足)印はカラープランニングセンター作成

4.建築物等の色彩構成の考え方

地域を一色に統一することは揃った街並みとなりますが、逆に単調な印象を与えます。魅力ある色彩景観とするためには、周辺と調和した適度な変化も必要です。
建築物の外壁等に複数の色を使用する場合は、ベースカラー、アソートカラー、アクセントカラーの3つの色彩構成について、その割合や配色を検討しましょう。また、外壁に次いで大きな面積を占める屋根のルーフカラーも景観づくりにおいて重要な要素です。外壁等との調和にも配慮し、より良い景観形勢に努めましょう。
広告物については、その役割から比較的彩度の高いものが使用される傾向が強くなりますが、全体を高彩度で構成することは必ずしも効果的とはいえず、マイナスイメージにもなります。無彩色や低彩度のベースカラーに効果的なアクセントカラーを用いるなど、周辺景観と調和した色彩構成としましょう。

ベースカラー

ベースカラー

建築物の大部分を占める基本となる色。
ベースカラー控えめにすることや色調の揃った色彩で整えると街並みがまとまり、人々の活動が引き立つようになります

アソートカラー

アソートカラー

ベースカラーを補完する色。
例えば、高層の建築物の低層部分に変化をつけるために用います。

アクセントカラー

アクセントカラー

小面積で街並みに彩りを与える色。
窓枠、目地、柱、テント等に使用します。ビルなどに比べ、規模の小さい住宅地などは慎重に検討して使いたい色です。

ルーフカラー

ルーフカラー

ベースカラーに次ぐ大きな面積を占める屋根の色。
特に勾配屋根を用いる場合は、ベースカラーとの調和に配慮し、暗灰色など明るさや鮮やかさを抑えたトーンを基本としましょう。

5.色彩の誘導基準

(1)地域ごとの色彩景観

色彩は、建築物等の形態と同様に景観上重要な要素です。特に大規模な建築物等の場合は、充分な配慮が必要となります。

アクセントカラーを用いた建物1
柱やテントの支柱にアクセ
ントカラーを用い、賑わいの
演出がされています。
アクセントカラー使用による建物2
アクセントカラーの使用により
外装に表情が加わり、圧迫感が
軽減されています。そして、
その配慮内容は地域ごとの性格
により多少異なります。

1)住宅系施設

住宅は生活の場であり、くつろぎの感じれれる色彩景観が求められることから、低彩度や無彩色など落ち着いた色彩とする。アソートカラーやアクセントカラーを使用する場合は充分配慮する。

2)商業系施設

商業系地域においても低彩度を基調とするが、低層部にアソートカラーを用いて歩行者への圧迫感を軽減したり、周辺の建築物等のスカイラインと合わせることやテント等にアクセントカラーを用いて彩りを加えるなど、賑わいのある雰囲気を演出する。

3)工業系地域

工業系地域は一般的にグレー等無彩色、低彩度を基調とするが、親しみが感じられるよう温かみのある色彩も取り入れる。また、無表情になりがちな外装にリズム感を持たせるアソートカラーやアクセントカラーを用い、周辺への圧迫感を軽減する。

4)自然・歴史系地域

自然景観にあった低彩度のものをものを使用し、自然景観を阻害しないよう充分配慮する。アソートカラーやアクセントカラーを使用する際は充分検討する。

5)新市街地系地域

駅前は人が多く集まる地域拠点にふさわしい秩序ある景観づくりのために低層部と中高層部でアソートカラー、ベースカラーを使い分ける。周辺地域は、自然や昔から地域で使われている素材を活かすことやこれらと調和した色彩を選択する。

(2)近隣や自然景観との調和

トーン調和による建物
トーン調和により穏やかさの中に
個性ある街並みが形成されている。
植林やレンガを用いた壁面の写真
植林やレンガを用いた壁面が
自然景観と調和しています。

一般的に彩度の低い色や無彩色は、落ち着いた印象を与えやすいため、基調となる色彩とすることが望まれますが、さらに近隣や自然環境との色彩の調和に配慮することは色彩景観を考える上で重要な要素といえます。

1)近隣との調和

様々な色が無秩序に存在する街並みは、雑然とした印象を与えることから、類似色や類似色相等の使用により近隣との調和を図り、景観形成に努める。住宅地に隣接する商業や工業施設、工作物、広告物などは、特に彩度を低くするなど、地域の環境に配慮する。

2)自然景観との調和

田園風景、斜面緑地などの自然景観が背後にある場合は、自然素材を用いるなど調和する落ち着いた色彩とすることや、神社や昔からある地域を特徴づける歴史的建造物等の周辺では、その伝統的な建造物等に用いられている色彩を取り入れるなどの配慮をする。

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