人と動物たち

  • 手賀沼にもぐった牛

    むかし松ヶ崎の覚王寺(かくおうじ)に、牛のすきな坊さんがおりました。坊さんは牛をたいへんかわいがり、ひまがあると手賀沼に連れていって遊んでやりました。そのころ、手賀沼は松ヶ崎の近くまで広がっていました。沼のまわりは広い草原でした。草が一面に生え色とりどりの花が咲いていました。沼の水は青く、どこまでもすみきっていました。

  • 狐いっぴょ

    藤心に字(あざ)狐峠というところがあります。そのむかし狐峠は、村人から”キツネいっぴょ”と呼ばれていました。”キツネいっぴょ”なんておかしな名前でしょ。それは、こんな話があったからだそうです。そのむかし藤心には、たくさんの狐が住んでおりました。

  • 狐の嫁入り

    もんは、きょうも田んぼひとつはさんだ小高い丘のふもとを見ています。「おっかあ。ほら。ほら。」もんの指さす方には、夕ごはんの支度をしているのでしょうか。あっちの家からも、こっちの家からもけむりの出ているのが見えます。もんは五歳。おっかあに連れられて毎日田や畑で暮らしているのです。

  • きつねつき

    むかし、葉山あたりは深い森にかこまれたさびしい所でした。その近くは山が多く、大きな木が何本も生い茂り、枝が重なり合って昼でも暗く、下草が身の丈ほどものびて、道らしい道もありませんでした。毎日夕方になると、たぬきやきつねの鳴き声が、村全体にひびきわたっていました。

  • 鷲山のむじな

    むかし、むかし、増尾村に「鷲山」という所がありました。ぶなや、ならや、しいの木が茂り、たぬきやきつねの住む穴が、あちこちにありました。野うさぎが走り回り、秋になると、落ち葉の間にどんぐりの実がばらまかれたように落ちていました。そこに、一軒の古びた山小屋がありました。おもという女の子と母親が二人で住んでいました。

  • ゆずの木

    名戸ヶ谷村は、むかしから、ゆずの木は植えてはならぬと、いわれていました。それには、こんな話が伝えられています。ゆずの木は小高い丘にありました。村のどこからでも、たわわにみのった黄色いゆずの実が見えました。ゆずの木は、村のどの家のものでもありません。むかしから村のゆずの木として大事に育てられてきました。

  • 雉子とにわとり

    むかし、葉山の里には、雉子がたくさんいました。またどの農家でもにわとりをたくさん飼っていて、卵を産ませていました。おとらばあさんの家の広い庭も、毎日、朝から、ポッポッと、えさをついばむにわとりで、いっぱいでした。そこへ、いつのころからか裏山にいる雉子たちが仲間入りしてにわとりといっしょに、楽しい一日を過ごすのでした。