更新日令和4(2022)年12月28日

ページID32623

ここから本文です。

令和4年度第2回柏市在宅医療・介護多職種連携協議会会議録

1 開催日時(Webと参集のハイブリッド形式)

令和4年10月25日(火曜日)19時

2 名簿

  1. 委員
    柏市医師会長瀬会長(座長)・松倉副会長・織田理事・古賀理事・平野顧問、千葉県医師会金江副会長、柏歯科医師会中山会長・松岡専務理事、柏市薬剤師会齊藤会長・大塚副会長、柏市訪問看護ステーション連絡会杉山会長・三浦副会長・土屋副会長、柏市介護支援専門員協議会齊藤会長・狩野副会長、千葉県医療ソーシャルワーカー協会堀田理事、柏市在宅リハビリテーション連絡会橋本会長・飯田副会長、認定栄養ケア・ステーション柏市連絡協議会中村会長・清水副会長・土橋副会長、柏市介護サービス事業者協議会横尾会長・柴田理事・曽根委員、柏北部地域包括支援センター山本センター長、光ケ丘地域包括支援センター神津センター長、柏市社会福祉協議会中川会長、柏市ふるさと協議会連合会佐藤副会長、東京大学高齢社会総合研究機構飯島機構長、辻客員研究員、千葉大学医学部附属病院患者支援部部長竹内特任准教授、医療法人社団鼎会三和病院高林顧問、都市再生機構東日本賃貸住宅本部ストック事業推進部西村担当部長
  2. 行政・事務局
    高橋保健福祉部長、橋本福祉政策課長、宮本高齢者支援課長、恒岡地域包括支援課長、恒岡保健所次長兼総務企画課長、大滝保険年金課長、鞍橋救急課長(事務局/地域医療推進課)梅澤課長、野口主幹、飯塚専門監、平井副主幹、坂本副主幹、池畑主任、坂本主事、新名主事、吉田主事、野﨑主事

3 議事項目

  1. 各部会の取り組みについて
  2. 本人と家族の意向に沿った多職種連携の推進について

4 配付資料

5 議事経過

議事録のPDF版はこちら(PDF:1,798KB)

1 開会

事務局(平野委員、清水委員、佐藤委員欠席の旨報告)

2 議事(1) 各部会の取り組みについて

ア:多職種連携・情報共有システム部会

事務局(資料1に沿って説明)

古賀委員(部会長)柏モデルのルールも作成から時間が経っていますので、ルールの見直しが必要な時期だと考えています。以前の協議会でも話題になったように、しっかりと症例を踏まえ、そこからルールの種を見つけてルール化していくことを考えています。工程としては今年と来年にかけて、1つ1つ丁寧に見直していこうと思っています。部会員を3つのグループに分け、多職種で検討していきます。

イ:研修部会

事務局(資料2に沿って説明)

松倉委員(部会長)昨年1回だけ試行的に行った顔会議を、今年はコロナ前とほぼ同じ回数開催します。ただ、これまでは大勢で集まって、盛り上がっていた形からweb形式になりました。3年ぶりにルールを変えて動いていくところです。参集形式での全体会議では、話している後ろからも話が聞こえてくる楽しさがありましたが、逆にwebでは、閉じた空間の中で5・6人が密に話し合う姿が見られよかったと思います。3圏域だったエリア会議を4圏域に増やしました。今後、在宅医療推進の中心になって、将来を担ってくださる先生方がエリア座長をやってくださいます。また、ホワイトボード等の新しい機能を使うにあたり、事務局が動画作成して、みんながわかるようにしてくださり、柏の事務局はすごいなと感心したところです。資料には書いていませんが、意思決定支援についても、アーカイブ的な動画コンテンツを作る取り組みをしてくださっています。研修部会の副部会長であるワーファさんにも協力いただき、実際の現場の声を反映してくださっているのでありがたいと思っています。こうしたことを引き続き取り組み、学会も含めて日本の中でも共有していければ素晴らしいと思っています。

ウ:啓発・広報部会

事務局(資料3に沿って説明)

織田委員(部会長)啓発・広報部会の取り組みは、前回の協議会でもお伝えした通り、現時点で在宅医療が必要な当事者というよりも、今後、必要になる若い世代の柏市民の皆様に、在宅医療を知っていただきたいという取り組みをしています。その1つとして、市内女子バスケットチームに所属する渡嘉敷選手にインタビューをして、在宅医療情報誌「わがや」に掲載しております。取り組みのもう1つの柱は、スープレシピの企画になります。市民の皆様にスープレシピを考える等のイベントを通して、在宅医療に無関心の方、もしくは、これから必要になる方に届けていきたいと、部会員の皆さんが非常に力を入れている部分になりまして、、具体的に計画しているところです。

長瀬座長渡嘉敷選手へのインタビューをしたとのことですが、「わがや」20号の反響はどうでしたか?

事務局応募件数は今手元にないのですが、普段、手に取っていただいていないと思われる若い方々からの反響がありました。

長瀬座長ありがとうございます。

議事1全体質疑

三浦委員多職種連携・情報共有システム部会について質問させていただきます。ルールの種を見つけるために、多くの症例をグループに分かれて検討されるということは大変重要だと思います。一方で、大変な作業でもあるとお伺いしました。ここで検討された内容について、今後、どのように広く皆様に知っていただく機会を設ける予定になっているのか、教えていただけたらと思います。

事務局ご質問いただきありがとうございます。最終的には、柏モデルガイドブックの中にある、多職種連携のルールを改定する方向で進めています。協議会でもご報告し、皆様に共有させていただきたいと考えています。

長瀬座長ありがとうございます。松倉委員どうぞ。

松倉委員今のご質問に関連して、このガイドブックを在宅医療介護関係者、特に病院ですが、最近見ているのかなと思う部分があります。病院から退院する時のルールを決めていく中で、病院の医師がわかっていない、病院がちゃんとやらなければいけないというお叱りを受けながら、ガイドブックを作った記憶があります。東大も参加して喧々諤々やった中で、この種を見つけていきました。だいぶ時間が経って忘れているので、これでは在宅に行く患者さんに迷惑がかかるということもあり、当院の看護部を中心に話し合いをして、在宅の古田先生にwebで参加していただきました。その際に、病院から退院する時には「こういうことをやっておいてほしい」と在宅の立場からお聞きして、すごく勉強になりました。一番印象的な言葉は、「在宅に行ったときにどういう風になるのかを、ちゃんと想像力を働かせてやってください。」と言われ、さすが古田先生だなと思いました。病院にもぜひこのガイドブックを浸透させることを目標にして、声をかけてルールの検討の中に入れていただけるとありがたいと思います。

事務局部会でも病院等を含めた形でどう進めていくか検討いたします。

古賀委員以前と違う形で病院とも連携は進んでいると個人的に感じますが、その中でもまだ足りないものを探していこうという話で進んでいます。確かに、今の部会には病院の方々がいらっしゃらないので、参加の方法等を松倉委員からアドバイスいただけないでしょうか。

松倉委員基本的には、先生方を中心とした多職種の中で検討を進めていくことにはなると思うのですが、いくつかの病院の医師・ソーシャルワーカー・看護師が参加するような機会を設けていただけると、学びにもなりますし大変ありがたいと思います。

古賀委員ありがとうございます。事務局とも相談して、そうした機会を設けていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

2議事(2)本人と家族の意向に沿った多職種連携の推進について

事務局(資料4に沿って説明)

長瀬座長ありがとうございます。事務局の方で検討する方向をまとめてくださいました。テーマ達成に向けたポイントを設定するために意見を伺います。事前にいただきましたご意見を参考の上、議論を進めていきます。質疑につきましては、最後にまとめてお伺いします。まず初めに、問1:本人の意向に沿った支援をする上で大切にしていること。を、4つの場面毎にお伺いします。まずは入退院支援の場面です。在宅リハビリテーション連絡会の橋本委員お願いします。

橋本委員病院で勤めていた経験もありますので、在宅と両方の立場から意見を述べさせていただきます。入院側としては、患者さんを診ていく中で病気や状態像はある程度わかりますが、どのような生活環境で暮らされ、どのようなこだわりを持っているか、どのような家族の支援によって生活しているのかは、なかなか見えにくい部分です。そこをきちんと伝える情報提供をしています。退院時には、入院中からできるだけ患者さんの状態を把握するようにして、スムーズに退院後の生活を開始できるような環境調整等をケアマネジャーをはじめ、連携して準備する支援を心がけています。

長瀬座長ありがとうございます。続きまして、千葉県医療ソーシャルワーカー協会の堀田委員お願いします。

堀田委員基本的には意思決定支援ガイドラインに基づいて、本人の能力に応じた意思決定を尊重しています。意思決定が難しい方に関しては、家族・親族の推定同意を確認し、身寄りがない方であればケアチームで協議したりしています。また、推定同意に至る上で、在宅で過ごしていた際の支援者の方々と、情報共有できる場面を作ることを大事にしています。患者さんからすると、入院によって環境が突然変わってしまうので、一時的な混乱や判断能力の低下は、当然起こりうるものと認識しています。そのため、他職種からその場で意思決定に準ずる判断ができないという話を聞いた場合でも、直接本人と話をして、どう考えているのか確認するようにしています。また、コロナ禍での面会制限が大きく響いており、面会制限がない時には、ご家族・知人と意思決定に準ずる話し合いができていましたが、限られた時間でリモートの中で話をしていくのは、かなりハイレベルな話になってしまいます。そうした状況下ですので、間に入ってうまく話ができる環境を作ることに取り組んでいます。

長瀬座長ありがとうございます。コロナ禍で意思決定に支障が出ているという情報を共有いただきました。引き続きまして、日常の療養支援の場面に移ります。歯科医師会の中山委員お願いします。

中山委員大切にしていることは大きく2つあります。1つ目は情報提供、2つ目はご家族等身の回りを世話している方とのコミュニケーションです。ご本人の望みが、在宅医療・介護をしていく上で、ベストだといえない場合があると思います。そういう際には情報を提供して、ベターな方法を選択できるよう、本人に寄り添い納得できるような説明を心がけています。この説明には、今後起こりうることの説明と、本人が思っている以上に時間を費やしてしまう支援に関する説明があります。具体的には食事ができない、入れ歯が合わない等が挙げられますが、入れ歯は闇雲に新しく作るものではなく、修理すれば簡単に治る場合もありますので、その選択肢を提供するということです。また、同時にご家族等ご本人の身の回りの方とコミュニケーションをとってご理解いただくことも重要だと考えています。

長瀬座長ありがとうございます。続きまして、介護サービス事業者協議会の曽根委員お願いします。

曽根委員本人の意向については、日々関わりの中で聞いています。中には認知症で希望を言えない方の場合には、日常の行動の中から本人がどういうことを求めているのかを推測し、考えています。本人とご家族の意見がすれ違っている場合には、ご本人はこういう風に考えているのではないかと説明して、ご家族に想像してもらう形をとっています。

長瀬座長ありがとうございます。必ずしも本人と家族の意見が一致しているというわけではないと思いますので、その中でご苦労されながらやっていただいているのだと思います。続きまして、急変時の対応の中でのお話をいただきたいと思います。介護支援専門員協議会の狩野委員お願いします。

狩野委員急変の可能性が予測できる場合については、予め救急搬送の可能性やファーストコール等の確認をしております。不測の事態については、その場の状況で対応するしかありませんが、なるべく速やかに対応できるように、ケアマネジャーとして初回面談の際に、少なくとも2、3人のご家族の連絡先を伺い、急変時の際にはご家族と連絡を取りながら、その場の状況に合わせた対応をするように努めております。また、携帯電話を常に携帯している事や、ご利用者様の情報を確認できる端末機器を備えるよう努めています。

長瀬座長ありがとうございます。続きまして、看取りの場面について伺います。訪問看護ステーション連絡会の杉山委員お願いします。

杉山委員看取り目的で退院されてきたがん末期の方はもちろん、難病で呼吸器を選択するか悩んでいる方、心不全を繰り返す方、ご高齢で衰弱していく方等に対して、訪問中では死ぬことの話題を避けずに、最期の場所について話をします。自分の病状をどのように受けとめているか、やがて来る死をどこで迎えようとしているか、どのようにその考えに至ったか、家族と共有しているか等、タブー視せずに話すようにしています。その思いに我々はどういう支援ができるかも伝えています。その気持ちは変化するもので、これから何度も死ぬことについてどう考えているかをお聞きするし、変化してもよいことで、それは当然であることを伝えています。本当は死について話したい方が多いように感じています。話をすることで、本人もご家族の意思も固まってくると思いますので、なるべく揃ったところで、死について話すようにしています。死の話が出た時はチャンスだと思って、深掘りするよう心がけています。

長瀬座長ありがとうございます。死の話をするのは、非常に大変だと思うのですが、どのように話題を切り出すのでしょうか。

杉山委員看取り目的で自宅に帰ってきた方については、最初からはっきりと「看取り目的で帰ってきたのですね。みなさんどう思われていますか。」という話をしやすいのですが、長く関わって徐々に徐々にという方の場合は、タイミングを図ります。緩和ケアの研修等で学ぶこともありますが、長年関わっているとご家族の人となりも知っているので、勘と言いますか、ここだという場面でズバっと聞く場面もあります。

長瀬座長ありがとうございます。本人が理解していても、家族が違う感覚を持っている場合もあると思います。なるべく一緒の場でやるということなのでしょうか。

杉山委員意図的に別々の場でやることもありますが、そこでご本人の気持ちを聞ければ、あえてご家族にその気持ちをお伝えしますし、なるべく一緒に話をする機会を増やしています。

長瀬座長ありがとうございます。では、4つの場面全体を通して大事にしていることを医師会の古賀委員に伺います。

古賀委員座長のおっしゃるとおり、死についての話し合いは非常に難しいです。私が気にかけていることは「HopetheBestPreparetheWorst」です。まずどう過ごしたいかの希望を聞きます。同時に状態が悪くなった時のことをどう考えているかも聞きます。死についてストレートに話をするより、患者さんに動けない場面のことを具体的に話した上で、どうしていくか話し合うことが多いです。話を戻しますが、私自身が在宅医療の現場で、本人の意向に沿った支援をする中で大事にしていることが3つあります。1番目は、在宅医療導入時に行っていることです。先ほど申し上げたようなお話を本人・家族がいる場所で、本人の顔を見て話をして、家族には傍で見てもらっています。ご家族が時々横から「そんなこと言っても」と入ってくる場合もありますが、看護師の方に「今、本人が話しているので」と、ご本人にできるだけ多く思っていることを話していただくことがポイントです。ご本人が本当に希望していることを聞いた上で、悪くなったときにはどうしたいかを伺います。これが、まだご本人も比較的元気で過ごしている在宅医療導入時にすることです。2番目にお話しをするタイミングは、ご本人がいざ動けなくなった時、家族の介護負担が増えてきている時で、ここはキーポイントだと思います。ご本人はこのまま家で過ごしたいけれど、家族はこのまま介護負担が大きくなったら困ってしまうので、改めてその時点での希望や今後の見通し、病識も含めて話し合いをします。3番目にお話をするタイミングとしては、看取りの場面で、もうご本人は意識が徐々になくなって、寝ている時間が多くなってきているタイミングで、ご家族に「このままで大丈夫ですか、或いは病院に行きますか」等、どうしていくかのお話をします。「ご本人が一番初めの時は、こうおっしゃっていましたよね」「今までこんな話をしてきましたよね」ということを重ねてお話しながら、ご家族の意向を聞いて、後悔のないように最期までご本人を看ていけるかということを意識してやっています。また、ご本人に準備ができているかどうかも非常に大事なことで、準備ができていないご本人・ご家族に対しては、準備ができるまで待ちます。無理矢理話しをさせることは、本当に侵襲になってしまうので「こういうことを考えることが必要かもしれませんね」と言いながら、無理せずに引くとこは引くことが大事だと思います。今までの話は、がんの方が中心ですが、非ガンの方、例えばALSで呼吸器をつけるのか、胃ろうをつけるのかといった意思決定支援も非常に大事です。以前に多職種の方に集まっていただいて、本人の希望を聞いたうえで、呼吸器をつけることをどう思うか等話し合いました。多職種で話し合った上で、ご本人が最終的に決められるよう、場面づくりをしていくことも意識しています。疾患によって、関わり方が全然違います。ご本人の意向をできるだけ大事にするような関わりを、多職種の皆さんと一緒に普段から行っています。

長瀬座長ありがとうございます。事前意見含め委員の皆さんから多くのご意見をいただき、意向の確認、情報の提供の仕方、普段のコミュニケーションの取り方等、参考になる意見が多くありました。ありがとうございました。ここでご質問、ご意見があればお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。無いようですので、先に進めさせていただきます。続きまして、問2:本人の意向に沿った支援を多職種で実現していく上での難しさ。について、お伺いしたいと思います。こちらも4つの場面に分けてお一人ずつお伺いします。まず入退院支援について、竹内委員お願いします。

竹内委員高度急性期病院の患者支援部門は、非常に大きな役割を果たさなければいけません。最近の状況としては、コロナ禍前後で在院期間が約2日間短くなり10日台になっています。その間に人の気持ちが熟すことはありえないわけです。そうした中で、様々な病気を背負っておられる方、或いは経済的に困窮していたり、支援者がいなかったりという環境の中で暮らしている方が入院してこられます。千葉大学病院の患者支援部門は、70人のスタッフがいる巨大な組織ですが、それでも、1人1人の患者さんへのご支援を完全にやり切ることができなくなっている状況にあります。高度急性期病院は、元々、地域連携パスというような脳卒中、がん等の患者さんのための計画を立てるという認識があります。千葉県では、比較的回復期リハビリテーション等が頑張ってくれていますが、それでも高度急性期病院が様々な調整をやらなければいけません。それと同じような考え方で、地域包括ケアに関連した様々な調整も、高度急性期病院が担っている部分が相当あるのではないかと思います。それがいよいよ限界にきています。「大学病院はここまでやってくれれば、ここから先は引き取ります。」と、役割分担を明確にしてくれる医療機関や事業所が出てきています。その一方で、相変わらず大学病院に丸投げというような所もあります。そういう意味で、特に地域包括ケアや在宅医療に繋げていく時には、地域の方々が大学病院でおこなう調整以上のことが非常に大切になることをしみじみ感じている一方で、なかなかそういった体制を作ることが難しく日々悶々としています。

長瀬座長ありがとうございます。大変な状況がある中で、患者さんの生活を守っていただいていることがわかりました。続きまして、日常の療養支援について、介護支援専門員協議会の齊藤委員お願いします。

齊藤委員事前意見では、専門職が考える支援と、本人・家族が希望する支援に違いがあると書かせていただきました。専門職は連携ができていますが、本人・家族が置き去りになってしまっていることがあると感じます。専門職が利用者の方のマイナスな所を見て、どうやって埋めてあげようかという支援をして、本人の意向が見えてこない程に頑張りすぎてしまっていることがあります。また、利用者の方は慣れてくると、どの専門職の人に意向や希望を言えば、聞いてくれるのかがわかってくるので、どうしても各事業所間で情報の誤差が出てきてしまいます。それをスピードが追いつかずに共有できないというようなことがあり、みんなで一つのニーズを支援していくことが難しいと感じました。

長瀬座長ありがとうございます。今のお話をお伺いできてとてもよかったです。どうしてもプロ意識が働けば働く程、そういうことが起こりやすくなってしまうのだと思います。

今回のテーマを意識した中でも、とても大事なことだと思いました。続きまして、急変時の対応について、地域包括支援センターの神津委員お願いします。

神津委員私たち地域包括支援センターは、在宅ケアの中ではケアチームのコーディネーターとして役割を果たす場面が多いです。そうした立場だからこそ感じやすいのかもしれませんが、職種間のツールそのもの、考え方の指標、倫理規範の部分の違いに関して、どう違うのか相互理解する場面が少ないと感じています。それが結果として、対応の難しさや支援の違いを生んでいるのではないかと思います。また、他のご意見でもあったように、連携の取りにくさ、または取れていても何かすれ違ってしまう等の現状、問題点、課題を生んでいるのではないかと感じます。もしかするとその人の生き方、感受性の違い等、仕方ない面も大きいかもしれませんが、その違いを理解した上で、できるだけ多くのケアチームの方々が場数を多く踏む、ともにフィードバックを受ける、という場面を今後、意図的に設けていくことを考えなければいけないと思いますし、増えていけばいいなと現場では感じています。

長瀬座長ありがとうございます。働く方たちがそれぞれの考え方をお互い知って、顔の見える関係を常に持って、そして、症例ごとの検討ができる体制があるといいということだと思います。とてもいい意見ありがとうございます。それでは最後に、看取りについて訪問看護ステーション連絡会三浦委員にお伺いします。

三浦委員看取りに向けた本人の意向を聞き取った上でも、病状の変化があって思いに揺れが生じたり、ご家族の思いや支援体制の状態によって、意志が変化してきたりしたところで、どう支援していくかという難しさを感じます。支援側から、このまま継続できないのではないか、本人・ご家族が大変なのではないかという考えが出てきてしまった場合、それぞれの職種間で、共有ができないと段々ちぐはぐになってしまうことが生じうるところに困難さを感じることがあります。看取りにむけて病状の変化の部分で言えば、医療職が他職種のところにも、どのような状況が起きているのか、どのような状態になっているのか、今後どのようなことが予測されるのかを、本人・家族含めて介護の方々にもご説明をさせていただきます。支援する方法、変化が起きた時の連絡体制、連携体制を共有して、ご本人の思いをできるだけ大切にして、実現していく、支えていくところに繋げていくことが必要なのではないかと思います。日々変化する中で、なかなか情報共有がスムーズにいかない場面もあり、難しいと思うところがあります。電話でもFAXでも、カシワニネットでも使える手段を使って、密に連携がとれるといいなと常日頃思っています。

長瀬座長ありがとうございます。日々本人も家族も気持ちが揺れる中で、それを多職種で共有できるような形がとれるといいという話だったと思います。また、ここまでのところでは、家族と多職種の考え方のズレ、多職種間でのズレというお話でした。この辺の情報共有をどうしていくか、今後検討が必要なのかもしれないと思いました。次は視点を変えまして、問3に移ります。「もしみなさんやみなさんの家族が医療・介護を受けるとしたら、支援者に大切にしてほしいこと」についてエピソードも含めて教えていただきたいと思います。まずは、「どう過ごしたいか聞いて欲しい」という意見がありました。訪問看護ステーション連絡会の土屋委員お願いします。

土屋委員利用者の思い、どう過ごしたいかを本人・家族・支援者でしっかり話したうえで、考えていくことが大事だと思っています。祖母が脳梗塞で病院に入院した際、リハビリを進める中で、もう一歩で自宅に帰れる状態になりましたが、利用期間の壁があって、その先に繋がっていかなかったことがありました。祖母は、やる気があってリハビリに取り組んでいましたが、施設に入った際には「もう駄目なんだ」という表情に変わってしまったところが悲しくもありました。そういうこともあり、支援者含めみんなが話せる環境が大事だと思いました。一方で祖父は、亡くなる前日まで趣味をしていて、その帰りにドクターヘリで病院まで運んでいただき、痛みをとってそのまま亡くなりました。祖父の希望をしっかりと酌んだうえで、支援していただきました。そういうこともあり、いかに支援者と家族が話せる場を作るかが大事だと思いました。

長瀬座長ありがとうございます。少し通信が悪く、聞き取りづらい場面があったので補足させていただきます。土屋委員からは、祖母の思いが叶わなかった経験から、利用者の思いやどう過ごしたいかを聞いてほしいというご意見をいただいていました。続きまして、しっかりとした見通しとアドバイスが欲しいというご意見をいただいております。辻委員お願いします。

辻委員私はまだ元気ですので、在宅医療そのものを経験したことはないのですが、そういう観点からご意見を言わせていただきます。私はいわゆる治る病気で入院をした経験があります。患者の立場から言いますと、まず自分の病状についてきちんと説明を受ける。これは絶対的に必要だと思います。もちろん認知症で判断できないという方の場合は、より複雑ですが、逆に言えばできる限りいい状態の時から、本人の状態を正確に説明する。或いはその時に、悪くなったらこうなっていくということをきちんと教えてくださることが、本人の心づもり、或いは納得に対して、私は決定的に重要だと感じています。これには、医師が最も重要な役割を担います。しかし、看取りまでとなれば、医師以外の多職種も関わります。医師と多職種がどう変化するのかについて共有して、きちんとした認識を持ったうえで、本人・家族に説明することをスタートポイントにすることは大事だと感じています。それがあって初めて信頼関係ができ、初めて患者が本音を言えるようになります。先ほど齊藤委員から、本人・家族は、どの人だったら本音を言っても大丈夫かを見ているという話がありましたが、その通りです。信頼関係があって初めて本音が出るということです。それから1老人として、医療に求めることは、まず治してほしい。それから辛い状態を楽にして欲しい。これは絶対的要請です。一番それが求められているのは入院中の治療時であって、治るためにはこれはもう我慢しないとしょうがないとある意味ではそう思っています。しかし、慢性期に入って家に帰れば、我慢するために家に帰るのではなく、自分がほっとするために家に帰ります。従って、痛みをとる、辛さをとることは医療の最低限の仕事であって、むしろどうしたら、本人が嬉しい、楽しい、よかった等の気持ちを感じれるようになるのかを一緒に考えていただきたい。おそらく在宅療養は、知らないことがいっぱいで本人も家族も不安です。そういう中で、本人がほっとする、喜ぶ、安心するという一歩踏み込んだ本人の欲求を踏まえて対応を考えるという力を持っていただけたらありがたいなと思います。症状が悪くなるので、これはいけません、あれはいけませんと言うのが医療の鉄則ですが、治らない人にそれを繰り返しても疲れてしまいます。ですので、客観的な状況をよく説明した上で、どうしたら嬉しいことがあるのか、辛いことに代替する喜びがあるのかを一緒に考えてくださるのが、非常に大事なんじゃないかと受ける立場から考えています。それから、各職種のズレの問題がおそらく急変時以降大きいのだと思います。医師と看護師は、本当の急性期から慢性期まで、基本的なしっかりとした教育を受けていらっしゃいますので、認識を共有されていると思います。しかし、特に介護職等の治療から距離のある職種とも、ある程度、がん又は非がんの中でも心不全、或いは呼吸不全等、病状別に大体どのように移行して、移行の過程でどのようなことが問題になって、その時の対応方針がこうという、基本的な認識共有をまずやらないといけないと思います。一人一人が体験した上で学んでいくのは、非効率ですし、大変だという気がします。ですので、典型的な症状の経過については、基本的な認識共有を介護職も含めて多職種の間でやりながら、フィードバックしていく必要があるというのはその通りで、各職種がそれを繰り返していく。そういう過程がいるのかなと思います。退院後から看取りまでの流れについて、今度は各論的に学んでおく必要があるのではないかと思います。各職種の倫理のズレ、認識のズレという話がありましたが、元々の認識共有がないからズレるのであって、典型症例についての学び舎みたいな場があってもいいのではないかと感じました。

長瀬座長ありがとうございます。ご自身の経験からのご意見をいただきまして、信頼関係を作るためにはきちんとした説明が必要であること。家に帰るのはホッとするためなのだから、嬉しいこと楽しいことを提案してほしいこと。各職種の意識のズレは急変時以降特に多く、各病状別の変化についてどう対応するのか医療・介護ともに共有してほしいという切実な願いだと思います。続きまして、松岡委員にお話をお伺いしたいと思います。

松岡委員昨年11月に父が胃癌の初期のオペを受けました。その後の回復が思わしくなく、数ヶ月ずっと入院をしており、結局5月に亡くなりました。病床でずっと経口摂取ができていなかったので、食べたい、飲みたいと言っていたのですが、結局叶いませんでした。日本酒がすごく好きで、一口だけでも飲ませてやりたかったという後悔が家族の中にあります。そうした中で支援者に大切にして欲しいことは、先ほど辻委員がおっしゃられましたけれども、現状を考慮して何とか今の機能で、最大限できることをしっかりアドバイスいただきたいです。たとえ経口摂取が止められている状態でも、一口でもいいので飲みたい、食べたいという本人の希望、家族の希望を叶えて欲しかったというのは、実際経験して感じました。ただこれは柏の話ではなく、地方の話です。その地域は、医療・介護、特に在宅医療への移行に関しては、非常にシステム的に脆弱で、担い手も少ないです。それに比べて柏の多職種連携や在宅医療は本当に充実しているのだと身をもって知ることができました。

長瀬座長まだ心が痛い時期なのに、お話いただきありがとうございました。最後一口でも飲ませてあげられていたら、喜んでいたかも知れませんが、松岡委員の思いはきっと届いていると思います。次に、介護を受ける方の尊厳という視点でのご意見をいただいております、社会福祉協議会の中川委員お願いします。

中川委員現在40年間ずっと一緒に住んできた90代の義理の母が、介護老人保健施設に入所しています。最近、施設から要介護度5で看取り施設を探してくれ、と言われています。ただ、私も施設側も新しい施設を探していますが、まだ見つからない現状です。これまで現実的に見てきた中で一番大事なのは、施設と我々家族と本人との3者間でできるだけ、妥協するところは妥協することだと思います。施設にあまり期待すると施設も大変ですし、施設側も我々家族に大きな期待をされても対応できないので、施設と家族、それから本人との3者がお互いに譲り合いながら、ある程度の妥協点を探してやっていくことが大事だと思います。言葉は悪いですが、現実的には私ども家族は非常に負担感があります。申し訳ないけれど我々夫婦としては在宅では看られませんので、どこかの施設で看てもらうには、我々家族も妥協しないといけない。こうしなさいと言われたら、やらざるを得ないのが現実だと思います。私の経験ですが、家族から見た場合の大事なことは、家族から施設に対する思いやりも大事だということです。

長瀬座長ありがとうございます。ご家族からの大事な視点をいただきました。本当に長期に渡った介護になりますと、本当にご家族の負担は大きいものだと思います。在宅はいいと言っても、なかなかそれができない方たちもいらっしゃる。そういうときのポイントとして、妥協点を探し思いやること、ということでした。続きまして、地域包括支援センターの山本委員お願いします。

山本委員他県に住んでいる叔父は、数年前に妻を亡くして、子供もおらず一人暮らしで認知症を発症しました。地域の方にとっては本当にいろいろな問題行動があって、やっとの思いで、施設入所にこぎつけました。入所するまでは、問題がありながらも、叔父は趣味と好きなものに囲まれて、好きな生活を送っていました。例えば、手先が器用で床屋に行ったこともなく、かみそりで自分の髪の毛、ひげを器用に整えていました。でも施設に入ると、かみそりは危険物ということで、やむを得ませんが取り上げられてしまいました。また、自転車でどこへでも行って、真っ黒に日焼けしていましたが、施設では不要なものになってしまいました。さらに趣味で若いころからトランペットを吹き続けていたので、プロ並みの腕前でしたが、施設では騒音になってしまうということで、トランペットもやむなく引き払ってきました。そういうわけで、いろいろなものを手放さなくていけなくなってしまうのが現状で、コロナで2年ぶりに面会できましたが、もう日焼けしていた叔父の姿はそこにはなく、腰の曲がった生気のない本当に老人になってしまったなという感じがしました。私は仕事の上で、本人らしさ、本人の趣味や嗜好をなんとか1つでも生かして支援に繋げていきたいと思っています。ただ、それが自分の家族となると、なかなか難しいと感じました。施設では、本当に多くの入所者の中の1人で、そういったところにも難しさがあるかもしれません。すごく歯がゆい思いではありますが、今の叔父にとっては、この施設がとても大事な所なので、そういった葛藤がございます。

長瀬座長そうですよね。やっていたことができなくなるのは辛いですし、全部を奪われていくように思えてしまって、辛いのだと思います。ちょっとずつでも楽しみとして、無理のないサポートができるといいのですが、なかなかそこも難しいというお気持ちを話していただきました。ありがとうございます。続きまして、家族にも配慮してほしいという観点で、ご意見をいただいています。UR都市機構の西村委員お願いします。

西村委員私自身は介護等の経験がないため、担当社員から話をさせていただきます。

東氏約10年前に50代の父が疾病によって、急に介護を必要とする状況になってしまいました。父もまだ若かったので、全く知識がない中で、窓口がどこなのか、何を申請したらいいのかわからず非常に大変な思いをしました。その際に、窓口が一本化されていたり、申請書の簡素化がもっと進んでいたりすると、介護する側の家族としては非常に楽になるだろうと思いました。介護される本人の気持ちの尊重も大切だと思いますが、急に介護が必要になった周りの家族の心身のストレスは非常に大きいものですので、家族への寄り添いがもっとあるといいと感じることがございました。

長瀬座長若いうちに要介護になってしまいますと、家族も大変な負担があるでしょうし、何で?というストレスも大きいと思います。本当に大変なことがいっぱいあったと思います。今はだいぶ変わってきているところもあるかもしれませんが、窓口がわからない申請書が難しいということはよくあるので、その辺のところをいい方向にということで、柏市でもこうした会をやってよくはしようとしているところですが、まだ努力できることがあるかもしれません。それから家族への寄り添い、家族のストレスをちょっとでも聞いてあげるとかそういうことが大事なのではないかというご意見をいただきました。ありがとうございました。同じ家族への配慮という視点で、薬剤師会の大塚委員お願いします。

大塚委員私は約2年半前に要介護1に認定された父の介護中です。定年のない自営業ですので、約2年前までは薬剤師として頑張っていました。しかし、転倒して腰を打ってから寝ていることが多くなり、認知面も怪しくなってきたところです。もともと持病があり病院を受診していましたが、その受診も難しくなったため、在宅医療に切り替え、訪問歯科、訪問リハビリテーションを受けながら在宅療養をしています。半年前には転倒を繰り返した影響で手術を勧められましたが、術後もあまり改善せず、夜間の排泄も増え、トイレ介助が必要になりました。私も仕事の合間を縫ってトイレ、入浴介助等していますが、夜間は同居している母が全て面倒を見ています。そのキーパーソンである母も持病があり、夜間のトイレ介助は非常に大変そうでしたが、それでも施設に預けるのはかわいそうだという気持ちもあり、まだ何とかできるからとぎりぎりまで頑張っていました。ただ、母がもう介護は無理かなと呟いたのをきっかけにケアマネさんに相談をして、翌日からショートステイを利用することになりました。その初めてのショートステイで、これまで使用を拒んでいたポータブルトイレを使用することを覚え、そのお陰で自宅に帰ってきても、ポータブルトイレの利用に抵抗がなくなり、トイレ介助が楽になりました。施設を利用することで、現在の体の状態に合わせた、適切な対応の仕方を本人が体験し、一つずつ壁を乗り越えることができています。今まで無理だと思っていたことが、施設の利用等で、家での介護が楽になっていったということになります。対象者がどのような状態像で毎日を過ごしているのか、様々な職種の方が把握していることで、素早いサービス提供に繋がって、上手に施設やサービスを利用しながら、住みなれた家で介護者も無理なく過ごすことができたと改めて感じた次第です。これができたのも、柏に住んでいたお陰なのだと感じています。

長瀬座長ご家族はなんとか自分たちで頑張ろうとしてしまうところ、施設を上手に利用することで介助が少しでも楽になるというご経験を聞き、とてもためになりました。ありがとうございます。続きまして、利用者のご家族とのエピソードをいただいております。介護サービス事業者協議会横尾委員お願いします。

横尾委員ご家族もそうですが、利用者の方の声を聞くことが、一番大事だと思っています。利用者の方は、当然認知症の方がほとんどで支援者が思うようには動いていただけないし、行動もしていただけません。そこでイライラしてしまう職員もいるみたいですが、お話を聞いたりして、どうしたら支援者が思うような方向にもっていけるかを冷静に考えて欲しいといつも思っております。また、家族は支援者が思っている以上に、実は自分で看てあげたいという気持ちの強い方がいます。施設に預けているので、なかなか自分で介護することはできませんが、食べ物をいっぱい持ってきたり、糖尿病の方に本人が望むからと日本酒を持ってきたりする方がいます。そこで支援者は単に断るという姿勢ではなく、ご家族にいかに理解してもらえるかとか、一旦は受け入れることが非常に信頼関係に繋がっていくと思います。やはりご家族の思いも、支援者はある程度理解してあげないといけません。以前にお話を聞くことの大切さを感じることがありました。息子さん1人でお母さんをずっと看ていて、施設に入った後も事細かく様々な要望をしてくる等、本当に一生懸命やっていることがわかりました。そのお母さんがお亡くなりになった時に、息子さんが施設の介護の仕方が悪いせいでこうなった、訴えてやると怒ってきました。担当した職員、看護師、管理者が時間をとってお話を聞いているうちに、よくよく聞いてみたらご本人は聞いてもらってよかったと言っていました。お母さんが亡くなった辛さ等、ぶつけどころがなく、それがどうしてもこういう形に出てしまったと。前の施設は単にクレームだと言って話を聞いてくれなかったけど、ここに来たらこれだけ話を聞いてくれたので、非常にありがたかったと息子さんは言っていました。その言葉を聞き、家族の思い、考え、気持ちを支援する側がきちんと聞くことで、お互いに気持ちが通じることもあるので大事だと痛感しました。

長瀬座長ありがとうございます。ご家族との思いのズレへの対処についてお伺いできました。まずは家族の気持ちを受け止めること、傾聴することで解決できることもあるということでした。続きまして、専門職が親身に話を聞いてくれたというご意見がありました。認定栄養ケア・ステーション柏市連絡協議会の中村委員お願いします。

中村委員5年前に亡くなった父の話です。父は、急性肺炎で入院し、1週間でよくなったと思ったら、急激に悪化して集中治療室に1か月入りました。その後、急性病室に移り、1か月。亜急性病室に移る時期に要介護5の寝たきりで家に帰ってきました。当時は介護のことはよくわからず、紹介していただいたケアマネジャーさんにアドバイスをいただきながら、福祉用具を準備し、訪問入浴にもお世話になりました。寝たきりの状態でしたが、退院した10日後から、訪問リハビリの先生が月に2度入ってくださいました。まず先生は、寝たきりの父に「何がしたいですか?」と聞いてくださいました。父がおむつでトイレをするのは嫌だというと、その場でおむつを外していただき、座るところから始め、段階を追ってリハビリが進みました。父は、ソフトテニスのアジア大会で活躍したことがあります。先生はそのことを意識してくださり、父にもう一度テニスをやりたいという気持ちを思い起こさせてくれました。スポーツマンですので、コツコツ続けることを苦にせず、やりがいや達成感があると伸びるタイプでした。そのため、先生は来るたびに細かく目標を立ててくださり、前回までの出来たところ出来ないところの評価をして父のやる気を引き出してくれました。また先生は、父のやりたいことを否定しませんでした。父のやりたいことに対して、私や母は無理だと言ったことでも、先生はやってみましょうと言ってくださり、それを1つ1つ到達できたこと。そして、なによりそのリハビリの先生に出会えたことが回復できた理由だと思います。その結果、7年間で要介護5から要介護1になり、亡くなる頃には来月からテニスやろうかなと言うぐらいにまで回復しました。各職種が適切な時に、適切な言葉をかけてくれることが、本人・家族にとってありがたいことだと感じました。

長瀬座長ありがとうございました。否定せずに聞いて、やる気を出させることで家に帰ってから元気になったということで、このあたりもとても大事だと感じました。それでは、普段からのコミュニケーションを大切にしてほしい。という話をいただいております。在宅リハビリテーション連絡会の飯田委員お願いします。

飯田委員支援者の大切にして欲しいことは、普段から会話やコミュニケーションを大切にして、不安や変化する気持ちを酌み取る柔軟さを持っていて欲しい、様々な可能性や選択肢を客観的に示して欲しいということを挙げました。具体的なエピソードとしては、例えば難病で嚥下が難しくなってきている人に、この先どんな選択肢があるのか、例えば、胃ろうにするとどんないいことがあるのか、大変なことがあるのか、作らなければどうなるのか等、具体的な選択肢やこうした場合はどうなる等をたくさん教えて欲しいと思います。また、家で看取る決心をしたとしても、不安や気持ちの変化があった時には違う選択肢もあるので、コミュニケーションをとりつつ、様々な選択肢や逃げ道を作る介入をしてもらいたいと思います。

長瀬座長ありがとうございました。コミュニケーションの大切さと受け止めることの柔軟性のお話をいただけました。続きまして、飯島委員にお話をお伺いしたいと思います。

飯島委員事前のアンケートでは、大学にいる立場というよりは訪問診療も含めて携わっている立場で書かせていただきました。私自身は文京区にキーステーションがある訪問診療メインのクリニックから複数の区へ訪問診療に行っています。その中で、柏市の協議会のようなムードアップといった、みんなで機運を高めていく動きが全くありません。これは、大都市部の仕方のない面だとは思います。一つ一つの区では、医師会を挙げて、在宅医療の機運を高めていく動きをしている区もありますが、それは23区一様ではありません。そうした中では、クリニックの中でミニ反省会をしながら、一歩一歩やっていくしかないと思っています。当然、顔の見える関係会議的な要素もありませんので、ネットワークはあまり感じられません。大都市部ではそれが当たり前という感覚でやっていましたが、こういう2時間の会議を聞かせていただくと、ガイドブックをはじめ、みんなで共通認識を持とうという動きがあるので、非常に強いなと感じました。そうした動きがないところでやっている人間からすると、非常にうらやましく見えるのが正直な意見です。とは言いましても、今日参加されている方々は、柏の様々なプロフェッショナルの方々のごく一部の方が、参加しているわけで、残りの9割の方は、この会議に参加していません。ですから、協議会でのアウトプット、メッセージを9割がた参加していない方々にどう届けていくのか。ここまで出来上がっているからこそ、さらに大きな動きに発展していくために重要だと感じたところがまず1つです。もう1つは、気持ちよく天国に行けたのではないかというケースも多々ありますが、先ほどお話が出たように、大きなズレが生じた、或いはほろ苦い結果で終わったケースから学ぶことの方が多いと思います。そういうケースが生じた際、その瞬間は改善に向けて話し合いますが、それをしっかり広げられてない、広がらない、ないしは自分たちの力で広げることができない状況です。これが大都市部のやや無機質でやっているところにある側面で、もう一回り頑張っていかなくてはと感じたところです。最後に、先ほど歯科の松岡委員から、お父様に飲ませてあげたかったというコメントがありました。そういうコメントが、なるべくご家族から出ないように、我々は配慮したいわけですがまだ出てしまう。一方で、栄養士の中村委員からは、やりがい、達成感を訪問リハビリの先生が促してくれて、本当にいい父親の最期だったとコメントがあり、非常に好対照です。決して犯人探しではなく、なぜこのような大きなギャップが出てしまうのかということです。私自身、訪問診療も勉強させていただいていますが、どちらかというと病院をよく知っている立場です。東大病院を含む大病院、基幹病院、そして中小の病院も含めて、病院の中でも地域医療との連携は結構話し合われていると思います。実際その現場もよく見ます。しかし、病院側のスタッフが、地域連携との話し合いの中で、今日のような生々しい言葉が飛びかった会議をやれているかどうかという意味で、大病院に大きく片足突っ込んでいる立場からすると耳が痛い話です。これは決して病院vs在宅ではなく、一緒にやっていくものですので、より現場のリアル感がある会をどうやるかが1つだと思います。大学では若手のドクター達が育っていくところを見ているだけに、そういう気持ちを持って現場にデビューしていっていただきたいという想いがあります。辻委員からの教えですが、いわゆる生活者としてどう支えていくかというところが、言葉だけの上滑りにならないよう、松岡委員のように家族が飲ませたいと思っていて、本人も弱弱しい声で飲みたいと言ったときに、なぜそれを実行できないのか。病態が本当に許さず、今は勝負だから我慢してくれという話ならば、その説明が十分あったのか。そうではなく、家族のもやもや感が残ったまま、そういう結果で終わってしまったならば、十分なコミュニケーション不足になります。決して犯人探しではなく、地域包括ケアの第2ステージを、どこを見据えてどう走るのかということにもなってきます。ベーシックなところは、この10年で大分でき上がってきたので、どう中身のあるところをもう一回り作っていくことになるのかなと思います。わかったようなコメントをしてしまいましたが、自分の反省する点、配慮して臨床業務もやっていますが、多職種連携の情報連携等を客観的に見て、きちんとやれているのか、その辺のクオリティがもう一回り問われる世界なのかなと感じました。

長瀬座長ありがとうございました。それでは高林委員から総括的なご意見をいただきたいと思います。

高林委員これまでお伺いしたご意見と事前意見を拝見した感想を述べさせていただきます。まず、本人の意向に沿った支援という点で、古賀委員の初診の時に本人からの希望を聞くというお話が大変参考になりました。非常に大切な姿勢だと思いました。私は初診の際に、事前指示書の説明をして、意向を書いてきてもらうことで、ご本人の意向を拾っています。実は1回くらいでわかるはずもなく、想いも変わります。長い間関われるのであれば、その間に信頼関係を構築し、聞き出すことの方がはるかに意味のあることです。時には意識的にACPについて、引き出すことが必要なのだと思います。問2の入退院支援、中でも退院支援だと思うのですが、竹内委員がDPC病院(入院医療費を定額で計算する急性期病院)では、10日の在院日数で退院後のことを考える余裕がないというのは、事実です。地域の中核病院で医療と介護のサービスをどこでどのように受けるべきか考えるのはとても重要ですが、病院主治医が考えなければいけないというスタンスがありません。これは大事な問題で、私が今、亜急性期の病院でやっている一番大事なことです。そのために亜急性期病院が存在していると考えていますし、急性期病院では難しいと思います。もう1つは、医師がこうしたことが大事だという教育を受けていないことです。また、病院の中心的な人物にリカレント教育をしなければなりません。こうした人材は、在宅医療に取り組んでいない場合が多いので、在宅の場がどうなっているかわかっていません。在宅の場をわかっていなければ、どういうサービスを受けるべきか説明できるはずがありません。こうしたことは1市町村で考えることではなく、全国で考えていかなければいけない大変重要なことだと思っています。日常の療養支援の中では、多職種の中で情報の格差があるというご意見がありました。多職種で連携した医療が必要だと分かった上で、お互いを理解しようとする姿勢を持てないとその差は埋まりません。それぞれがプロフェッショナルですから、全く同じ知識を持てるはずがありません。相手の知識を理解しようと、常に意識していかなければならないことだと思います。急変については、不測値があるのでやむを得ません。不測値を含めて、前もってどうしておくべきかを家族も含めて話し合うことは、すでにやっていることだと思います。例えば、救急車を呼ばない、訪問看護をまず呼ぶといったことです。それでもいざとなると、どうしていいかわからなくなってしまう方がいます。参考になったのは、救急時の連絡先が部屋の目立つところに貼ってあるケースがありました。家族と連携して対応することが大事だと思います。看取りについては、在宅医療の中でもっともやりがいのある部分だと思っています。そのための準備として、ACPをとる、人生会議をやるということは大事ですが、なかなか難しい面があります。以前プロジェクトでやろうとしましたが、結局うまくいっていません。ACPは多職種で共有すべきことですし、医師が主導的にやっていかなければならないところだと思います。これは持論ですが、ACPはいくらやっても結論はなく、少なくとも救急時には役に立たないものだと思っています。救急時に事前指示書はなく、ただACPで様々な意見が出ましたでは困ってしまいます。難しいところではありますが、何もしないよりはいいという考え方もあります。事前指示書を書いたところで、それが絶対的なものだと私は思っていません。誰も死にたくありませんし、苦しみたくはありません。そのジレンマの中でどうするのかを常に突き付けられています。悩むところではありますが、何もないよりは書いてあった方がいいというのが私の考えです。問3については、あらゆることに共通しますが、とにかく傾聴です。横尾委員からお話があった事例は、一番難しい事例で、よくある事例だと思います。横尾委員の場合は、傾聴されてなんとか最後に受け入れてもらったケースでしたが、そうではないケースもあります。私も経験したことがあり、いくら言ってもわかってもらえませんでした。そうなると範疇を超えてしまって、判断することができず、最終的には診ることをお断りしました。そういう例もあることを学んだうえで、どう対応したらよいか学ばなくてはいけません。そうした難事例が色々な形で混在しています。大事なことは、難事例を公開して、お互いに話し合い、経験を共有しあうことがこれからの柏に大事なことだと思います。

長瀬座長ありがとうございました。最後に千葉県医師会の金江委員からご意見いただきたいと思います。

金江委員総括的なご意見は、飯島委員と高林委員からございましたし、時間の都合もございますので、次回発言させていただきます。

長瀬座長ありがとうございます。委員の皆様からいただいたご意見を事務局で整理して進めていっていければと思います。よろしくお願いします。

3報告満足度調査について

事務局(資料5に沿って説明)

長瀬座長ありがとうございました。この件には、本日オブザーバーとして参加いただいている東京大学の吉江様にもご協力いただいているとのことです。一言コメントいただけますか。

吉江氏地域医療推進課以外の課でも調査が様々行われておりまして、できるだけ広く比較ができるように配慮がされています。例えば、要介護状態にはない高齢者向けの調査が、別の課の方で行われていたりしますので、そういう方々との比較ができたり、或いは他市との比較、時系列の評価もできたらいい等考えながら地域医療推進課の皆様の相談に乗っていました。ですので、新しい項目をたくさん加える形にはなっておりません。従事者調査については、おそらく柏市は比較的独自の動きをとっていて、なかなか全国的に従事者調査を多くできている地域はありません。私個人の意見ですが、医療介護連携を考えるときに、介護側がどう捉えておられて、やりがいをもって働けているのかはとても大事な視点だと思います。

長瀬座長ありがとうございました。

その他

令和4年度第3回は、令和5年3月20日(月曜日)午後7時開催予定

6次回の開催日時

令和4年度第3回は、令和5年3月20日(月曜日)午後7時開催予定

お問い合わせ先

所属課室:健康医療部地域医療推進課

柏市豊四季台1丁目1番118号(柏地域医療連携センター1階)

電話番号:

お問い合わせフォーム