更新日令和5(2023)年1月4日

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令和4年度第1回柏市在宅医療・介護多職種連携協議会会議録

1 開催日時(Webと参集のハイブリッド形式)

令和4年7月1日(金曜日)19時

2 名簿

  1. 委員
    柏市医師会長瀬会長(座長)・松倉副会長・織田理事・古賀理事・平野顧問、千葉県医師会金江副会長、柏歯科医師会中山会長・松岡専務理事、柏市薬剤師会齊藤会長・大塚副会長、柏市訪問看護ステーション連絡会杉山会長・三浦副会長・土屋副会長、柏市介護支援専門員協議会齊藤会長・狩野副会長、千葉県医療ソーシャルワーカー協会堀田理事、柏市在宅リハビリテーション連絡会橋本会長・飯田副会長、認定栄養ケア・ステーション柏市連絡協議会中村会長・清水副会長・土橋副会長、柏市介護サービス事業者協議会横尾会長・柴田理事・曽根委員、柏北部地域包括支援センター山本センター長、光ケ丘地域包括支援センター神津センター長、柏市社会福祉協議会中川会長、柏市ふるさと協議会連合会佐藤副会長、東京大学高齢社会総合研究機構飯島機構長、辻客員研究員、千葉大学医学部附属病院患者支援部部長竹内特任准教授、医療法人社団鼎会三和病院高林顧問、都市再生機構東日本賃貸住宅本部ストック事業推進部西村担当部長
  2. 行政・事務局
    高橋保健福祉部長、橋本福祉政策課長、宮本高齢者支援課長、恒岡地域包括支援課長、恒岡保健所次長兼総務企画課長、大滝保険年金課長、鞍橋救急課長(事務局/地域医療推進課)梅澤課長、野口主幹、飯塚専門監、平井副主幹、坂本副主幹、池畑主任、坂本主事、新名主事、吉田主事、野﨑主事

3 議事項目

  1. 各部会の取り組みについて 
  2. これからの在宅医療・介護多職種連携のテーマについて

4 配付資料

5 議事経過

議事録のPDF版はこちら(PDF:1,638KB)

1 開会

事務局 (平野委員、金江委員、清水委員、高林委員欠席の旨報告)

2 議事(1) 各部会の取り組みについて

ア:多職種連携・情報共有システム部会

事務局(資料1に沿って説明)

古賀委員(部会長)今回から多職種連携の事例からルールの種を見つけ、見直していきたいと思っています。各地域で地域包括ケアについて柏市の取り組みを発表している中で、柏市の多職種連携は随分進んでいるという印象を受けますが、最初にルールを作った時から新たに良い点や問題点が多く出てきているので、この機会に見直したいと思っています。

小林様(副部会長)今期も副部会長として部会を支えていきたいと思います。先ほど部会長から説明があったように多職種連携のルール見直し等も含めて、活動していきたいと思います、よろしくお願いいたします。

イ:研修部会

事務局(資料2に沿って説明)

松倉委員(部会長)研修部会もファシリテーター会議も出席者の皆さんから非常に多くの意見をいただいて、みんなで作ってる感じがあり、とても楽しい会議だと思っています。会議の前には、事務局を務めている行政の皆さんが準備してくださって、副部会長も含め夜遅くまで仕掛け方の議論をしています。それをまた、研修部会やファシリテーター会議で作り変えていくという部会です。2つのポイントがあり、顔の見える関係会議では、模造紙のWeb版といえるホワイトボード機能を試していて、それをちゃんと評価していることがいいと思っています。もう1つの意思決定支援は、eラーニングを取り入れて、参集の研修に集まれない施設でも学んでいただけるものを作っています。まずは柏市で実施し、可能であればアーカイブも揃えて、他の地域でも利用していただけることを夢見て、取り組んでいるところです。

ワーファ様(副部会長)研修部会では、職種の垣根を越えて、皆さんが活発な意見を出してくださってます。皆さんの意見を聞いて、どこにも偏りがないものを作っていこうとしています。皆様からは、連携の基本になる、「想い」等をいつもお聞かせいただいて、勉強になってます。eラーニングの完成に向けて事務局の方、医師会の皆様とも協力し、頑張っていきたいと思います。

ウ:啓発・広報部会

事務局(資料3に沿って説明)

織田委員(部会長)啓発広報部会は取り組みを継続させていくことが、とても大事になっております。在宅医療情報誌「わがや」も継続して発行しておりますし、コロナで数は少なくなりましたが、出前講座を代表とする地域啓発活動は必ず行うということで続けております。その一方、昨年度から無関心層への在宅医療の情報発信を試みていて、スポーツチーム、グルメチーム、有名人チームの3つに分かれ、活発な意見交換をしていただきました。今年度はそれを実現させていく段階になっています。他の部会と同様、部会員の方が非常に積極的に参加してくださっておりまして、女子バスケットボール「サンフラワーズ」の選手と市立柏高校の生徒に出前講座の形で啓発を行いました。この時も、月曜日の忙しい夕方の時間でしたが、部会員の方6名も参加してくださり、部会員の方からは非常に有意義な意見交換ができたとおっしゃっていただきました。今年度に関しましては、昨年度の無関心層への啓発は引き続き具体的なプランをやっていくのと並行しまして、本来の関心層へ向けて啓発活動をもう一度仕切り直ししていくことにしております。簡単に言いますと今までに積み重ねてきた市民向けの情報をデータベース化するということで動き始めています。

櫻庭様(副部会長)啓発広報部会として、市民の皆様にわかりやすく伝えるとともに、部会員の皆様と一緒に、継続的に具体的な行動を取れるよう取り組んでいきたいと思います。

長瀬座長以前に啓発広報部会をやらせていただいていましたが、その時と比べると非常に進んだ取り組みをされていて、とてもうれしく思います。高校生の感想のコメントを見るととても嬉しい内容が多く書かれていて、市民とグループワークすることで課題が出てきて、また具体的なことができるのだろうととても頼もしく思っております。

議事1 全体質疑

特になし。

2 議事(2) これからの在宅医療・介護多職種連携のテーマについて

事務局(資料4に沿って説明)

長瀬座長 ありがとうございます。これまでの会議の内容を整理していただいた上で、皆様から事前にいただいた意見を拝見するとテーマを決められる感じがしております。まず初めに、本人や家族の意向に沿うという観点の意見をたくさんいただいておりましたので、この部分のご意見を柏市介護サービス事業者協議会の曽根委員に伺いたいと思います。

曽根委員 事務局の整理にもあったように、柏市における多職種連携は、非常に進んでいるといつも実感しているところです。一方で、本人の意向がおざなりになっていないかとサービスをしている中で感じることがあります。そこをどうリンクさせたらいいのだろうという考えの基、今後、方向性を指し示すことができたらいいと思い、ご意見をさせていただきました。本人の意向は、多職種が連携して話していく中で、こういう方向性でいいのではないかと本人とも話しますが、意向はどんどん変わっていくものです。その意向に対して、タイムリーに多職種で情報共有をすることが、非常に大事な部分だと思いました。

長瀬座長 ありがとうございます。私の患者で在宅が非常にうまくいっていた方でも、嚥下の状態や家族の環境で本人の意向も少しずつ変わり、在宅療養を継続できなくなった方もおられました。今お話しいただいたことは、非常に大事だと思います。続きまして、介護支援専門員協議会の狩野委員お願いします。

狩野委員 2025年に向けて、医療、介護分野の整備は急務かと思います。我々が取り組む内容は多岐の分野に渡り、時代の変化に合わせ、年々、課題が山積みとなっている印象を受けています。一方で居宅介護支援事業については、令和3年4月から経過措置はあるものの、感染対策強化、BCPの取り組み、ハラスメント対策、虐待防止等の運営規定の取り扱いが必須となっています。いずれの項目にしても、作成後もPDCAサイクルを意識した継続的な取り組みが必要になります。年々、市民、地域、社会の変化等に対応する必要性を感じています。連携協議会のテーマにつきましては、少し立ち止まり、考える内容も含まれているように感じられました。市民ファーストであること、企業においては顧客のニーズに応えられるかどうかが重要となります。会議中心では市民、顧客のニーズと異なり本末転倒になることもあります。先駆的な取り組みを実施してきた柏市だからこそ、今、C(評価)、A(改善)に重きを置き、質を高めることも大切なように感じております。

長瀬座長 ありがとうございます。比較的長い期間、在宅医療、多職種連携の議論をしていますが、足りないところがないかをチェックしながら、進んでいくことは大事だと思います、とてもいい意見ありがとうございます。本人・家族の意向に沿うためには、意向に関する本人や家族の意思表示が大切になってくると思います。この観点から訪問看護ステーション連絡会の杉山委員お願いします。

杉山委員 意思決定支援について、現場で感じたことを発表します。主に終末期の方へ訪問を開始する時に感じることですが、数年前は最期まで家で過ごしたいと意思表示される方は少数でしたが、近年、徐々に家で最期を迎えたいと考える方が増えていると感じます。それは、市民への啓発の効果もあったからだと思います。ただ、最期まで家で過ごしたいと思っていた方も、在宅医療・介護の仕組みや必要性を説明すると、それがわかり辛いものであったり、思っていたものと違うと感じ怖くなったりして、意思が揺らいでしまう方もいらっしゃいます。家で命を終えるというイメージが無いからでしょうか。逆に最期まで家で過ごすのは無理だと思われている方でも丁寧にお話を伺うと、実は家で最期まで過ごしたいと考えていて、それが可能だとわかると自宅でのお看取りになる方も多くいらっしゃいます。在宅医療を支えるサービスは充実してきていると思いますが、こうした背景には、まだまだ市民側が意思決定に至るまでの情報や、そうしたことを漠然と語り合う場がないからではないかと訪問先で感じることが多いです。

長瀬座長 ありがとうございます。1点お伺いしたいのですが、患者本人とはサービス提供の場で話ができると思うのですが、ご家族と話すことは多いのでしょうか。

杉山委員 その場でご本人を交えてご家族と話すこともあります。ちょっと、ご本人がいる場ではという方の場合は、玄関先や別室で話をする等様々なケースがあります。

長瀬座長 ありがとうございます。日々変わっていく気持ちや家族の家庭環境をキャッチしていくことがとても大事だと思います。そうした情報を一番キャッチする機会があるのは看護師の皆様だと思いますので、今後ともよろしくお願いします。続きまして、在宅リハビリテーション連絡会の橋本委員お願いします。

橋本委員 柏市の在宅医療・介護多職種連携が、市民に浸透する機会を増やしてくことが非常に大切だと思っています。先ほどの啓発・広報部会の発表を非常にすばらしい活動だと思って聞いておりました。私は別の市民団体等でも関わっているのですが、どれだけ自分ごととして考えられるかが大切だと思っています。今までの活動も大事ですが、専門職から市民への矢印だけではなく、市民から専門職に聞きたいという逆方向の矢印の声を吸い上げたり、声を出したりできるような場があるといいと思っております。そうした関心を持ってもらう場の中で、柏市にはこういう仕組みがあることを知ってもらえれば、いざというとき、またそこにアクセスしてもらうきっかけになると思っております。啓発・広報部会だけではなく、様々なところでそうした市民に向けてのアプローチができるといいと思って、ご意見させていただきました。

長瀬座長 ありがとうございます。とても今重要なキーワードをおっしゃっていただいたと思っています。自分ごととして考えることの重要性。自分が元気なうちは、在宅医療なんて考えも及ばず、全然頭にも浮かばないわけですが、自分の身内がなると、やはり自分ごとになってきますし、サービスを提供する側も自分ごととして考えていく必要があると感じています。非常にいいワードだと思いました。それから市民の声の吸い上げとそこからの情報発信はとても大事だと思います。ご意見ありがとうございます。啓発活動を通して市民理解につなげていくことの大切さについて、ご意見を伺いました。さて、ここまで本人の意向に沿うことや、市民への理解を促す啓発活動に関するご意見をお聞きしてきたわけですが、肝心の市民は、どのようにお感じになったでしょうか。市民の立場として、感じたこと、お気づきになったことについて、社会福祉協議会の中川委員から率直なご意見を伺いたいと思います。

中川委員 意識の掘り起こしあるいは、市民啓発について市民の立場で意見を申し上げますと、人生の最期に医療・介護のお世話になるということは、ほとんどの人がいつかは直面する問題だと思ってます。高齢者の方に限らずできるだけ多くの方に意識を持ってもらうことがより大切だと思い、私ども社会福祉協議会では、地域での支え合いは、支えられる人も誰かを支えることができて、あるいは支えられる側の人も、いつかは誰かを支えるという考えから、自分ごととして住民福祉の繋がりを実感できるような事業を市社協と22の地区社協で活動を行っております。こういった場に専門職の方々に参加していただいて、在宅医療・介護についての情報や学びになることを話していただき、それを聞いた地域の人が他の方に伝えることが市民の意識を掘り起こす上で重要だと思っております。市民の意識は簡単に変わるとは思いませんが、引き続き、活動していきたいと思っております。

長瀬座長 ありがとうございます。続きまして、同じお立場で参加いただいているふるさと協議会の佐藤委員お願いします。

佐藤委員 中川委員がおっしゃったことに同感で、地道にやっていくしかないと思っています。ただ、地域社会としてもボランティアのため、限界がございます。私の長い経験から、地域のために様々な形で役に立ちたいと思っている方が多いです。ただ、なかなか自分からということは、気持ちの上でも難しいので、関係者の皆様が誇りと自信を持って、私たちに機会あるたびに協力の声掛けをいただけるといいと思います。

長瀬座長 ありがとうございます。一番大事なのは、利用される市民の方々が一番の主役ですので、うまくいくように進めていければと思っております。さて、本人・家族が意向を示し、意思決定ができるようにするためには、支援者の関わりが重要になってくると思います。そうした観点からのご意見をお聞きしたいと思います。ソーシャルワーカー協会の堀田委員お願いします。

堀田委員 高い連携機能を活かして適切な意思決定支援ができる環境を、我々、病院側も一緒に作っていくことが求められるのではないか、という意見を出しました。コロナ禍によって、面会が制限され、家族と入院している本人が一緒に医師からの病状説明を受けられない。先生の話を聞いた本人の生の反応を家族が体感できないのは、意思決定支援に大きく影響しています。意思決定支援として、本人・家族が協議する場がなかなか作りにくい現状が続いてしまっていたり、コロナ禍の影響で家族が本人のところになかなか来られていなかったり、逆に本人が家族のところに来られていなかったりという話はよく聞きます。こうした状況下では、どちらかというと家族よりも支援者の方が、本人の意思決定に有効な情報をお持ちのことが多いです。自宅にいた時は、こういうことをしたいと思っていた等支援者にお伺いすると、結構情報が出てきますが、日頃からそういった情報が出てくることは、あまりないように感じています。柏市にはカシワニネットという非常に有効なツールがあるので、こちらの中に意思決定の話が出てきたりするのかという想いもありますが、最近の様子を見ていると、意思決定の内容よりは状態の共有がメインになっていると感じる部分がございます。意思決定の情報も含めて、常日頃から共有していけると違った観点から見られるのではないかと考えています。

長瀬座長 ありがとうございます。すでにあるカシワニネットで意思決定に関する情報共有ができると一歩進むと思います、とてもいい意見をありがとうございます。続きまして、本人や家族からお聞きした、あるいは引き出した意向は、当然支援者間で共有することになりますが、実はその共有の際に感じていることがあるとのご意見をいただきました。地域包括支援センターの神津委員お願いします。

神津委員 事業所の看護師が経験したケースをご紹介します。末期癌のケースですので、段階を踏んで本人・家族の受容があって初めて必要なサービスを提供します。その際に事業所の看護師、病院の看護師、訪問看護師と受容の段階で認識のずれが生じたようです。どちらがどうということではありませんが、本人・家族の受容の段階まで至っていない状態で、サービス提供を先行してしまい、結果的にケアパッケージが完成しませんでした。こうしたケースが何件か続いたということを、最近聞いておりましたので、こうした課題を他職種・同職種で、グリーフケア、デスカンファレンス等を通して考えていくことが、連携の質の向上に繋がるのではないかと思います。

長瀬座長 ありがとうございます。職種間での認識の差を感じることが、日常業務の中であるということです。差を埋めるための努力として何があるのかをご提案いただきました。外科でいうと手術して、その結果がどうだったかという病理の診断が非常に大事です。在宅医療の場においては、答えをみていくという意味で、グリーフケアやデスカンファレンスは非常に大切なことだと思います。本当にいい意見をありがとうございます。さて、この連携については、課題を抱えつつも、柏市は非常にレベルの高い状況にあると、前回の協議会において、皆様からご意見をいただきました。しかし、現状に留まることなく、多職種・同職種・病院と在宅等、引き続き連携を強めていくことについて、多くご意見をいただきました。薬剤師会の齊藤委員にご意見を伺いたいと思います。

齊藤委員 薬薬連携の会議等で、病院薬剤師でも退院時共同指導にほとんど関われていない現状をお聞きしています。退院時共同指導のやり方はどのようになっているか、そういう中で、我々、在宅側がどのように関わっていけるかを考える上で、各病院の状況を知りたいと思った次第です。可能であればそうした状況を各病院にお聞きして、情報共有していければ、こちらも対応できたり、他職種の方々とのスムーズな連携にも繋げられるのではないかと考えています。

長瀬座長 病院の対応がどうなってるか、各病院でもそれぞれ個々の医師であっても、考え方や成熟度、地域性の違い等もあったりと様々なことがあると思います。その地域の病院に関する客観的な情報を知りたいということでした。齊藤委員からは事前に、急変時対応向上研修の要望がありましたが、それについてはいかがですか。

齊藤委員 まとめていただいた資料に入っていたのですが、非常にやって欲しいという想いがあったので、改めて強調させていただいたところです。

長瀬座長 ありがとうございます。病院のことでしたが、松倉委員いかがでしょうか。

松倉委員 なかなか病院の中で、十分共有できてない部分も多々あると思います。退院時共同指導をやることが、患者・家族の意思を尊重するところにも繋がると思うので、在宅に繋ぐ以上は、在宅のみなさんと共有することが大事だと考えております。私の病院でも意思決定支援について、医師も集めて勉強会を始めようとしています。齊藤委員がおっしゃったように、急変時の対応についても、本当はやろうという企画がありましたが、コロナ禍でできていないので、皆さんのご意見を聞きながら機会を作っていければと思います。

長瀬座長 ありがとうございます。出張版顔会議等を通して、どの病院でも同じような対応をしていただけるよう少しずつ前進しているように思います。今後ともよろしくお願いします。続きまして、歯科医師会の中山委員お願いします。

中山委員 柏市の多職種連携のシステムは、非常に高いレベルにあるということは、市外からも言われることがあります。先日、長野市の歯科医師会の先生方が視察にいらっしゃいまして、「柏市は素晴らしい、進んでいる。」というお褒めの言葉をいただきました。今後はどう浸透させていくかを考えるべきだと思っています。先日、歯科医師会でも医科歯科連携の始め方実践編というテーマで講習会を行いました。そこから得られたことは、非常にシンプルです。最後の決め手は、紹介状の書き方等をはじめとする人と人とのコミュニケーション、熱意といった人間性なのだと感じました。また、同職種から患者の情報提供をいただきました。患者情報を時系列に沿って、詳細に記載してありましたが、最終的に患者さんが何を望んでいるか、それに寄り添っているかが明確ではなく、家族に問い合わせて一から説明していただくことになってしまいました。医学的な情報だけではなく、本人・家族が何を望んでいるのか一言添えてあるだけで、スムーズな引き継ぎができたのではないかと思いました。このようなことから、ちょっとしたことで連携の広がり、掴みができるのではないかと思ってます。

長瀬座長 ありがとうございます。歯科の先生方には口腔ケアでご活躍いただいていますがどのような状況でしょうか。

中山委員 口腔ケアに関しては、まだまだ市民には浸透してないと感じています。しかし、口腔ケアをやることでご理解をいただけて、気分や状態が良くなると感じていいただく。それをうまく広げていければと考えています。

長瀬座長 ありがとうございます。これまでの話を踏まえますと、これらの連携には、本人と家族も含めていくことが改めて大切であることに気づかされます。古賀委員からも意見をいただいていたので、お話いただきたいと思います。

古賀委員 多職種連携の推進は、自分の担当でもあるICT部会でも考えてやっていかないといけないと思います。意思決定支援は、様々な職種がその場その場で聞いていくもので、変化もするものです。すでにICTで共有できている部分もありますが、全体としてICTで共有していくという方向性をはっきり出せるといいと思います。私から出させていただいた意見としては、在宅医と病院の先生の同職種連携を、今後、どんどん進めていきたいと思います。今はできていませんが、出張版顔の見える関係会議をどこかで再開する必要性があると思っています。例えば、リハビリ職は連絡会に病院のリハビリ職の方も入っているので連携できますし、訪問看護は慈恵医大柏病院と国立がんセンター東病院との同職種間で交流があります。ドクター間でもそうした交流ができ、在宅の現場も見て経験してもらえるといいと思います。ソーシャルワーカーにも患者が在宅で過ごしている様子を見ていただけたらいいと思います。こうした同職種連携をこれからどんどん進めていきたいと思います。

長瀬座長 ありがとうございます。これまで本人と家族の満足に繋がる連携の在り方について、具体的なご提案をいただきました。続きまして、辻委員にお話しいただければと思います。

辻委員 柏市の多職種連携のレベルは、日本一級のモデルです。こうした議論が、今後、日本でより重要になります。皆様の頑張りは、全国に大きな影響を及ぼす営みだということを再確認いたしました。私は意見を言う立場ですので、出しゃばったことを言うようですけれどもご容赦ください。本人・家族の意向に沿った支援という場合に、職種間でこれはどうしたらいいのだろうという議論を深めていくことが重要だと思います。特に、医療系職種と介護系職種の間に溝があるとよく言われます。柏でもそのことが大きな問題になっているわけですが、かなり解決されてきているように思います。そうなりますと、より踏み込んだ議論をしていただきたいという想いがあります。どういうことかと言いますと、何度も言いますように、病院は病気を治すための場所で、病院にいる時は病人です。しかし、在宅医療は、病人ではなく生活者です。生活者が幸せになるために、医療や介護があるわけです。医療系職種は、病気というリスクを考えてのケアになるので、本人の意向に対してどうしても慎重になります。一方、介護職は治療の仕方そのものにはコミットメントしないという立場で、本人の生活の充実、人生の満足、納得を非常に大切にしています。どちらが正しい、間違っているというものではありません。4つの場面に応じて、両者のバランスは異なります。しかしながら、これは一義的に決められる問題ではなく、ケースによって全て違うはずです。従って、私は、本人はこう言うけどそのことについて私はこう思う、と医療系職種と介護系職種が率直に主張し合う中から、それぞれの主張の核心を認め合う中からもうひと工夫して、最も良い形での対応を考案し、何とか本人の意向に沿えないのかという努力が大事だと思います。医療系職種と介護系職種の受けとめ方の相違にお互いに踏み込むことで、柏の多職種連携の水準が上がっていくと思っております。どちらかと言いますと介護職が一番、本人・家族の本音を聞きやすい立場にありますので、介護職は介護職の立場から解釈してきちんとそれを主張する。そして、医療系職種はまずそれを聞いてみて、その上でまた議論するという形が必要です。柏の多職種連携は、10年の伝統によって、関係者の信頼関係が確立されております。こうした議論がこれから可能だと思います。一般論としてこのような議論をしてもそもそも見ているものが微妙に違うことについて議論してもすれ違ってしまうため、正確には、1つの具体的ケースについて議論しないと正確な議論になりません。そのため、議論の方法には工夫が必要です。また、医療系職種の中でもニュアンスの差があると思います。そのあたりを議論すると、柏の在宅ケアの水準も日本一になるのではないか。そういう視点からの意見でございます。進め方について、ひと工夫必要だと思いますが、ご検討いただければと思います。

長瀬座長 ありがとうございます。医療系職種と介護系職種の意見が割れるような場面があり、そのようなケースの洗い出しをする。その拾い上げた症例にどう対応していくのか知恵を集めて議論する。より質の高いケアを確保するための、また、満足度の高いケアを確保するため多職種連携の手順のあり方も含めて検討していただきたい、というご意見をいただきました。とても勉強になる内容で、皆さんとともに進めていきたいと思っております。皆様のご経験に基づいた、様々な観点からのご意見を伺うことができました。ありがとうございました。しかしながら、様々と言いつつ、みなさんのお話の根底には、共通したものがあるのではないかと感じました。そこで、今後のテーマとしては「本人と家族の意向に沿った多職種連携の推進」というようなテーマで考えてはどうか。この皆さんの意見を集約すると、ここに行き着くのではないかということで、今後の柏モデルの進展にふさわしいテーマだと感じますがいかがでしょうか。皆様のご意見をお聞きしたいと思います。賛同いただける方は拍手マーク等送っていただければと思います。手上げいただいた竹内委員お願いします。

竹内委員 「本人と家族の意向に沿った多職種連携の推進」というテーマは大変いいと思います。その上で、先ほど辻委員が医療と介護の溝を話題になさっていました。その医療と介護の溝が生じる要因を、本人と家族の意向に沿った多職種連携という文脈から考えたときに、その溝の背景にあるのは、計画性のようなものではないかと感じました。例えば、介護はとても計画的なもので、プランをしっかり立ててそれに対応していく。それに対して、医療はリスクに備えるのが仕事だと思います。その中で、計画性という観点からいうと特に医療の方はデータが多くあります。それに対して、介護の方は科学的介護等謳われていますが、まだまだこれからだと思います。そうしたデータの扱い等を多職種の間で見極めていくような作業が、まさに今、必要になっているとディスカッションの中で身に染みて感じました。そういう意味で、「本人の家族の意向に沿う」だけではなくて、「多職種連携」という言葉をくっつけたまさにそこが課題であると思います。医療と介護の間にあるギャップ。医療の方は、データはたくさんあるけれども、どちらかというと行き当たりばったり。介護の方は、計画的だけれども、データではなく想いやナラティブなものが背景にある。そうした中から、どういった対応をすればいいのかが、今突きつけられてるのだとしみじみ思いましたので、非常に賛同するところであります。

長瀬座長 ありがとうございます。他の方々からも拍手マークはいただいていますが、竹内委員のご意見や辻委員もおっしゃったような、医療系と介護系で溝があるということですが、同職種の中でも考え方が違うこともあります。その辺の情報共有と議論の中で方向性を作っていくことが大事なのかなと思いました。では、このテーマで今後、進めていくことでよろしいでしょうか。

(異議なし)

細かい点は皆さんのご意見を参考にしながら、いろいろ工夫してより質の高いものに仕上げていきたいと思います。ワンランク上げるためには、皆様の、ご協力がとても大事ですので、ご意見もどんどんいただきながら、遠慮することなく、意見をいただければと思います。一番最初にこの在宅の会をやった会議で地域包括支援センターの方に、「お医者様には意見言えませんよ。」って言われました。しかし、それは関係ないと思います。生活者の幸福を考えてこの事業を進めていく仲間ですから、対等に意見を出すことが大事だと思います。それでは今後、このテーマを意識して取り組みを進めていただければと思います。このテーマに関して、私が感じたことがあります。どうやって本人の意向を聞いていくのかということです。ケアした患者は最後亡くなってしまうので、本当に良かったか聞くことはできません。家族は良かったと言ったとしても、本人が本当に良かったと思うのかどうかはまた別物だと思います。どう評価するのか非常に難しいと感じています。ちなみに私のクリニックでは、初めて来た人に問診票を書いてもらう際、今日は何を求めて来院されましたか等、具体的な要望を最初にアンケートで伺うようにしています。そして、診療が終わった後に、満足できたか、不満足な点はなかったかアンケートを取るようにしています。ほとんどの方はありがとう、良かったとの意見ですが、年間に数例は、ここが良くなかったという回答が出てきます。私は、そういうネガティブな意見が非常に大事で、ありがたく思っています。それを元に変えていくよう様々工夫しています。そうした利用者の最初の気持ち、あるいは生活していく中で変わっていく気持ちを、直接だと答えることが難しい場合もあると思うので、アンケートのように時折、書いていただく等あったらいいのではないかと思いました。それでは改めて、柏プロジェクトで取り組んでいくテーマを「本人と家族の意向に沿った多職種連携の推進」に決めさせていただきたいと思います。このテーマについて、ふるさと協議会の佐藤委員、市民の方としてはどうでしょうか。

佐藤委員 長いスパンで考えていく必要があると思いますが、いいと思います。

長瀬座長 ありがとうございます。それではテーマの実現に向けて、各部会をどのような方向性で進めていくか、各部会長からご意見をお聞きできればと思います。

古賀委員 辻委員がおっしゃられたようなケース毎の話し合いは、患者毎に多職種が連携しているカシワニネット上で場ができていると思います。ただ、十分に使われているかという問題はあると思います。更なる問題点としては、介護職の場合、管理者のみ議論に参加していて、実際に患者に関わっている方が参加できていないケースが多いことも挙げられます。この背景には、ITリテラシーの問題もありますが、個人個人の介護職が入れるような状況を作っていくことも、これからの課題だと思っています。また、カシワニネットは連携の基礎になっていますし、医療・介護の連携もしやすくなっていますので、継続してやっていくことが必要です。意思決定支援に関しても、使いやすいようにしていきたいと思います。

松倉委員 この会議が始まった頃は、医師のいるところでは、皆さん割と静かになってしまうところがあったのが、今はもう医師が口を開く暇もなく、むしろ「先生、黙っていてください。」ぐらいの勢いで、皆さんが意見を言ってくださっています。こうした顔の見える関係構築も、引き続き、しっかりと取り組んでいきたいと思います。辻委員がおっしゃったケーススタディーについては、意思決定支援ではケース毎に随分違っていて、がん、独居、認知症について等様々なケースがあり、今、eラーニングを作る中でまさにケーススタディーをやっているところです。それに加え、さっきおっしゃっていたような職種間の意見の相違も意識しながら、単なる意思決定支援のアーカイブを作るだけではなく、その壁をどうやって乗り越えていくのか、共有していくのかということも検討のテーマに加えていければと思います。

織田委員 今回の議論を聞いておりますと、3部会の中で啓発・広報は一番重要で、需要に合っていないような流れで、かなり責任を感じています。特に、意思表明ができるための情報発信や市民啓発の充実という言葉が多く並んでおりまして、啓発と広報がまだまだ不十分だと責任を痛感しているところです。どうしても多職種連携と少し違うテーマで、どのくらい認知されたかという客観的な指標が非常に得られにくい領域です。アンケートを計画してやったこともありますが、ランダマイズにアンケートできるわけではなく、バイアスが非常にかかってしまうので、我々のやっている活動が、どれくらい市民の中に行き渡っているのかは、手探りの中でやっています。今回のテーマを意識して、啓発・広報部会で考えてやっていきたいと思います。

長瀬座長 織田委員はそうおっしゃいますが、私が部会員の時はもっと出来ていなかったので、非常に一生懸命やっていただいていてありがたく思っております。地道な活動が大事だと思いますし、何かまたアイデアがありましたら、よろしくお願いいたしします。各部会がますますパワーアップすることを期待しております。

最後に総括的に、学識の先生からもご意見をいただきたいと思います。高林委員が欠席となりましたが、ご意見いただいておりましたので、代読させていただきます。

高林委員(地域医療推進課長代読) 柏は地域医療介護連携のネットワークについて、顔の見える関係づくり、カシワニネットなど他の地域から見るともちろん大変素晴らしい関係ができていると思います。それはおそらく、市民目線のレベルに垣根をさげて、行政、医師会が中心となり頑張ってきたからだと思います。しかし、単に素晴らしいシステムだけではなく、日常の診療や介護の中で当たり前のように利用される関係にならなければ本当に役立っているとは言えません。何も考えなくても機能し利用されるようなネットワークになることが、成熟した環境といえるでしょう。また、存在しているから使わなければいけないというのではなく、利用度の高いネットワークとは、具体的にどのような場でどのように活用されるべきなのかを、実際の事例からまとめて考えるべき時期かと思います。個人的には救急時のカシワニネットの救急隊や救急医へのACPなどの情報開示や、ごみ屋敷、閉じこもり住民に対する医療者の介入連携などが進むべき具体的課題ではと考えています。

長瀬座長 ありがとうございます。では最後に、飯島委員からご意見をいただきたいと思います。

飯島委員 総括的に感想を幾つか述べさせていただきたいと思います。いわゆるフロントランナーの地域だからこそ直面してる課題なんだろうと感じております。システムがほぼ100点満点ということはなく、常に成長だと思います。ただ、システムや関わるメンバーが、だいぶ出来上がってきている一方で、市民はどう思ってくれるのか、理解していただけているのかと、もう一段踏み込めないジレンマがあるのだと思います。先ほど織田委員が啓発・広報部会は、頑張らないといけない、責任を感じますとおっしゃっていました。しかし、私は市民に対する広報・啓発を結構やっていて、頑張っている方だと思います。しかし、もう一回り殻を破ることができないジレンマ、この難しいアプローチが議論のテーマだったと思います。その上で、辻先生からコメントがありました、ケースから学ぶことですが、クリアに計画性がないといけないのではないかと思います。例えば、先ほど委員の方々から、家族と本人が置いてけぼりになっていないか、本人の意向がおざなりになっているのではないかという、グサッと刺さった非常に重要なキーワードがありました。もしかしたらたった1つか2つの事例で、全体がダメとは言えないと思います。しかし、これまで相当ボトムアップしてきた中で、なぜそういう言葉が出てきてしまうのか、どのようなずれが生じて、どのようなことをもう一回りやることが必要なのか。分析や吟味が重要なのではないかと思います。言うは易しで、非常に難しい領域に入ってきているとは思いますが、先進的に走ってきたモデル地域だからこそチャレンジしていくところに意義があるのだろうと思っています。あと、もう1つは訪問看護の方から、実際にこうやっていくと本当に理解してくださって、やっぱり良い方向に向けたという、いわゆる成功事例があったとするならば、どういうシチュエーション、どういう言葉の投げかけが、良い方向の分岐点を生んだのか。そうしたものを柏の重要コンテンツ、重要キーワード、重要ポイントとして積み重ねていくことが大切だと思います。最後、アカデミア側の課題でもありますが、次世代の子供たちへの教育を地道に刻んでいくことが、彼らが20歳になり、またパパになりママになりという時に、時間をかけて花が咲いてくるのだろうと思います。

3 報告 地域医療連携センターの相談状況

事務局(資料5に沿って説明)

4 各団体トピックス(1) 同職種連携について

中村委員 ご家族からの依頼により、在宅医の指示に基づき、居宅療養訪問栄養指導に入りましたが、半月ほどで入院され、1か月後に退院されました。入院中の栄養状態を在宅医が入院先の栄養課へ問い合わせしたところ、退院前に栄養情報提供書を頂戴し、摂食嚥下の状態や栄養士による病院食の食形態もわかりました。栄養情報提供書により、在宅での訪問栄養指導がスムーズに繋がり非常に良かった事例です。病院と在宅の栄養士の同職種連携は、まだ出来上がっておりません。柏市立柏病院では、3年以上前から栄養士が退院支援の点数を取り、ケアマネジャーや本人に栄養情報提供書を出していますが、私たち栄養士が目にすることは、ほとんどございません。昨年に地域包括支援センターで顔の見える管理栄養士として関わった案件におきまして、病院での医師の指示や食形態等、内容がわからず聞き直してもらった案件が数件ございました。今回のように退院前の栄養情報提供書がケアマネジャーやご本人のお手元に届く機会が増え、それによってすぐに在宅での支援に繋がる事例が増えたら良いと思っております。今後も病院や福祉の栄養士の同職種連携を繋げていく方向で頑張りたいと思います。

4 各団体トピックス(2)柏市若年がん患者在宅療養支援事業について

保健所総務企画課 資料6に沿って説明

次回の開催日時

令和4年度第2回は、令和4年10月25日(火曜日)午後7時 開催予定

お問い合わせ先

所属課室:健康医療部地域医療推進課

柏市豊四季台1丁目1番118号(柏地域医療連携センター1階)

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