更新日令和3(2021)年2月26日

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レジオネラ症の防止

レジオネラ症ってなに?

Q:レジオネラ症とは
A:1976年にアメリ力のフィラデルフィアのホテルで開催された在郷軍人会の参加者やホテル周辺の通行人などに原因不明の重症肺炎が集団発生し、罹患者221名のうちの29名が死亡したことが報告されました。原因は細菌による感染症でしたが、在郷軍人会のLegion(レジオン)をとって「レジオネラ症」という病名がつけられました。
レジオネラ症はレジオネラ属菌が原因で起こる感染症で、乳幼児や高齢者、病人など抵抗力の低下している人がかかりやすい傾向にあります。
レジオネラ症は、その臨床症状から肺炎型と風邪様のポンティアック熱型に大別されます。フィラデルフィアで起こった在郷軍人病は肺炎型のレジオネラ症です。
レジオネラ肺炎は、高熱、悪寒、筋肉痛、吐き気、意識障害等を主症状とする肺炎で、時として重症になる場合もあります。胸部に異常陰影が出現してからは重篤感があり、適切な治療がなされないと発病から7日以内に死亡する例があります。
ポンティアック熱はインフルエンザに似た非肺炎型熱性疾患で、悪寒、筋肉痛、発熱などが見られ、多くの患者は5日以内に無治療で回復しますが、基礎疾患を有する患者では治癒が遅れ、健忘症や集中力低下などの症状が数カ月続くことがります。死亡例の報告はありません。

Q:レジオネラ属菌とは
A:レジオネラ属菌は土壌や河川、湖沼など自然界に広く生息しています。一般に摂氏20度から摂氏50度で繁殖し、摂氏36度前後で最もよく繁殖します。菌の形態は長さ2から20ミク口ン、幅0.3~0.9ミクロン程度の細長い菌です。
レジオネラ属菌は生存・増殖するために、他の細菌や藻類などから必要な栄養分を吸収したり、アメーバなどの原虫に寄生します。

Q:レジオネラは水中で何日間くらい生きていますか。
A:レジオネラは水中でかなり長期間生残することが知られています。50日を経過してもその菌数が実質的に減少しなかった事例があります。

Q:感染源は
A:土壌や淡水に生息しているレジオネラ属菌が土ぼこりとともに空調設備のひとつである冷却塔などに入り、増殖した菌が冷却水の工アロゾル(目に見えないような細かい水滴)とともに飛散し、人の呼吸器系に侵入してレジオネラ症を起こすといわれています。
冷却塔以外には、加湿器、給湯設備、循環式浴槽、人工の滝や噴水などが感染源となる可能性もあります。

Q:予防するには
A:レジオネラ属菌は自然界に広く生息し、私たちの周辺から完全に除去することは非常に難しいです。
レジオネラ症を予防するためには、感染源でのレジオネラ属菌の増殖を防止することが重要となります。そのためには、感染源となる設備や器具の衛生的な管理が求められます。
厚生省監修新版レジオネラ症防止指針(財団法人ビル管理教育センター)より抜粋

1 給水設備におけるレジオネラ防止対策

水道水は塩素による消毒が義務づけられていることから、水道水におけるレジオネラ汚染の可能性は低い。しかしながら、簡易専用水道に該当しない一部の小規模の貯水槽などのうち維持管理が適正に行われていないために、水道水の滞留による残留塩素の消失や水温の上昇、あるいは藻類等の微生物による著しい汚染がみられる給水系統では注意が必要である。

  • 設計・施工及び維持管理に関するレジオネラ防止対策の基本となる考え方は以下のとおり。
  • 外部からのレジオネラ属菌の侵入防止
  • できるだけ水温を摂氏20度以下に維持
  • 機器及び配管内におけるスケール、スラッジ、藻類などの発生防止
  • 死水域の発生防止
  • 残留塩素の確保
  • エアロゾルを発生する機器の使用を避ける

また、「中央管理方式の空気調和設備等の維持管理及び清掃等に係る技術上の基準」(昭和57年厚生省告示第194号)(以下「厚生省告示」という。)に基づき貯水槽の清掃を行う必要がある。その際、作業者のレジオネラ汚染を防止する観点から、マスク等の防護対策をとって作業することが必要である。

さらに、建築物における衛生的環境の確保に関する法律(以下「ビル管理法」という。)に基づく水質検査項目を検査するとともに、感染因子の点数に対応したレジオネラ属菌の検査を行う必要がある。

2 給湯設備におけるレジオネラ防止対策

我が国のホテルや病院などの給湯設備では給湯温度を摂氏60度以上と高く保持し、使用時に給水と混合することにより温度を下げるため、レジオネラ汚染の問題はないと考えられていたが、省エネの気運の高まりとともに事務所ビル等で給湯温度を下げる傾向にあり、事務所ビル、病院等の約1割でレジオネラ属菌が検出されたとの報告もある。

設計・施工に関するレジオネラ防止対策の基本となる考え方は給水設備に準じるが、特に循環式の中央式給湯設備の場合には、給湯温度に留意する必要がある。

維持管理については給湯温度の適切な管理、給湯設備内における給湯水の滞留防止を念頭に維持管理をする。また、厚生省告示に準じて清掃を実施するほか、貯湯槽の清掃のみならず配管、シャワーヘッド等の適切な清掃が必要である。

さらに、ビル管理法に基づく水質検査項目を検査するとともに、感染因子の点数に対応したレジオネラ属菌の検査を行う必要がある。

3 冷却塔水におけるレジオネラ防止対策

建築物の冷却水は空調用冷凍機の冷却に用いられる。6から9月までの冷却塔の水温が摂氏15度から摂氏34度であり、また塔内で有機物質などが濃縮されるためレジオネラ属菌の増殖に好適な場所となる。冷却塔は増殖した菌を空中へ飛散させるため、レジオネラ症汚染防止の観点から最も注意を払わなければならない建築設備の一つである。

日本では、昭和62年から平成4年までに行われた調査によれば、延べ約1,400基の冷却塔のうち約6割からレジオネラ属菌が検出された。

また、平成6年8月都内の企業の研修センターにおいて屋上の冷却塔が感染源と考えられる発熱患者45名が発生したことが報告されている。

設計・施工に関するレジオネラ防止対策の基本となる考え方は以下のとおり。

  • 冷却塔の型式を角形冷却塔を採用することが望ましい。また、清掃しやすい構造とする
  • エリミネータ(気流中に含まれる液滴を取り除くための板)を強化する
  • 外気取入口は自動車の排ガス等の影響が出ないよう高所に設置し、また風向等も考慮
  • 冷却塔からのエアロゾルが飛散することから、風向等を考慮し外気取入口、居室の窓等から10メートル以上離す
  • また、維持管理については下記項目について行うことが必要である。
  • レジオネラ属菌殺菌剤の注入
  • スケール防止、腐食防止、スライム防止のための薬剤注入
  • 冷却塔の定期的な洗浄
  • 設備の定期点検
  • 感染因子の点数に対応したレジオネラ属菌の検査の実施

4 循環式浴槽におけるレジオネラ防止対策

循環式浴槽とは浴槽水を循環させ、その循環経路に粗大汚濁物を除去する装置(プレフィルタまたはヘアキャッチャ)を設けるとともに、ろ材を充填したろ過器を設置して浴槽水を浄化し、水の消費量と排出量を抑制するものである。

循環式浴槽では、湯が閉鎖系内を循環しているため、これらの微生物が生物浄化方式のろ材表面及びその内部、浴槽、管路系の内壁等に定着し、各種微生物が入浴者の体表等に由来する有機物質を栄養源として増殖する。

平成10年5月には都内特別養護老人ホームにおいて生物浄化方式の循環式浴槽を感染源とするレジオネラ症患者が12例発生し、うち1例がレジオネラ肺炎で死亡したほか、平成11年6月愛知県において自宅の24時間風呂で水中分娩で出産した新生児がレジオネラ属菌が原因と疑われる肺膿瘍で死亡するなど、循環式浴槽はレジオネラ症の感染源となっている。

このため、汚染と感染を防止するためには、循環式浴槽の使用に当たって、以下の点に留意して設計、設置、及び維持管理を行う必要がある。

  • 設定段階から適切な衛生管理が可能となるよう配慮
  • 製造者等はシステム全体の安全性に関する管理マニュアルを作成し、維持管理者に提示
  • 浴槽水をシャワー、打たせ湯などに使用しない
  • 気泡ジェット等のエアロゾル発生器具の使用を避ける
  • 塩素剤による浴槽水の消毒を行う場合は、遊離残留塩素濃度を0.2から0.4ミリグラム毎リットルを1日2時間以上保つ
  • 浴槽の換水は、衛生管理の水準を保つよう定期的に行うことが望ましい
  • 浴槽の全換水を行うときは、塩素剤による洗浄・消毒を行った後に、浴槽の清掃を実施する。ろ過器を設置した浴槽の場合には、ろ過装置、配管を含めた洗浄、消毒を行う。
  • 浴槽内部、ろ過器等の毛髪、あか及び生物膜の有無を定期的に点検、除去
  • レジオネラ属菌の検査を感染因子の点数を目安に定期的に実施

なお、家庭で使用される循環式浴槽(いわゆる24時間風呂)についても、上記を踏まえ維持管理等を行う必要がある。

5 加湿器におけるレジオネラ防止対策

加湿器のうちレジオネラ症の原因となる可能性のあるものは、超音波方式と回転霧化・遠心噴霧の2方式である。
そのうち、ビル空調機に組み込まれている加湿器については、そこで使用される水が水道水質基準に準じることとされているため、使用期間中レジオネラ属菌による汚染が起こることは少ないと考えられるが、使用開始時及び終了時には水抜き及び清掃を確実に行う必要がある。
家庭用の加湿器については、タンクの汚染が起こりやすく、長期間水を貯めたまま放置される可能性が高く、またタンク内に生成される生物膜も保持されるため危険である。平成8年には、病院の新生児室において家庭用の超音波加湿器が感染源と思われるレジオネラ症が発生し、1名死亡した。
加湿器の使用の際には、タンクの内面を絶えず洗浄して清潔にしておくことが安全上重要である。

6 水景施設におけるレジオネラ防止対策

水景施設とは、噴水、池などの人工的に造られた水環境をいう。近年では、このような施設がホテルのロビー、地下街等屋内に設置される場合も多く、レジオネラ属菌の汚染が報告されている。
汚染防止対策としては、エアロゾルがあまり発生しない水景施設を選択するとともに、風向き等に注意することが必要である

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