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名戸ヶ谷ビオトープ
柏市では、湧水を水源とした水田や湿地を利用して、多様な生きものの生息空間を保全するビオトープを名戸ヶ谷に整備しています。
名戸ヶ谷ビオトープ
名戸ヶ谷ビオトープは、名戸ヶ谷周辺地域に残された谷津の一部と湧水を活用して整備することで、都市化が進んだ柏市において、かつてこの地域に存在した風景を現代に残す自然あふれる湿地環境となっています。このような環境の保全は、湿地を好む生きものが生息する場を残していくことだけではなく、その生きものを捕食するために別の生きものが来訪するといった生態系の循環を生み出すことも目的としています。
このビオトープは、地権者や近隣住民、市から管理運営を委託している市民団体「名戸ヶ谷ビオトープを育てる会」など、多くの市民の方々から多大なるご協力をいただくことで維持されています。
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名戸ヶ谷ビオトープの活用
名戸ヶ谷ビオトープでは、区域を水田生態の復元ゾーン(水田エリア)と水辺の生きものゾーン(湿地エリア)に分け、それぞれ別の方法で生きものの生息空間を形成しています。ここでは、その環境の特性を活かして、稲作の体験作業や自然観察会などを実施して自然環境への理解を深める場として活用しています。
水田生態の復元ゾーン(水田エリア)
水田生態の復元ゾーンは、水田エリアとして、農機具を使わない手作業による稲作を行っており、名戸ヶ谷小学校の稲作学習の授業にも利用しています。
名戸ヶ谷ビオトープの稲作の特徴として、冬季でも田んぼから水を抜かず、年間をとおして水を張ることによって、乾田化を防止して、水生生物が生息し続けることができる環境を維持しています。また、除草剤を含む農薬は一切使わず、肥料も全て有機肥料を使用する典型的な有機農法を実践することで、生きものが生息しやすい環境を作っています。
水辺の生きものゾーン(湿地エリア)
水辺の生きものゾーンは、湿地エリアとして,ヨシやススキなどを一定の管理のもとに生育させることによって湿地環境を保全したり、生きものが隠れることができる場所を作るなどによって、生きものの生息空間として整備しています。
名戸ヶ谷ビオトープで見られる生きものたち
名戸ヶ谷ビオトープでは、年間を通して様々な動物や植物を観察することができます。
ここでは、名戸ヶ谷ビオトープで過去に観察された生きものの一部を紹介します。
(文章協力 名戸ヶ谷ビオトープを育てる会 篠崎氏、山村氏)
鳥
ダイサギ(千葉県レッドデータブック(2011) 要保護生物)
全長約90センチメートルの白いサギの中では最大の種で、夏鳥として飛来する美しい鳥です。
首が長く、水深の深いところで魚やカエルなどを採ることができます。
名戸ヶ谷ビオトープでは、冬季は少ないが、年間を通して観察することができます。
コサギ(千葉県レッドデータブック(2011) 要保護生物)
全長約60センチメートルで、国内の白いサギの仲間では最も小さく、黒い脚と黄色い足指が特徴の鳥です。
他のサギ類と一緒に集団で繁殖地を形成することが多く、通常は一夫一婦制で生息しています。
名戸ヶ谷ビオトープでは、冬季は少なく、ダイサギよりも機会は減りますが、年間を通して観察することができます。
カワセミ(千葉県レッドデータブック(2011) 要保護生物)
カワセミの美しさは何といっても輝くような青い色です。これは、カワセミが青い色素を持っているからではなく、羽の繊細な層に光が反射や屈折して人の目に青く映る構造色によるものだといわれています。
名戸ヶ谷ビオトープでは、年間を通し観察されており、池や水路の周辺で見られることが多いです。
クイナ(千葉県レッドデータブック(2011) 消息不明・絶滅生物)
日本全国に分布し、北海道と東北の一部では、夏鳥として繁殖し、本州中部以南では、10月から4月に観察できる冬鳥となっています。
名戸ヶ谷ビオトープでは、稲の刈り取られた後の水田を早足で歩いているのを確認されたことがあります。
カルガモ
日本では1年中観察することができる数少ないカモです。
他のカモと違い、雌雄でほぼ同じで色をしています。
クモ
コガネグモ(千葉県レッドデータブック(2011) 要保護生物)
体長は、雄で5ミリメートルから6ミリメートル、雌で2センチメートルから2.5センチメートルで、雌には腹部に3本ずつの黄帯と黒帯が交互に並んでいます。
人家近くに大きな垂直円網を張り、中央に白色の×字状の隠れ帯を掛けています。
名戸ケ谷ビオトープでは、水田生態の復元ゾーンに多く見られます。
オニグモ(千葉県レッドデータブック(2011) 一般保護生物)
ビオトープや住宅の周りに、大型の円網を張り生息をしている身近なクモです。
成体は6月から10月に見られ、体長2センチメートルから3センチメートルになります。
夕方頃、垂直に大きな網を張るが、夜明けとともに網を畳む特徴も持っています。
チョウ
コムラサキ(千葉県レッドデータブック(2011) 要保護生物)
北海道から九州にかけて観察することができる、橙と紫の色が美しい蝶です。
寒冷地では年1回7月から8月頃、暖地では年2回、5月から秋頃までに発生します。
クヌギ類や柳の樹液に集まる習性があり、名戸ケ谷ビオトープでは、作業小屋周辺や水辺の生きものゾーンの柳の下で観察できます。
カエル
シュレーゲルアオガエル(千葉県レッドデータブック(2011) 一般保護生物)
体長は雄で3.5センチメートルから4.5センチメートル、雌で4.5センチメートルから6.0センチメートルあり、北海道を除く日本各地で観察することができます。
腹側は白く、背中側は一様に緑色をしており、一見するとアマガエルにも似ていますが、目の周辺に黒色斑が無いという違いがあります。
名戸ケ谷ビオトープでは、水田の畔などの地中や木道の下などに産卵しているのが確認できます。
トウキョウダルマガエル(千葉県レッドデータブック(2011) 重要保護生物)
東北地方から中部地方に生息する日本固有種で、名戸ケ谷ビオトープでは水田や池に生息し、産卵数は1度に800から2000個といわれています。東海地方から近畿地方にかけては「ナゴヤダルマガエル」と呼ばれる近縁種も存在します。
また、トノサマガエルによく似ているが、黒色斑が丸くなっているという違いがあります。
トカゲ
ニホンカナヘビ(千葉県レッドデータブック(2011) 一般保護生物)
ニホントカゲとともに、名戸ケ谷ビオトープで最も多くみられるトカゲ類です。広く日本全国に分布しており身近に見ることができます。
ニホントカゲと混同されることも多いですが、比較すると、尾が長く、背面の鱗も乾燥したような印象を与えます。
名戸ヶ谷ビオトープでは、春先に日当たりの良いところで日光浴しているところを見かけることができます。
春の花
オオジシバリ
キク科。3月から4月頃に花が咲きます。
花はタンポポに似ていますが、葉には大きな切れ込みがありません。明るいあぜ道に咲いています。
ノミノフスマ
ナデシコ科。4月頃に花が咲きます。
花は10~30センチメートル位の高さで、あぜ道に広がるように咲きます。
名前は小さな葉をノミのふすま(掛け布団)に例えたものです。
ケキツネノボタン
キンポウゲ科。3月から5月頃に花が咲きます。
黄色い光沢のある花が特徴ですが、毒を持っているので注意が必要です。
あぜ道にたくさん見られます。
ヒメヘビイチゴ
バラ科。4月から5月頃に花が咲きます。
黄色い5弁の花はヘビイチゴの花より小さく、ヘビイチゴのような赤い実は付けません。
希少種なのでビオトープでは大切に保護しています。
タネツケバナ
アブラナ科。3月から4月頃に花が咲きます。
白い小さな花をたくさんつけ細長い実が目立ちます。あぜ道や水路に咲いています。
オヘビイチゴ
バラ科。4月から5月頃に花が咲きます。
ヘビイチゴより花が大きく葉は小葉が5枚で手のひらのように見えます。
イ
イグサ科。5月から6月頃に花が咲きます。
細い茎が地下茎からまっすぐに伸びており、花は茎の上の方に塊になって付いています。
水田の端などで大きな株になっています。畳表の材料になるのはイの変種です。
ネジバナ
ラン科。6月頃に花が咲きます。
鮮やかな桃色の小さな花が、らせん状についています。花が咲くのころには葉は無くなっています。
ウキヤガラ
カヤツリグサ科。5月から6月頃に花が咲きます。
1メートルぐらいの高さの茎の先に茶色い花を付けます。湿地のヨシに混ざって生えています。
ショウブ
サトイモ科。4月から5月頃に花が咲きます。
茎の途中に黄緑色に見えるのが花穂です。池の中に生えています。
葉には良い香りがあり5月の節句のショウブ湯に使われます。
チガヤ
イネ科。5月から6月頃に花が咲きます。
明るい湿地に広く群落になって生えています。白銀色の花穂を出します。
名戸ヶ谷ビオトープへの行き方
柏駅東口より東武バス(5番乗り場)「名戸ヶ谷行き」「新柏行き」で「名戸ヶ谷」下車すぐ
(補足)駐車場はございませんので、公共交通機関をご利用ください。
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